開放骨折
- 交通事故(特に二輪)、転落外傷、労災(挟撃損傷など)などで開放骨折の可能性が高くなる。
- 脛骨骨幹部は、脛骨前面に筋肉や皮下組織が少ないため、開放骨折の最好発部位。
- 四肢開放骨折で、特に緊急を要するのは主要動脈損傷。このため、全身状態の評価と並行して血流評価を行う。
- 主要動脈損傷を疑う際には造影CTや血管造影を準備する。
- 1cm未満のピンホールのような小さな裂創でも、骨折部直下ならば開放骨折と診断する。
- 創の大きさからGustilo(ガスチロ)分類で重症度を評価する。
Gustilo分類
裂創 | その他 | 抗菌薬 | |
GradeⅠ | 1cm未満 | セファゾリン2g | |
GradeⅡ | 1~10cm | ||
GradeⅢA |
10cm以上 |
閉創ができそう。 | セファゾリン2g +ゲンタマイシン 2mg/kg |
GradeⅢB | 閉創が困難で骨露出あり。 | ||
GradeⅢC | 修復必要な動脈損傷あり。 |
- 開放骨折では予防的抗菌薬として第1世代セフェム系を6-8時間ごとに投与する。より強く汚染されている確率の高いGradeⅢでは、アミノグリコシド系を追加する。
- また、破傷風トキソイド/抗破傷風免疫グロブリン(テタノブリン250単位)の投与を行う。
参考文献:
- 臨整外 56巻5号 2021年5月 P636-639
- 骨折ハンター P264-266