先に結論:急性胆管炎の画像診断
- 急性胆管炎は、胆石や腫瘍で胆管がふさがり、たまった胆汁に細菌が感染した状態で、発熱・腹痛・黄疸が典型です。急速に敗血症・ショックに進むことがあり、胆道ドレナージ(内視鏡で胆汁を出す)が治療の柱です
- 画像の役割は、胆管拡張と閉塞の原因(結石・腫瘍・狭窄)を見つけることです。まずエコー、次にCT(結石は単純CTで見えることも)、MRCPで確認します。造影CTの早期相で肝臓がまだらに濃く染まることがありますが、胆管炎に特有の所見はありません
- 診断と重症度は現行のTokyo Guidelines 2018で判定します(本文の基準は旧版のため注記を追加しました)
※発熱と腹痛、皮膚や目が黄色くなったときは、すぐに受診してください。
胆管炎(Acute Cholangitis)はなぜ怖いか?
胆管炎はなぜ怖いの?
→胆道内圧↑
→逆行性細菌感染
→胆管炎
→Cholangiovenous refluxにより細菌やエンドトキシン血中流入
→敗血症、エンドトキシンショック
→DIC
→多臓器不全
→死 という経過をたどることがあるから。

・症状では、急激な悪寒戦慄で発症し、上腹部痛、発熱、黄疸(Charcotの3徴)から、精神錯乱or傾眠、ショック(Reynolds5徴)を合併し=急性化膿性胆管炎に進展。
・血液検査:WBC↑、CRP↑、肝胆道系酵素↑(AST,ALT,ALP,γGTP,T-bil)、AMY↑、腎機能障害、Plt↓、低酸素血症
・胆嚢炎のほとんどの原因である胆石のほか、胆管炎は良性疾患・悪性腫瘍に伴う胆道狭窄が原因となる。胆道閉塞が起こり、胆汁中に感染を伴うことが胆管炎を起こす。
急性胆管炎の診断基準
現行のTokyo Guidelines 2018(TG18)では、TG13の診断基準・重症度判定基準がそのまま採用されています(Kiriyama 2018)。以前の国内ガイドライン(2005年)の基準は改訂されています。
| 項目 | 内容(目安) |
|---|---|
| A. 全身の炎症所見 | A-1 発熱(38℃超)・悪寒戦慄 A-2 炎症反応(白血球 4,000/μL未満または10,000/μL超、CRP≧1mg/dL) |
| B. 胆汁うっ滞所見 | B-1 黄疸(T-Bil≧2mg/dL) B-2 肝機能検査異常(ALP・γGTP・AST・ALTが基準値上限の1.5倍超) |
| C. 胆管病変の画像所見 | C-1 胆管拡張 C-2 原因の所見(狭窄・結石・ステントなど) |
| 疑診 | Aのいずれか+BまたはCのいずれか |
| 確診 | A・B・Cそれぞれのいずれか |
| 重症度 | 判定 |
|---|---|
| 重症(Grade III) | 次の臓器障害のいずれか:循環(昇圧剤が必要)、意識障害、呼吸(PaO2/FiO2比300未満)、腎(乏尿・Cr>2.0mg/dL)、肝(PT-INR>1.5)、血液(血小板10万/mm3未満) |
| 中等症(Grade II) | 次のうち2つ以上:白血球異常(12,000/mm3超または4,000/mm3未満)、39℃以上の発熱、75歳以上、T-Bil≧5mg/dL、低アルブミン血症(基準値下限×0.7未満) |
| 軽症(Grade I) | 重症・中等症にあてはまらないもの |
(Kiriyama 2012、Kiriyama 2018)
なお、発熱・腹痛・黄疸がそろうCharcot(シャルコー)3徴は特異度95.6%と高い一方、感度は26.4%と低く、3徴がそろわなくても胆管炎は否定できません(Kiriyama 2012)。
急性胆管炎の画像所見は?
