肝癌診断において、EOB・プリモビストは万全か?

  • 典型例ばかりでなく、10%程度は本来見られる造影効果と逆の信号を呈する。したがって、過度の期待は禁物。
  • 細胞外液性Gd造影剤と比較すると、Gd量にして1/4に留まり、また、肝腎双方から排泄されるため、抜けが速い特徴がある。したがって、EOB・プリモビスト造影剤MRIでは「平衡相」という言葉は使わずに、「遅延相」「後期相」あるいは「移行相」という。

この特徴があるために

硬変

  • 肝硬変症により肝細胞数の減少や肝細胞機能の低下を生じると、肝細胞相での取り込み遅延し、落ちる
  • 線維化は肝の辺縁からおこる。辺縁から取り込みは低下し、中心部は門脈血保たれるため、肥大する。

 

HCC

  • 多血性HCCなのに早期相で描出されにくい(されない)ことがある。
  • 遅延相での抜けをwash outとしてはいけない
  • 古典的HCCの被膜の描出が悪いことがある。
  • 肝細胞相での抜けは実際より過剰になることがある。
  • 転移、門脈腫瘍栓を拾いにくいことがある。
  • 中分化HCCではhighとなるものも10%もある(green hepatoma)。
  • HCCをFNHにmisleadすることがある。
  • 小さな副病変の描出には限界がある(CTの方がよいこともある)。

 

hemangioma

  • 小さな血管腫が早期相で染まらないことがある。
  • 血管腫での抜けが速くHCCと誤ることがある。

その他

  • FNHの2~10%は肝細胞相で抜ける
  • AP-shuntの15%は肝細胞相で抜ける(Zahn梗塞(T2WIでhigh)など)

 

このような特徴を理解した上でプリモビストを使わなくてはならない。

対策としては、HCCが疑われたときは

初回 CT+EOB

進行例では CTに加えてGdによる造影もするべきである。

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