この記事の結論

  • 医師・医学生1,158人のアンケートでは、最も多く使われていたAIはChatGPTでした。
  • ChatGPTは医師・医学生ともに約43%で、ほぼ同じ割合でした。
  • 医学生ではGemini、医師ではOpenEvidenceの利用が比較的目立ちました。
  • 医師は文献検索・医学情報整理、医学生は学習・試験対策にAIを使う傾向がありました。

 

2026年度春現在、医師や医学生はどのようなAIを、どのような目的で使っているのでしょうか。

ChatGPTを日常的に使う人もいれば、Gemini、Perplexity、OpenEvidence、NotebookLMなどを用途に応じて使い分けている人もいます。一方で、「まだAIは使っていない」「医療情報にAIを使うのは少し不安」という人も少なくありません。

今回のアンケートは、画像診断関連の無料講座に登録していただく際に行ったものです。そのため、回答者には画像診断や医学学習に関心のある医師・医学生が多く含まれていると考えられます。

全回答1,745件のうち、職業が「医師」または「医学生」と回答されていた1,158件を抽出し、使っているAIとその使用目的について分析しました。

私自身も、普段はChatGPTを中心に使っています。

記事作成、文章の整理、アイデア出し、画像診断コンテンツの構成案作成など、ChatGPTはかなり幅広く活用しています。

一方で、Geminiは画像生成、特にNano Banana Proを使う場面が増えています。医学記事用のインフォグラフィックや、SNS投稿用の画像作成などでは、画像生成AIの進歩をかなり実感しています。

また最近は、Claude Codeの勉強も始めています。WordPress、記事作成、データ整理、サイト改善、自動化などに活用できる可能性があり、医師であってもAIを「調べ物ツール」として使うだけでなく、「作業環境そのものを改善する道具」として使う時代になってきたと感じています。

では、実際に医師・医学生はどのAIを使い、何に活用しているのでしょうか。

本記事では、医師893件、医学生265件、合計1,158件の回答をもとに、医師・医学生におけるAI活用の実態を見ていきます。

今回のアンケート対象

今回の元データは全1,745件でした。そのうち、職業欄が「医師」または「医学生」となっていた回答のみを抽出しました。

職業 件数
医師 893件
医学生 265件
合計 1,158件

本記事では、この1,158件を対象として、医師・医学生がどのようなAIを使っているのか、またどのような目的でAIを活用しているのかを見ていきます。

注意:本アンケートは自由記述形式の回答を含んでいます。そのため、AI名や使用目的は回答文中のキーワードをもとに分類しています。複数のAIや複数の目的を記載している回答もあるため、各項目の割合は重複を含みます。また、表記ゆれや入力ゆれを整理したうえで集計しています。

最も使われていたAIはChatGPT

まず、使っているAIとして最も多く名前が挙がったのはChatGPTでした。

AIツール 全体 n=1,158 医師 n=893 医学生 n=265
ChatGPT 497件(42.9%) 383件(42.9%) 114件(43.0%)
Gemini 126件(10.9%) 82件(9.2%) 44件(16.6%)
OpenEvidence 48件(4.1%) 45件(5.0%) 3件(1.1%)
Perplexity 32件(2.8%) 25件(2.8%) 7件(2.6%)
NotebookLM 24件(2.1%) 18件(2.0%) 6件(2.3%)
Copilot 14件(1.2%) 11件(1.2%) 3件(1.1%)
Claude 10件(0.9%) 10件(1.1%) 0件(0%)

ChatGPTは、医師で42.9%、医学生で43.0%と、ほぼ同じ割合でした。

この結果から、少なくとも今回のアンケートにおいては、ChatGPTは医師・医学生の両方にとって、最も一般的に使われているAIであるといえます。

興味深いのは、ChatGPTの利用割合が医師と医学生でほとんど変わらない点です。医師だから多い、医学生だから多いというよりも、医療者・医学生に共通する標準的なAIツールとしてChatGPTが浸透していると考えられます。

Geminiは医学生でやや多い

ChatGPTに次いで多かったのはGeminiでした。

Geminiは全体では126件、10.9%でしたが、職業別に見ると医師では9.2%、医学生では16.6%でした。

つまり、今回のデータではGeminiは医師よりも医学生でやや多く使われている傾向がありました。

GeminiはGoogle検索との親和性やスマホでの使いやすさ、画像生成機能などもあり、学生の学習用途や日常的な調べ物に使われやすいのかもしれません。

私自身も、文章作成や情報整理ではChatGPTを中心に使っていますが、画像生成ではGemini、特にNano Banana Proを使う場面が増えています。医学記事やSNS投稿では、テキストだけでなく画像や図解の重要性が高まっており、こうした画像生成AIの使い分けも今後さらに広がっていく可能性があります。

