先に結論:移植腎のCTでの位置

  • 移植腎は通常下腹部の腸骨窩(右側が多い)に置かれ、外腸骨動静脈につながれ、尿管は膀胱に吻合されます
  • もとの腎臓は摘出しないことが多いため、CTでは萎縮した本来の腎臓+腸骨窩の移植腎が見えます
  • 骨盤内の腫瘤と間違えないことが大切で、移植腎の評価にはドプラ超音波・CTが使われます
  • 腸骨窩(ちょうこつか)は骨盤の腸骨の内側にある浅いくぼみで、左右にあり、右側を右腸骨窩、左側を左腸骨窩と呼びます

移植腎(transplanted kidney)のCT画像における場所

  • 移植腎は通常下腹部である腸骨窩(iliac fossa)に配置される。この部位は、腎臓への血流を容易に確保でき、手術の際のアクセスが容易であるため選ばれる。
  • 移植腎は、既存の腎臓を摘出せず、新たに下腹部に配置されるのが一般的である。

 

腸骨窩(ちょうこつか)とはどこ?

骨盤の内側にあるくぼみ状の部分を指す。腸骨の内側面に位置し、骨盤内臓器を支える空間の一部を形成する。腎移植では、この部位が移植腎の設置場所として選ばれることが多い。移植腎は腹膜の外(腹膜外)に置かれ、腎動静脈は外腸骨動静脈につながれる(Kolofousi 2013)。

右腸骨窩・左腸骨窩という言葉は、腹部の場所(右下腹部・左下腹部)を表すときにも使われます。腸骨窩の内面からは腸骨筋が起こり、すぐ内側を大腰筋と外腸骨動静脈が走ります。

 

症例 50歳代女性 腎移植後

引用:Radiopaedia

両側腎萎縮を認めています。また左腸骨窩に移植腎を認めていることがわかります。

既存の腎臓を摘出せずに腎移植が施行されていることを確認できます。

術後の経過観察とCTの役割

  • 移植腎の血流評価の第一選択はドプラ超音波で、造影CTは腎機能に配慮しつつ追加評価に用いる。腎実質への血流分布を詳細に評価できる。血流障害が疑われる場合、移植腎の拒絶反応や血栓症の早期発見につながる。
  • 慢性的な移植腎障害(旧称:慢性移植腎症、現在のBanff分類では間質線維化・尿細管萎縮[IF/TA]など)においては、腎萎縮や皮質の菲薄化などの形態変化を評価する。

移植腎の経過観察では、安価で非侵襲的かつ腎毒性のない超音波が主たる画像検査とされる。頻度の高い合併症は移植腎周囲の液体貯留、腎機能低下(急性尿細管壊死・拒絶・薬剤毒性)、血管・集合管系・腎実質の異常である。腎移植後の合併症についてはこちら→腎移植後の合併症とCT画像所見

萎縮した自分の腎臓(自己腎)と移植腎のCTでの違い

自己腎(もとの腎臓) 移植腎
場所 上腹部の後腹膜(腰の高さ) 下腹部の腸骨窩(右が多い)
大きさ・形 小さく萎縮し、皮質が薄い。嚢胞が多発することがある ふつうの腎臓に近い大きさ
血管 大動脈から出る腎動脈 外腸骨動静脈につながれる

透析中の萎縮腎には多数の嚢胞ができることがあり(後天性嚢胞性腎疾患)、30例を7年間CTで追った研究では嚢胞のある人が57%から87%に増えました(Levine 1991)。腎細胞癌が生じることもあり、移植後も自己腎に発生した報告があります(Levine 1996)。

腸骨窩と移植腎でよくある疑問(Q&A)

Q. 移植腎はなぜ腸骨窩に置くのですか?
A. 腹膜の外に置け、外腸骨動静脈や膀胱に近いためです。右側に置くことが多く、左側は比較的少ないとされます(Kolofousi 2013)。

移植後に腹部の痛みや尿の異常など気になる症状があれば、移植を担当する医療機関に相談してください。

ドナー評価におけるCTの役割

  • 術前のドナー評価においてもCT検査は重要。
  • 腎動脈の解剖学的構造や腎容積の測定を行い、安全な腎摘出手術を計画するために不可欠。

関連:腎動脈を2本,3本認める過剰腎動脈とは?腎動脈のanomaly

 

参考文献:

  1. Akbar SA, et al. Complications of renal transplantation. RadioGraphics. 2005;25(5):1335-1356. PubMed
  2. Sugi MD, et al. Imaging of renal transplant complications throughout the life of the allograft: comprehensive multimodality review. RadioGraphics. 2019;39(5):1327-1355. PubMed
  3. Brown ED, Chen MY, Wolfman NT, et al. Complications of renal transplantation: evaluation with US and radionuclide imaging. Radiographics. 2000;20(3):607-22. PubMed
  4. Kolofousi C, Stefanidis K, Cokkinos DD, et al. Ultrasonographic features of kidney transplants and their complications: an imaging review. ISRN Radiol. 2013;2013:480862. PubMed
  5. Levine E, Slusher SL, Grantham JJ, et al. Natural history of acquired renal cystic disease in dialysis patients: a prospective longitudinal CT study. AJR Am J Roentgenol. 1991;156(3):501-506. PubMed
  6. Levine E. Acquired cystic kidney disease. Radiol Clin North Am. 1996;34(5):947-964. PubMed

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