三角筋粗面(deltoid tuberosity)
- 三角筋は前部、中部、後部の3つにわかれる、その停止はいずれも上腕骨の近位1/3の外側に存在する三角筋粗面(deltoid tuberosity)であり、1点に集中するため、生理的にストレスが加わった状態となる。
- 同部のみ骨皮質が不均一に肥厚したように見えることがあるが、病的意義に乏しく正常変異である。どの年齢にも認められる。
- ときに放射状(いわゆるspicula様)の形態を示すことがあり、病的な骨膜反応と誤診しないように注意が必要。あたかも腫瘍のように見え、特に骨シンチやMRIで異常信号を示すものは、pseudotumor deltoideusとよばれる。
- deltoid tuberosityという用語は本来は既存の三角筋粗面の解剖学名であるが、正常変異のときも同じ名前で呼ばれるので注意。
症例 40歳代男性
引用:radiopedia
上腕骨骨幹部外側の骨皮質に肥厚があり、一見骨膜反応様の外観を示しているが三角筋粗面(deltoid tuberosity)の正常変異。
参考文献:
- 画像診断 Vol.40 No.2020 P859
- 画像診断に絶対強くなるツボをおさえる! P129-31