先に結論:EVAR・TEVAR後のエンドリークのタイプ
エンドリークとは、大動脈瘤をステントグラフトで治療(EVAR・TEVAR)したあとに、ステントグラフトの外側で瘤の中に血液が流れ込み続けている状態のことです。ステントグラフト治療で最も多い合併症で、どこから漏れているかでタイプⅠ〜Ⅴに分けます。
| タイプ | 原因 | 対応 |
|---|---|---|
| Ⅰ(Ⅰa中枢端・Ⅰb末梢端) | ステントグラフトの端と血管の密着不良 | 破裂の危険・速やかに治療 |
| Ⅱ(最多) | 腰動脈・下腸間膜動脈など枝からの逆流 | 多くは経過観察。瘤が大きくなれば治療 |
| Ⅲ | グラフトのつなぎ目のずれ・破損 | 速やかに治療 |
| Ⅳ | グラフトの布からのしみ出し(留置直後) | 多くは自然に消える |
| (Ⅴ) | リークが見えないのに瘤が大きくなる(endotension) | 経過を見て検討 |
評価は造影CT(動脈相+後期相)が基本です。Ⅰ・Ⅲは大動脈の圧が直接かかり動脈相から、Ⅱ・Ⅳは流れが遅く後期相で見えやすいのが特徴で、瘤の大きさの変化を必ず比較します。
ステントグラフト、TEVAR、EVARとは?
- ステントグラフトは人工血管(グラフト)と金属製の骨組み(ステント)で構成され、動脈瘤にステントグラフトを留置することにより、瘤内への血流流入を防ぎ、動脈瘤に血圧がかからなくなるため、動脈瘤の破裂を防ぐ治療法として用いられる。
- 国内でも企業製ステントグラフトによる治療が広く行われている。
- 胸部大動脈瘤に対するものをthoracic endovascular aortic repair(TEVAR(読み方はティーバー))、腹部大動脈瘤に対するものをendovascular aortic repair(EVAR(読み方はイーバー))と呼ぶ。
- EVAR・TEVAR後の大動脈瘤には動脈瘤内腔とステントグラフトの間に空間が生じる。この動脈瘤内でステントグラフト外の空間に治療後血流が残存する状態をエンドリークとよぶ。
- ステントグラフトに伴う合併症としてはエンドリークが最多。
- エンドリーク評価にはCT、超音波検査、血管造影、MRIが用いられるが、造影CTによる評価が一般的。
エンドリークのタイプ、分類は?

- エンドリークはタイプⅠ〜Ⅳ(Ⅴ)に大きく分けられる。
- Type Ⅰや Ⅲエンドリークは追加治療の適応、Type Ⅱは瘤が拡大しなければ経過観察(拡大する場合は塞栓術などの治療を検討)、Type Ⅳは多くが自然に消失する。
Type Ⅰ
- グラフトと宿主血管の不完全な密着によるシール不全が原因によるエンドリーク。
- 動脈瘤内圧の増加から動脈瘤の破裂に密接な関与があるとされ、速やかな治療が必要。特にtype Ⅰaエンドリークは瘤増大、破裂に繋がるので、早急な治療が必要。
- ステントグラフト中枢端or末梢端からかのエンドリークによりtype ⅠaとⅠbに分けられる。
- type Ⅰa:ステントグラフト中枢端からのエンドリーク
- type Ⅰb:ステントグラフト末梢端からのエンドリーク
Type Ⅱ
- 動脈瘤から分岐する分枝(下腸間膜動脈や腰動脈)からの逆行性のリーク。最も頻度が高い。
- EVARでは、下腸間膜動脈・腰動脈・正中仙骨動脈・瘤から分岐する副腎動脈(accessory renal artery)、TEVARでは、鎖骨下動脈・肋間動脈・気管支動脈が原因血管となりうる。
- Type Ⅱ エンドリークは、術後6ヶ月までは自然消退することもあり、動脈瘤の拡大や破裂に関与することは少なく、経過観察が可能。2024年の欧州血管外科学会(ESVS)ガイドラインでは、type Ⅱエンドリーク単独は瘤径が安定していれば経過観察とし、瘤径が10mm以上拡大した場合に再治療を考慮するとしています。
- 持続し、かつ動脈瘤が有意に増大するものが治療の対象(目安は上記のガイドラインを参照)。
Type Ⅲ