▶︎CT or エコー(まずはエコー。低侵襲で簡便なためガイドラインでも第一選択とされる(日本肝胆膵外科学会ほか 2018))
- 肝外(しばしば肝内も)胆管の拡張
- 早期相での肝実質のモヤモヤな染まり=動脈血流が増加した状態。
- 胆嚢腫大
- 胆管周囲の浮腫(periportal/peribiliary edema):造影CTで胆管周囲が低吸収に見える所見。胆管炎群の52.2%、非胆管炎群の23.3%にみられ、ある例では血液培養陽性が多かった(Akaike 2013)
- 総胆管結石の存在 など
※ただし、急性胆管炎に特異的な画像所見はない。※一方で、ダイナミックCTの早期相の肝実質の不均一濃染(THAD)の広がり・胆管拡張・閉塞の原因の有無を点数化した検討(胆管炎39例)では、5点以上を陽性とすると感度84.6〜89.7%・特異度83.7%で急性胆管炎を診断できたと報告されています。単独の所見ではなく組み合わせで評価するのがポイントです。
※総胆管結石を疑いCTをする場合は単純CTも撮影する。結石が高吸収に写る場合がある。これを造影すると、胆管周囲の膵臓の吸収値が増大することにより、胆石とのコントラストが不明瞭となり、結石が見えにくくなることがしばしばある。総胆管結石を見落とす原因になるため、単純CTは必須といえる。
※尿路結石はCTでほぼ写るが、総胆管結石、胆嚢結石はカルシウムを含む石以外は写らない。
MRI・MRCPでの所見
MRCPは造影剤を使わずに胆管全体を描出でき、エコーやCTで原因がはっきりしないときに追加します。急性胆管炎で多かったMRI所見は次のとおりです(Eun 2012)。
- 胆管周囲の一過性信号差(造影早期の肝実質の濃染、CTのTHADに相当):47%
- T2強調像での胆管周囲の高信号:39%
- 肝膿瘍:27%、血栓:18%、胆管壁の不整:17%
この検討では、MRIで胆管異常の原因を94%で正しく判定できました(Eun 2012)。
・胆汁感染の有無を画像所見により判定することはできないため、画像診断により急性胆管炎を診断することは困難である。
・急性胆管炎における画像診断の意義は、主として胆道閉塞の有無、ならびにその原因となる胆管結石や胆管狭窄などを証明することにある。
参考)「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」(日本肝胆膵外科学会 TG18 急性胆管炎診断基準・重症度判定基準)
肝内胆管に炎症があると、どうして早期動脈相でもやもやになるか?

・胆管に感染がおこると、胆管およびグリソン鞘に浮腫が起こり、肝動脈および門脈が圧排される。その程度は柔らかい門脈により顕著であり、普段、動脈血>門脈血であるが、その相対的な差はさらに増大することになる。結果、より動脈相での染まりが局所的に目立つようになる。また門脈周囲には両側浮腫により低吸収域に見えるようになる、これをperiportal collarという。
逆に言えば、動脈相で肝実質の造影効果増強→グリソン鞘浮腫・胆管炎を示唆!ダイナミックCTの早期相で肝実質の不均一な濃染は急性胆管炎の85%にみられた一方、対照群でも5%にみられ、治療後には多くの例で軽減・消失したと報告されています(Arai 2003)。別の検討では胆道疾患の67.9%、対照の1.78%にみられました(Pradella 2009)。ただしこの濃染(THAD)は胆管炎以外の病気でもみられるため、胆管拡張や閉塞の原因とあわせて判断します。
急性胆管炎の治療指針
重症度判定を行い、重症度に応じた治療を行う。
頻回に再評価を行う。
| ①重症例 |
| 適切な臓器サポート(十分な輸液、抗生剤、DICに準じた治療など)呼吸循環管理(気管挿管、人工呼吸管理、昇圧剤の使用など)初期治療と呼吸循環管理で全身状態を改善させたうえで、できるだけ早く胆道ドレナージ(内視鏡的または経皮経肝的)を行う。 ※重症急性胆管炎は致死率が高い。 |
| ②中等症例 |
| 初期治療とともにすみやかに胆道ドレナージを行う |
| ③軽症例 |
| 抗菌薬を含む初期治療で十分なことが多く、ほとんどの例で胆道ドレナージは必要ない。初期治療に反応しない場合は胆道ドレナージを考慮する(Miura 2018)。 |
急性胆管炎でよくある疑問(Q&A)
