小腸悪性リンパ腫
・病変の主体が腸管に存在すれば、腸管外病変の有無に関わらず腸管を原発臓器とする。
▶疫学:
・頻度:消化管原発リンパ腫の20-30%
・あらゆる年齢に発生。男女比は2:1。
▶病因:B細胞性リンパ腫では染色体異常
・濾胞性リンパ腫:t(14:18)(q32:q21)転座が40-60%
・Mantle細胞リンパ腫:t(11:14)(q12:q32)転座が90%以上
・MALTリンパ腫:t(11:18)(q21:q21.1)転座が10-30%、t(11:18)陽性症例はピロリ菌除菌に抵抗性
・びまん性大細胞型Bリンパ腫:MYC,BCL2,BCL3,BCL6,PAX5など腫瘍関連因子の関与
▶組織分類:びまん性大細胞Bリンパ腫(最多)>濾胞性リンパ腫(2位)>MALTリンパ腫(3位)
▶肉眼分類:
・潰瘍型>隆起型、
・multiple lymphomatous polyposis(MLP)型は広範囲に無数の隆起性病変を生じる(濾胞性リンパ腫、Mantle細胞リンパ腫)。
・びまん型は、T細胞性リンパ腫、IPSID(immunoproliferative small intestinal disease)
▶MALTリンパ腫はピロリ除菌により消失の報告あり、EBウイルス、HIV、HTLV-Ⅰが関与。
▶好発部位は回腸>回盲部>空腸、ただし濾胞性リンパ腫は十二指腸が最多。
小腸悪性リンパ腫の画像所見
・腫瘤は均一に強く造影効果を認めることが多く、通常イレウスをきたさない。
・腫瘍部位の小腸は限局的な拡張を認め、aneurysmal dilatationと呼ばれる。