OpenEvidenceは医師寄りのAI

今回の集計で特徴的だったのが、OpenEvidenceです。

OpenEvidenceは全体では48件、4.1%でしたが、その内訳は医師45件、医学生3件でした。

つまり、OpenEvidenceは明らかに医師側で多く使われていました。

これは、OpenEvidenceが医学論文や診療に関連する情報検索、疾患・治療方針・エビデンス確認など、より臨床に近い文脈で使われやすいAIであるためと考えられます。

ChatGPTが汎用的なAIであるのに対し、OpenEvidenceは医療情報に特化したAIとして認識されている可能性があります。

今回のタイトルにある「ChatGPT一強?それとも医療特化AIの時代?」という問いに対しては、現時点では利用者数としてはChatGPTが圧倒的に多いが、医師の一部ではOpenEvidenceのような医療特化AIも使われ始めている、というのが実態に近そうです。

AIを何に使っているのか?

次に、医師・医学生がAIをどのような目的で使っているのかを見ていきます。

使用目的 全体 n=1,158 医師 n=893 医学生 n=265
医学知識・疾患調査 393件(33.9%) 304件(34.0%) 89件(33.6%)
論文検索・抄読会・文献整理 244件(21.1%) 204件(22.8%) 40件(15.1%)
文章作成・添削・メール 161件(13.9%) 116件(13.0%) 45件(17.0%)
学習・試験対策 133件(11.5%) 49件(5.5%) 84件(31.7%)
日常相談・雑談 112件(9.7%) 83件(9.3%) 29件(10.9%)
要約・整理 97件(8.4%) 72件(8.1%) 25件(9.4%)
翻訳・英語 48件(4.1%) 38件(4.3%) 10件(3.8%)
画像生成・デザイン 32件(2.8%) 31件(3.5%) 1件(0.4%)
プログラミング・データ処理 16件(1.4%) 14件(1.6%) 2件(0.8%)

医師は「医学情報の整理」と「文献検索」に使っている

医師で多かった使用目的は、医学知識・疾患調査、論文検索、文献整理、文章作成などでした。

具体的には、以下のような使い方が多いと考えられます。

  • 疾患について調べる
  • 鑑別診断を整理する
  • 治療方針や薬剤について確認する
  • 論文を検索する
  • 抄読会の準備をする
  • 英語論文を要約する
  • メールや文章のたたき台を作る
  • 患者説明用の文章を整える

医師にとってAIは、単なる雑談相手ではなく、医学情報を短時間で整理する補助ツールとして使われ始めているといえます。

特に、論文検索・抄読会・文献整理は医師で204件、22.8%と、医学生よりも高い割合でした。

診療の中で生じた疑問を調べる、発表準備をする、ガイドラインや論文を確認する、といった場面でAIを使う医師が増えていることがうかがえます。

医学生は「学習・試験対策」に使っている

医学生で最も特徴的だったのは、学習・試験対策です。

医師では学習・試験対策が49件、5.5%だったのに対し、医学生では84件、31.7%でした。

これはかなり大きな差です。

医学生にとってAIは、検索ツールというよりも、家庭教師、要約係、解説係に近い使われ方をしている可能性があります。

例えば、以下のような使い方です。

  • 講義資料を要約してもらう
  • わからない医学用語をかみ砕いて説明してもらう
  • 試験問題の解説をしてもらう
  • CBT、国試、卒試の勉強に使う
  • レポートや発表資料のたたき台を作る
  • 英語論文や医学英語の理解に使う

特に医学生では、AIが「わからないことをすぐに聞ける相手」として機能している印象があります。

もちろん、AIの回答が常に正しいわけではありません。そのため、医学教育においてAIを使う場合には、教科書、講義資料、ガイドライン、信頼できる医学情報と照らし合わせる姿勢が重要です。

