一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)
- 脳虚血による局所神経症状が短時間出現するが可逆的で神経症状を残さない。
- ひとつの動脈領域に限局。
- 持続が24時間以内、多くは2-5分以内。ときに反復。
- 原因:アテローム血栓性が多い。動脈原性微小塞栓もしくは血行力学的機序。
- 診断にはくりかえず数分間の片側の四肢の脱力といった典型的な病歴に加えて、高血圧、糖尿病、喫煙などの心血管危険因子の有無を確認することが重要。
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ABCD2スコアとは?
TIA後の脳卒中発症のリスク予測。
- Age
- BP(血圧)
- Clinical feature(片麻痺、麻痺のない言語障害)
- Duration(持続時間)
- Diabetes(糖尿病)
をスコア化したもの。
この値が高値で、DWIで高信号、さらにはAfや頭蓋内動脈病変がある場合は、TIAの高リスクとなる。
TIAの画像所見
- 画像上の急性期梗塞の有無は問わない。→画像上の梗塞があっても臨床的に一過性ならばTIAと診断される。TIA患者の30-50%でDWIにて異常を認める。
- DWIで小さな異常高信号やMRAにおいて血管狭窄を認めることがある。
- 狭窄は塞栓源など病因は持続存在しているので、再発・反復は→大きな梗塞に陥ることがある。
- アテローム血栓性によるものが最も多い。
- TIA様の発作を来すものは脳血管障害とは限らない→TIAを除外診断する意味でも、画像診断(DWI)は必要。またTIAであることが診断されると入院加療は必須。
症例 60歳代男性 TIA。画像上は梗塞あり。
右頭頂葉皮質部にDWI(拡散強調像)で異常な高信号あり。
ADCでは信号低下を認めています。
ただし、臨床的に症状は一過性であり、最終的にTIAと診断されました。
TIAの臨床診断は非常に難しいです。TIA 様発作≠脳梗塞 であることに注意しましょう。