- グラフト破損やグラフト接合部に起因する動脈瘤内への血流。
- Type Ⅰ エンドリークと同様に、動脈瘤内圧の増加と動脈瘤の破裂の危険に密接に関係するエンドリーク。
- 動脈瘤が拡大し破裂の危険が高まるので、早急な治療を考慮するべき。
- type Ⅲa:モジュラー型のステントグラフト接合部からのリーク、接合部のはずれによるリーク。
- type Ⅲb:グラフト素材の破損(破れ)からのリーク。
Type Ⅳ
- グラフト素材(線維間隙)からの染み出しによるリーク。経過で自然消失する。
- 通常はEVAR後30日以内と定義されており、ポリエステルを使用したグラフトでは比較的多く観察されるが、経過とともに血栓化するのが一般的であるため、経過観察を行う。
- 30日以降も残存するものはType Ⅲ Bエンドリークに分類される。
- Type Ⅳエンドリークに対する治療は原則不要。
Endotension(エンドテンション)とは?
術後エンドリークが画像で検出できないにもかかわらず動脈瘤の増大をみる場合に、原因不明のエンドリークとして分類されEndotensionという。type Ⅴに分類されることもある。
エンドリークのCT画像所見のポイント
- Type Ⅰ、Ⅲエンドリークは、大動脈圧が直接かかるため、ダイナミックCTでhigh flow typeで動脈相から明瞭に描出されることが多い。
- type Ⅰエンドリークは瘤内の造影効果が大動脈からステントグラフトの端より連続して認め、type Ⅲエンドリークは瘤内の造影剤の造影効果がステントグラフト接合部あるいはステントグラフト壁から直接瘤内に連続して見られる。
- 一方で、type Ⅱ、Ⅳエンドリークは大動脈圧が直接かからないため、low flow typeのエンドリークとなり、遅い相(後期相)で明瞭になることが多い。
- ただし、type Ⅳエンドリークはステントグラフト留置直後では、Type Ⅰ、Ⅲエンドリークと紛らわしいことがある。
- typeⅡエンドリークはあたかも動静脈奇形のように動脈瘤のsac内の造影腔(nidus)に連続する流入血管と流出血管を同定できることがあり、他のタイプとの鑑別点となる。
CTはどの相で撮る?
- EVAR後のCTは、単純CT・動脈相・後期相(遅延相)を組み合わせて撮ることが多いです。単純CTは、瘤の中の石灰化や塞栓物質を造影剤と見誤らないために使います。
- 後期相は流れの遅いエンドリーク(type Ⅱなど)を拾うのに役立ちます。エンドリークがあった33例の検討では、後期相の画像でしか見えなかったエンドリークが3例(9%)ありました(Rozenblit 2003)。
EVAR後のCTで確認したい場所:シール部・接合部・腸骨動脈
エンドリークの有無だけでなく、エンドリークが起こりやすい場所を順に見ると見落としが減ります。
- 中枢・末梢のシール部:ステントグラフトが血管壁に密着している長さ(シール長)を、横断像だけでなく冠状断・矢状断など血管に沿った再構成像で確認します。標準的なEVAR399例を中央値5.3年追跡した検討では、シールの全消失が21.3%、部分消失が19.5%に起こり、シール長は主に血管の拡張によって年々短くなっていました。追跡中の瘤破裂13例は、すべてその前のCTでシールの全消失か部分消失がみられていました(Sandström 2025)。
- 部品の接合部:つなぎ目のずれや外れはtype Ⅲエンドリークの原因になります。
- 総腸骨動脈の拡張と脚の移動:EVAR444例の検討では、type Ⅰb・Ⅲエンドリークがよくある再治療の原因で、追加の腸骨ステントグラフト31本の51%は移動(末梢のシール部10本、接合部6本)、29%は病気の進行(腸骨動脈径がグラフト径を超える拡張)によるものでした(Roos 2017)。
前回のCTと並べて、シール長が短くなっていないか、接合部の重なりが減っていないか、腸骨動脈が太くなっていないかを比べることが大切です。
エンドリークでよくある疑問(Q&A)
