3D-FSEはスピンエコー系の一部であり、高解像度の3次元画像を高速で取得するために使用されます。
スピンエコー法に基づいているため、通常のスピンエコーシーケンスに類似した信号特性を持ちます。3D-FSEシーケンスの信号特性は、使用するパラメータ(エコー時間(TE)やリピート時間(TR)など)によって異なります。
3D-FSEの種類と強調の違い
3D-FSEの種類は、主に以下の撮影パラメータによって決まります。
- リピート時間(TR: Repetition Time):
- 短いTR: T1強調を得るために使用されます。
- 長いTR: T2強調またはPD強調を得るために使用されます。
- エコー時間(TE: Echo Time):
- 短いTE: T1強調またはPD強調を得るために使用されます。
- 長いTE: T2強調を得るために使用されます。
3D-FSE(Three-Dimensional Fast Spin Echo)での強調の違い
T1強調3D-FSE
- 設定: TRとTEが短い設定。
- 特徴:
- 脂肪が高信号として描出されます。
- 水分の多い組織(脳脊髄液など)は低信号として描出されます。
- 注釈: 造影MRIでは一般的に使用されず、T1強調画像は主に3D-FSPGRや3D-SPGRが使用されます。
T2強調3D-FSE
- 設定: TRとTEが長い設定。
- 特徴:
- 水分の多い組織(浮腫、脳脊髄液、嚢胞など)が高信号として描出されます。
- 脂肪や急性期の出血は低信号として描出されます。
PD強調3D-FSE
- 設定: TRが長く、TEが短い設定。
- 特徴:
- プロトン密度に基づいて信号強度が決定されます。水分の多い組織や脂肪などが中間から高信号として描出されます。
- 微細な構造のコントラストを提供するために使用されます。
FLAIR強調3D-FSE
- 設定: T2強調に似ていますが、長いTRと中程度のTEを使用し、脳脊髄液(CSF)信号を抑制するために特別な準備パルスを追加。
- 特徴:
- 脳脊髄液の信号が抑制され、脳実質内の病変が高信号として描出されます。
- 水分の多い病変(浮腫、炎症、腫瘍など)が明確に描出されます。
実際の臨床応用
3D-FSE技術を用いることで、各強調画像がどのような場合に使用されるかを以下に示します。
T1強調3D-FSE
- 解剖学的評価: 脳の詳細な解剖学的構造を評価するのに適しています。
- 注釈: 通常の臨床設定ではT1強調画像の撮影に3D-FSEは使用されず、造影剤使用後の評価には3D-FSPGRや3D-SPGRが使用されます。
T2強調3D-FSE
- 病変の検出: 浮腫や水分を多く含む病変(例:腫瘍、嚢胞、炎症)の検出に優れています。
- 脳の詳細な構造評価: 白質と灰白質の対比を明確にし、脳の構造を詳細に評価します。
PD強調3D-FSE
- 詳細な解剖学的評価: 微細な解剖学的構造の評価に適しており、特定の病変の詳細を明確に描出します。
- 特定の病変評価: 一部の脳病変や特定の関節病変の評価に使用されますが、脳の標準的な撮影にはあまり頻繁に使用されません。
FLAIR強調3D-FSE
- 病変の検出: 脳脊髄液の信号を抑制することで、脳実質内の病変(例:多発性硬化症、虚血性病変など)の検出に優れています。
- 脳の詳細な構造評価: 水分の多い病変を明確に描出し、脳内の病変の詳細な評価に適しています。
まとめ
3D-FSEは非造影でT2強調やPD強調、FLAIR強調の画像を得るために主に使用されます。造影MRIでT1強調画像を撮影する際には、通常3D-FSPGRや3D-SPGRが使用されます。これにより、造影剤の効果を最大限に活かし、高速かつ高解像度の画像を提供します。各シーケンスの特性を理解し、適切に使い分けることで、最も効果的な診断が可能となります。