先に結論:遊走精巣(移動性精巣)
- 遊走精巣は精巣が陰嚢と鼠径部の間を行き来する状態で、精巣挙筋の反射が強い子どもによく見られ、多くは成長とともに陰嚢内に落ち着きます
- 本当の停留精巣(ずっと陰嚢に降りていない)とは区別され、通常は治療の必要はありません
- CTやMRIで鼠径部に精巣が見えても、過去の画像では陰嚢内にあるなら遊走精巣と判断できます。腫瘤と間違えないことが大切です
遊走精巣/移動性精巣とは?
- 精巣および精索の発育が正常にもかかわらず、精巣が陰嚢内より鼠径管内の経路を自由に移動できる状態。
- 仮性停留精巣とも呼ばれ、真の停留精巣とは区別される。なお米国泌尿器科学会(AUA)のガイドラインでは、停留精巣の評価目的で専門医紹介前に画像検査を行うことは推奨されておらず、診断は触診が基本である。
- 新生児、幼児でしばしば見られるが、大部分は加齢とともに自然に陰嚢内に固定されるに至る。
- 成人で認める場合は精巣挙筋の過剰反応や精巣導帯の陰嚢部への固定不良による。
- CTやMRIといった画像所見で、鼠径部に精巣を認めた場合、過去の画像と比較し、常に鼠径部に存在していないことを確認することで遊走精巣/移動性精巣と診断できる。
大人の遊走精巣でよくある疑問(Q&A)
Q. 大人でも遊走精巣はありますか?
A. 精巣挙筋の反射が強いと成人でも起こります。小児の遊走精巣の一部は、のちに陰嚢へ戻らなくなる(上昇精巣)ことが報告されています(Florou 2026)。
Q. CTで正常の精巣はどう見えますか?
A. 陰嚢内の均一な楕円形の構造です。鼠径部に同じ形の構造があれば、腫瘤やリンパ節と間違えないようにします。
痛みや腫れなど気になる症状があれば、医療機関で相談してください。
参考文献:
- 腹部画像解剖徹頭徹尾 P164-5
- 南山堂医学大事典第19版
- Kolon TF, Herndon CD, Baker LA, et al. Evaluation and treatment of cryptorchidism: AUA guideline. J Urol. 2014;192(2):337-45. PubMed
- Florou M, Koletsa T, Tsokkou S, et al. Retractile Testis in the Pediatric Population: Clinical Outcomes, Complications, and Management Implications. J Clin Med. 2026;15(15):5846. PubMed
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