Q. エンドリークがあると言われたら、すぐに再治療が必要ですか?
A. タイプによって異なります。typeⅠ・Ⅲは瘤に大動脈の圧が直接かかるため速やかな治療を考えますが、typeⅡは瘤の大きさが変わらなければ経過観察となることが多いです。治療が必要かどうかは、主治医が瘤の大きさの変化とあわせて判断します。
Q. type Ⅱエンドリークは、いつ見つかりますか?
A. 術直後だけでなく、何年もたってから見つかることもあります。33の観察研究・2,643件のtype Ⅱエンドリークをまとめた解析では、54.2%が術後30日以内に見つかった一方、8.4%は12か月を過ぎてから見つかり、瘤の拡大は29%で記録されていました(Charisis 2021)。そのため、ステントグラフト治療後は長期の画像フォローが必要です。
Q. エンドリークはどんな検査でわかりますか?
A. 造影CTが基本で、造影剤が使いにくい場合などには超音波検査(造影超音波を含む)やMRIが使われます。どこから漏れているかを詳しく調べ、そのまま治療するときは血管造影を行います。
参考文献:
- 本郷 哲央. 大動脈疾患の治療と効果判定 IVR医の立場から. 臨床画像 34(1):61-74, 2018(本記事の参照: P66-68)
- 画像診断 Vol.38 No.2 2018 P140-141
- 心臓・大血管 画像診断の勘ドコロ NEO P196
- これだけは知っておきたい心臓・血管疾患の画像診断 P244-9
- Wanhainen A, Van Herzeele I, Bastos Goncalves F, et al. Editor’s Choice — European Society for Vascular Surgery (ESVS) 2024 Clinical Practice Guidelines on the Management of Abdominal Aorto-Iliac Artery Aneurysms. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2024;67(2):192-331. PubMed
- Chaikof EL, Dalman RL, Eskandari MK, et al. The Society for Vascular Surgery practice guidelines on the care of patients with an abdominal aortic aneurysm. J Vasc Surg. 2018;67(1):2-77.e2. PubMed
- Stavropoulos SW, Charagundla SR. Imaging techniques for detection and management of endoleaks after endovascular aortic aneurysm repair. Radiology. 2007;243(3):641-655. PubMed
- Rozenblit AM, Patlas M, Rosenbaum AT, et al. Detection of endoleaks after endovascular repair of abdominal aortic aneurysm: value of unenhanced and delayed helical CT acquisitions. Radiology. 2003;227(2):426-33. PubMed
- Charisis N, Bouris V, Conway AM, et al. A Systematic Review and Pooled Meta-Analysis on the Incidence and Temporal Occurrence of Type II Endoleak Following an Abdominal Aortic Aneurysm Repair. Ann Vasc Surg. 2021;75:406-419. PubMed
- Sandström C, Andersson MB, Bogdanovic M, et al. Sealing Zone Failure Decreases the Long Term Durability of Endovascular Aneurysm Repair. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2025;69(2):238-247. PubMed
- Roos H, Sandström C, Koutouzi G, et al. Predisposing Factors for Re-interventions with Additional Iliac Stent Grafts After Endovascular Aortic Repair. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2017;53(1):89-94. PubMed
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