3D-FSEはスピンエコー系の一部であり、高解像度の3次元画像を高速で取得するために使用されます。

スピンエコー法に基づいているため、通常のスピンエコーシーケンスに類似した信号特性を持ちます。3D-FSEシーケンスの信号特性は、使用するパラメータ(エコー時間(TE)やリピート時間(TR)など)によって異なります。

3D-FSEの種類と強調の違い

3D-FSEの種類は、主に以下の撮影パラメータによって決まります。

  1. リピート時間(TR: Repetition Time):
    • 短いTR: T1強調を得るために使用されます。
    • 長いTR: T2強調またはPD強調を得るために使用されます。
  2. エコー時間(TE: Echo Time):
    • 短いTE: T1強調またはPD強調を得るために使用されます。
    • 長いTE: T2強調を得るために使用されます。

3D-FSE(Three-Dimensional Fast Spin Echo)での強調の違い

T1強調3D-FSE

  • 設定: TRとTEが短い設定。
  • 特徴:
    • 脂肪が高信号として描出されます。
    • 水分の多い組織(脳脊髄液など)は低信号として描出されます。
  • 注釈: 造影MRIでは一般的に使用されず、T1強調画像は主に3D-FSPGRや3D-SPGRが使用されます。

T2強調3D-FSE

  • 設定: TRとTEが長い設定。
  • 特徴:
    • 水分の多い組織(浮腫、脳脊髄液、嚢胞など)が高信号として描出されます。
    • 脂肪や急性期の出血は低信号として描出されます。

PD強調3D-FSE

  • 設定: TRが長く、TEが短い設定。
  • 特徴:
    • プロトン密度に基づいて信号強度が決定されます。水分の多い組織や脂肪などが中間から高信号として描出されます。
    • 微細な構造のコントラストを提供するために使用されます。

FLAIR強調3D-FSE

  • 設定: T2強調に似ていますが、長いTRと中程度のTEを使用し、脳脊髄液(CSF)信号を抑制するために特別な準備パルスを追加。
  • 特徴:
    • 脳脊髄液の信号が抑制され、脳実質内の病変が高信号として描出されます。
    • 水分の多い病変(浮腫、炎症、腫瘍など)が明確に描出されます。

実際の臨床応用

3D-FSE技術を用いることで、各強調画像がどのような場合に使用されるかを以下に示します。

T1強調3D-FSE

  • 解剖学的評価: 脳の詳細な解剖学的構造を評価するのに適しています。
  • 注釈: 通常の臨床設定ではT1強調画像の撮影に3D-FSEは使用されず、造影剤使用後の評価には3D-FSPGRや3D-SPGRが使用されます。

T2強調3D-FSE

  • 病変の検出: 浮腫や水分を多く含む病変(例:腫瘍、嚢胞、炎症)の検出に優れています。
  • 脳の詳細な構造評価: 白質と灰白質の対比を明確にし、脳の構造を詳細に評価します。

PD強調3D-FSE

  • 詳細な解剖学的評価: 微細な解剖学的構造の評価に適しており、特定の病変の詳細を明確に描出します。
  • 特定の病変評価: 一部の脳病変や特定の関節病変の評価に使用されますが、脳の標準的な撮影にはあまり頻繁に使用されません。

FLAIR強調3D-FSE

  • 病変の検出: 脳脊髄液の信号を抑制することで、脳実質内の病変(例:多発性硬化症、虚血性病変など)の検出に優れています。
  • 脳の詳細な構造評価: 水分の多い病変を明確に描出し、脳内の病変の詳細な評価に適しています。

まとめ

3D-FSEは非造影でT2強調やPD強調、FLAIR強調の画像を得るために主に使用されます。造影MRIでT1強調画像を撮影する際には、通常3D-FSPGRや3D-SPGRが使用されます。これにより、造影剤の効果を最大限に活かし、高速かつ高解像度の画像を提供します。各シーケンスの特性を理解し、適切に使い分けることで、最も効果的な診断が可能となります。

ご案内

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。