AIを使っていない人も1割強いる

AI利用は広がっている一方で、明確に「使っていない」「なし」「使用していません」などと回答している人もいました。

今回のデータでは、明確な未使用回答は128件、全体の約11.1%でした。

職業 明確な未使用回答
医師 104件
医学生 24件
合計 128件

さらに、「信用してよいかわからない」「ハルシネーションが不安」「あまり活用できていない」といった慎重な回答まで含めると、148件、約12.8%でした。

医療分野では、AIの誤情報、いわゆるハルシネーションは大きな問題です。

特に、診断、治療、薬剤、ガイドラインに関わる内容では、AIの回答をそのまま鵜呑みにするのは危険です。

AIは便利な道具ですが、医療者が使う場合には、最終判断は人間が行うという前提が欠かせません。

回答者の中心は若手医師と高学年医学生

今回の回答者の内訳を見ると、医師では1〜2年目の回答が多く、医学生では4〜6年生の回答が多い傾向がありました。

医師の年次

医師の年次 件数
1〜2年目 581件
3〜5年目 99件
6〜10年目 78件
11年目以上 121件
不明・入力ゆれ 14件

医師回答の中心は、初期研修医から若手医師層でした。

そのため、今回の結果はすべての医師全体というよりも、若手医師を中心としたAI利用実態を反映している可能性があります。

医学生の学年

医学生の学年 件数
6年 92件
5年 59件
4年 58件
1〜3年 31件
0年目・国試後など 19件
不明・入力ゆれ 6件

医学生では4〜6年生が中心でした。

つまり、今回の医学生データは、低学年の一般教養というよりも、臨床実習、CBT、卒試、国試などに近い層のAI利用を反映していると考えられます。

ChatGPT一強なのか?医療特化AIの時代なのか?

今回の結果を見る限り、現時点ではChatGPTが最も広く使われていることは明らかです。

医師でも医学生でも、ChatGPTの利用割合は約43%でした。

一方で、Gemini、OpenEvidence、Perplexity、NotebookLMなども一定数使われており、用途によってAIを使い分ける流れも見えてきます。

特に医師では、OpenEvidenceのような医療特化AI、Perplexityのような検索型AI、NotebookLMのような資料整理型AIが使われ始めています。

したがって、現時点では、

  • 日常的な相談・文章作成・情報整理はChatGPT
  • Google系の検索や画像生成ではGemini
  • 医学論文やエビデンス確認ではOpenEvidenceやPerplexity
  • 資料やPDFの整理ではNotebookLM
  • サイト改善や自動化ではClaude Codeなどの開発支援AI

というように、目的別にAIを使い分ける時代に入りつつあると考えられます。

医師・医学生にとってAIは「使うかどうか」から「どう使うか」へ

数年前までは、AIを使っているだけで新しい印象がありました。

しかし、2026年度春現在では、少なくとも若手医師や医学生の間では、AIはかなり身近な存在になってきています。

今後は、「AIを使うかどうか」ではなく、どのAIを、どの場面で、どのように安全に使うかが重要になるでしょう。

特に医療分野では、以下のような使い方が現実的です。

  • 医学知識の整理
  • 鑑別診断の抜け漏れ確認
  • 論文やガイドラインの下調べ
  • 英語論文の要約
  • 患者説明文のたたき台作成
  • 学習内容の復習
  • 試験対策
  • プレゼン資料や講義資料の構成作成
  • WordPress記事やSNS投稿の作成補助
  • 画像生成やインフォグラフィック作成
  • プログラミングや業務自動化

ただし、AIは便利である一方で、誤った情報をもっともらしく出力することがあります。

そのため、医療者がAIを使う場合には、AIを「答えを出す存在」としてではなく、「考える材料を整理する補助者」として使うことが重要です。

まとめ

今回、医師・医学生1,158人を対象に、使っているAIとその使用目的を分析しました。

  • 最も使われていたAIはChatGPTで、医師・医学生ともに約43%だった
  • Geminiは医学生でやや多く使われていた
  • OpenEvidenceは医師での利用が中心だった
  • 医師は医学情報の整理、論文検索、文章作成にAIを使う傾向があった
  • 医学生は学習・試験対策にAIを使う傾向が強かった
  • AIを使っていない、または慎重に見ている人も1割強存在した

現時点では、医師・医学生のAI利用はChatGPTを中心に広がっています。

一方で、Gemini、OpenEvidence、Perplexity、NotebookLM、Claude Codeなど、目的に応じてAIを使い分ける流れも出てきています。

医療分野におけるAI活用は、まだ発展途上です。

しかし、今回のアンケート結果を見る限り、医師・医学生にとってAIはすでに身近な存在になりつつあります。

今後は、AIを避けるのではなく、AIの限界を理解したうえで、医学学習や診療準備、文献整理、情報発信にどう活用するかが問われる時代になっていきそうです。

 

 

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