Q. 逆行性胆管炎とは?
A. 腸の細菌が十二指腸側から胆管へさかのぼって(逆行して)起こる胆管炎を指す呼び名です。胆管と腸をつないだ手術のあとや、胆管ステントが入っている人で起こりやすく、CTでは胆管内の空気(胆道気腫)を伴うことがあります。
Q. 急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)とは?
A. 胆管が詰まって膿のような胆汁がたまり、ショックや意識障害(Reynolds5徴)を伴う重い胆管炎を指す古い呼び名です。現在のTG18では、臓器障害の有無で「重症(Grade III)」として扱います。
参考記事)急性胆嚢炎の画像診断
参考文献
- Kiriyama S, Kozaka K, Takada T, et al. Tokyo Guidelines 2018: diagnostic criteria and severity grading of acute cholangitis (with videos). J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):17-30. PubMed
- Arai K, Kawai K, Kohda W, et al. Dynamic CT of acute cholangitis: early inhomogeneous enhancement of the liver. AJR Am J Roentgenol. 2003;181(1):115-8. PubMed
- Patel NB, Oto A, Thomas S. Multidetector CT of emergent biliary pathologic conditions. Radiographics. 2013;33(7):1867-88. PubMed
- Miura F, Okamoto K, Takada T, et al. Tokyo Guidelines 2018: initial management of acute biliary infection and flowchart for acute cholangitis. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):31-40. PubMed
- Kim SW, Shin HC, Kim HC, et al. Diagnostic performance of multidetector CT for acute cholangitis: evaluation of a CT scoring method. Br J Radiol. 2012;85(1014):770-7. PubMed
- Kiriyama S, Takada T, Strasberg SM, et al. New diagnostic criteria and severity assessment of acute cholangitis in revised Tokyo Guidelines. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2012;19(5):548-556. PubMed
- Pradella S, Centi N, La Villa G, et al. Transient hepatic attenuation difference (THAD) in biliary duct disease. Abdom Imaging. 2009;34(5):626-633. PubMed
- Eun HW, Kim JH, Hong SS, et al. Assessment of acute cholangitis by MR imaging. Eur J Radiol. 2012;81(10):2476-2480. PubMed
- Akaike G, Ishiyama M, Suzuki S, et al. Significance of peribiliary oedema on computed tomography in diagnosis and severity assessment of acute cholangitis. Eur J Radiol. 2013;82(9):e429-e433. PubMed
- 日本肝胆膵外科学会ほか. Tokyo Guidelines 2018 急性胆管炎診断基準、重症度判定基準(日本語版). 2018. 学会PDF
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →

急性胆管炎という病態を画像診断で提示した経験がありません
ステント留置とか、術後の胆管壁の造影増強にて、胆管炎の合併と指摘した経験のみです
画像から急性肝炎考慮するような場合、急性胆管炎も考慮するべきでしょうか?
専門医がいれば、臨床から鑑別されうると思いますが、なんとなく外来やっている医師多しの病院では
その読影結果の影響も心配な感じがあります
画像診断医としては、肝臓の造影のされ方や胆管拡張や石の存在から、急性胆管炎を挙げるべきか
ご教授願えますでしょうか?
コメントありがとうございます。
>画像から急性肝炎考慮するような場合、急性胆管炎も考慮するべきでしょうか?
胆管炎があっても画像上は異常所見を来さないこともありますので、画像はあくまで補助的ですね。
>肝臓の造影のされ方や胆管拡張や石の存在から、急性胆管炎を挙げるべきか
そうですね。
ダイナミックCTで早期相でまだらな造影効果を認めたり、肝内胆管の拡張や造影効果を認める場合は、採血データなども参考にしつつ胆管炎も考慮に入れます。
あとはperiportal collarもですね。