大腸穿孔と画像診断のポイント
- 原因としては悪性腫瘍が最多で、憩室炎、特発性、外傷、虚血、炎症性腸疾患、硬便、医原性など。
- 大腸穿孔では腸間膜間や後腹膜内に消化管外ガスや消化管外糞便、膿瘍を形成することがある。CTにおける消化管外糞便はdirty mass signと呼ばれる。
- 糞便による腹膜炎を生じ、その致死率は高い。
- 後腹膜に固定されている上行結腸や下行結腸、直腸の穿孔では後腹膜に遊離ガスの分布をみる。
- 上行結腸穿孔では右側に、下行-S状結腸穿孔では左側に後腹膜の遊離ガスがとどまる場合が多い。(腸間膜も破れると腹腔内遊離ガスとなる。)
- 直腸穿孔では骨盤部腹膜外腔から両側の後腹膜へガスが進展しうる。
- 腹腔内と後腹膜の両方に遊離ガスが存在する場合、腹膜外腔における腸管穿孔を考慮する。
- 治療は、腹腔内感染が成立する前に開腹手術。例外は症状が限局しており、保存的治療に反応する場合(腸間膜側の穿孔、医原性穿孔など)。
80歳代女性 肺癌(穿孔の原因は不明)
大量の腹腔内遊離ガス(Free air)を上下腹部に認めています。
S状結腸において腸管と連続性のない糞便構造を認めており、dirty mass signと呼ばれます。
同部からの穿孔が疑われる所見です。
診断:S状結腸穿孔