胆管炎(Acute Cholangitis)はなぜ怖いか?

胆管炎はなぜ怖いの?

総胆管結石や腫瘍で総胆管閉塞
→胆道内圧↑
→逆行性細菌感染
→胆管炎
→Cholangiovenous refluxにより細菌やエンドトキシン血中流入
→敗血症、エンドトキシンショック
→DIC
→多臓器不全
 という経過をたどることがあるから。

Cholangitis

・症状では、急激な悪寒戦慄で発症し、上腹部痛、発熱、黄疸(Charcotの3徴)から、精神錯乱or傾眠、ショック(Reynolds5徴)を合併し=急性化膿性胆管炎に進展。

・血液検査:WBC↑、CRP↑、肝胆道系酵素↑(AST,ALT,ALP,γGTP,T-bil)、AMY↑、腎機能障害、Plt↓、低酸素血症

・胆嚢炎のほとんどの原因である胆石のほか、胆管炎は良性疾患・悪性腫瘍に伴う胆道狭窄が原因となる。胆道閉塞が起こり、胆汁中に感染を伴うことが胆管炎を起こす。

急性胆管炎の診断基準

A.
1. 発熱 
2. 腹痛(右季肋部痛または上腹部)
3. 黄疸
B.
1.  ALP、γ-GTPの上昇
2. 白血球数、CRPの上昇
3. 画像所見(胆管拡張、狭窄、結石)
疑診:Aのいずれか+ Bの2項目かを満たすもの確診:①Aのすべてを満たすもの(Charcot3徴)②Aのいずれか+Bのすべてを満たすもの
重症胆管炎
以下のいずれかを伴う場合は「重症」である。
①ショック
②菌血症
③意識障害
④急性腎不全
中等症急性胆管炎
以下のいずれかを伴う場合は「中等症」である。
①黄疸(T.Bil>2)
②低アルブミン血症(Alb<3)
③腎機能障害(Cr>1.5)
④血小板減少(Plt<12/0)
⑤39℃以上の高熱
軽症急性胆管炎
「重症」「中等症」を満たさないもの。

急性胆管炎の画像所見は?

▶︎CT or エコー(まずはエコー(推奨度A))

  • 肝外(しばしば肝内も)胆管の拡張
  • 早期相での肝実質のモヤモヤな染まり動脈血流が増加した状態。
  • 胆嚢腫大
  • 総胆管結石の存在 など
    ※ただし、急性胆管炎に特異的な画像所見はない

※総胆管結石を疑いCTをする場合は単純CTも撮影する。結石が高吸収に写る場合がある。これを造影すると、胆管周囲の膵臓の吸収値が増大することにより、胆石とのコントラストが不明瞭となり、結石が見えにくくなることがしばしばある。総胆管結石を見落とす原因になるため、単純CTは必須といえる。

尿路結石はCTでほぼ写るが、総胆管結石、胆嚢結石はカルシウムを含む石以外は写らない

・胆汁感染の有無を画像所見により判定することはできないため、画像診断により急性胆管炎を診断することは困難である。

・急性胆管炎における画像診断の意義は、主として胆道閉塞の有無、ならびにその原因となる胆管結石や胆管狭窄などを証明することにある。

参考)「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」

肝内胆管に炎症があると、どうして早期動脈相でもやもやになるか?

cholangitis1

・胆管に感染がおこると、胆管およびグリソン鞘に浮腫が起こり、肝動脈および門脈が圧排される。その程度は柔らかい門脈により顕著であり、普段、動脈血>門脈血であるが、その相対的な差はさらに増大することになる。結果、より動脈相での染まりが局所的に目立つようになる。また門脈周囲には両側浮腫により低吸収域に見えるようになる、これをperiportal collarという。

逆に言えば、動脈相で肝実質の造影効果増強→グリソン鞘浮腫・胆管炎を示唆!

急性胆管炎の治療指針

重症度判定を行い、重症度に応じた治療を行う。

頻回に再評価を行う。

①重症例
適切な臓器サポート(十分な輸液、抗生剤、DICに準じた治療など)呼吸循環管理(気管挿管、人工呼吸管理、昇圧剤の使用など)これらとともに緊急に胆道ドレナージ(ERCP)を行う。
閉塞性化膿性胆管炎は致死率が高く1割程度
②中等症例
初期治療とともにすみやかに胆道ドレナージを行う
③軽症例
緊急胆道ドレナージを必要としないことが多い。しかし、総胆管結石が存在する場合や、初期治療(24時間以内)に反応しない場合には胆道ドレナージを行う。

参考記事)急性胆嚢炎の画像診断

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