肺クリプトコッカス症(cryptococcus)とは?
- Cryptococcus neoformansは土壌など自然界に広く分布する酵母型真菌。比較的病原性が高いのが特徴。
- ハトなどの鳥類の糞便中で増殖し、乾燥によって空気中に飛散する。この胞子が経気道的に肺胞に到達して感染を起こす。
- 外毒素を産生しないため、炎症反応が乏しい。病変を生じても症状が乏しいのが特徴。
- 20-50歳代の男性に多い。
- AIDSや悪性リンパ腫などの細胞性免疫不全患者で発症頻度が高い。
- 健常者にもしばしば認められ、健常人に発症する原発性と、免疫不全患者に発症する続発性に分類される。
- 感染が肺にとどまらず、髄膜への播種をひき起こし、髄膜炎を起こすことがある。
- 免疫低下宿主では真菌血症から全身播種をひき起こすことがある。
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画像所見
- 孤立性、多発性の結節・腫瘤影。時に空洞、壊死を認める。空洞形成は40%。
- 多発病変は同一肺葉内に多い。
- 下葉背側の胸膜下に多い。
- スピキュラ、胸膜陥入を高頻度に伴う→原発性肺癌との鑑別。
- CT halo signを認める事もある。
- 気道散布巣の頻度も高いが、典型的なtree-in-bud appearanceを呈する症例は少ない。
- 石灰化は稀。
- 単発あるいは多発の浸潤影をきたし、air bronchogramを呈することがあり、この場合、特発性器質化肺炎(COP)との鑑別が重要となる。
※COPの場合はステロイドが効果的だが、クリプトコッカスの場合は、効果的でなく、むしろ髄膜炎を起こしてしまう可能性があるため。
症例 50歳代男性
基礎疾患のある症例は、ない症例より、
- 浸潤影が多い。
- 空洞、胸水の頻度が多い。
- 多肺葉分布が多い。
- 稀に粟粒影、広範なすりガラス影。