腎血管の正常解剖

  • 腎動脈は上腸間膜動脈(SMA)の起始部より1-2cm尾側から分岐する。
  • 腎動脈は腎門に入る前に、4-5本の分節動脈(segmental artery)に分岐する。
  • 分節動脈は腎実質内で多数の葉間動脈(interlobar artery)に分岐して、皮質髄質境界を腎表面に向かって走行する。
  • 腎錐体を縁取るように弯曲した後は弓状動脈(arcuate artery)となり、その後、多数の小葉間動脈(interlobular artery)が分岐する。
  • その後は、輸入細動脈、糸球体、輸出細動脈などの微細構造に変化して、逆方向に静脈となり腎門部で腎静脈に合流する。

腎動脈のanomaly

  • 腎動脈のanomalyは過剰腎動脈(extra renal artery,accessory renal artery)と早期分岐(early division)の2つに大きく分けられる。

過剰腎動脈(extra renal artery,accessory renal artery)

  • 20−30%の頻度で2本や3本、最大4本の腎動脈が同側に見られる、過剰腎動脈と呼ばれる。これらの過剰動脈はTh11~L4レベルの下横隔膜動脈から内腸骨動脈の間で生じる。
  • 腎門を通過するhilar (accessory) arteryと、腎門は通らず直接皮質から腎内に侵入するpolar (aberrant) arteryに分類される。
  • 過剰腎動脈の交叉部が尿路狭窄の原因となることがある。
  • 腎内動脈の分岐も変異が多い。
  • 上極動脈は腎動脈本幹から分岐するのが12%、大動脈から直接分岐するものが7%といわれている。
  • まれに、1本の腎動脈が両側を栄養したり、腎の一部が対側の腎動脈から栄養されることもある。
  • 交差性異所性腎は腎動脈が1側に見られ、対側の腸骨動脈から腎動脈が入っていることもある。
  • 馬蹄腎では多数の腎動脈が見られる。下方では腸骨動脈から栄養動脈を認めることがしばしばある。

参考文献

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