先に結論:ガスティロ分類(Gustilo分類)とは
開放骨折(骨折部が傷を通して外とつながった骨折)の重症度と感染リスクを分ける分類で、傷の大きさ・軟部組織の損傷・汚染・動脈損傷で決めます。
| 分類 | 目安 | 予防的抗菌薬 |
|---|---|---|
| Ⅰ型 | 傷が1cm未満できれい | 第1世代セフェム(セファゾリン) |
| Ⅱ型 | 傷が1〜10cm、軟部組織の損傷は中等度 | |
| ⅢA型 | 傷が大きい(10cm以上)・高エネルギー外傷だが、骨を軟部組織で覆える | セファゾリン+アミノグリコシド系(ゲンタマイシン)を追加 |
| ⅢB型 | 軟部組織が大きく欠け、骨が露出して皮弁などが必要 | |
| ⅢC型 | 修復が必要な動脈損傷を伴う |
小さな傷でも骨折部の真上なら開放骨折として扱い、抗菌薬はできるだけ早く始め、破傷風の予防も行います。最も多いのはすねの骨(脛骨骨幹部)です。
傷の大きさだけで決めず、高エネルギー外傷・分節骨折はⅢ型として扱い、最終的な分類は手術でのデブリドマン後に決めます。
開放骨折
- 交通事故(特に二輪)、転落外傷、労災(挟撃損傷など)などで開放骨折の可能性が高くなる。
- 脛骨骨幹部は、脛骨前面に筋肉や皮下組織が少ないため、開放骨折の最好発部位。
- 四肢開放骨折で、特に緊急を要するのは主要動脈損傷。このため、全身状態の評価と並行して血流評価を行う。
- 主要動脈損傷を疑う際には造影CTや血管造影を準備する。
- 1cm未満のピンホールのような小さな裂創でも、骨折部直下ならば開放骨折と診断する。
- 創の大きさからGustilo(ガスチロ)分類で重症度を評価する。
Gustilo分類
| 裂創 | その他 | 抗菌薬 | |
| GradeⅠ | 1cm未満 | セファゾリン | |
| GradeⅡ | 1~10cm | ||
| GradeⅢA |
10cm以上 |
閉創ができそう。 | セファゾリン +ゲンタマイシン |
| GradeⅢB | 閉創が困難で骨露出あり。 | ||
| GradeⅢC | 修復必要な動脈損傷あり。 |
Gustilo分類のつけ方の注意点(傷の大きさだけで決めない)
- 原著のⅢ型には、軟部組織の高度損傷に加えて分節骨折や外傷性切断も含まれていた(Gustilo 1976)。また傷の大きさにかかわらず高エネルギー外傷はⅢA型以上とされた(Gustilo 1984)。
- 救急外来で見える傷だけでは損傷の深さが分からないため、分類は手術室でのデブリドマン後に確定する。医師の間でもぶれやすく、整形外科医245人が脛骨開放骨折12例を分類した調査では、平均の一致率は60%だった(Brumback 1994)。
ⅢA・ⅢB・ⅢCで予後はどれくらい違うか
| 分類 | 創感染 | 切断 |
|---|---|---|
| ⅢA型 | 4% | 0% |
| ⅢB型 | 52% | 16% |
| ⅢC型 | 42% | 42% |
Ⅲ型開放骨折87骨折の検討(Gustilo 1984)。感染の77%がグラム陰性菌で、Ⅲ型ではアミノグリコシド系の併用が提案されました。これがⅢ型でゲンタマイシンを追加する根拠です。
- 開放骨折では予防的抗菌薬として第1世代セフェム系(セファゾリン)を投与する。より強く汚染されている確率の高いGradeⅢでは、グラム陰性菌もカバーするためアミノグリコシド系を追加することが多い。文献を整理した系統的調査では、軽症では3日以内、重症でも2〜3日程度の投与を勧めるものが多い一方、薬剤・用量・期間は文献によってばらつきがあります。投与期間を長くしても感染が減るという根拠は乏しく、量や期間はガイドラインと添付文書・施設の手順で確認します。Gustiloらの原著(長管骨開放骨折1,025例)では、デブリドマン・洗浄と予防的抗菌薬を徹底した前向き研究で全体の感染率は2.5%でしたが、Type Ⅲに限ると後ろ向き研究で44%、前向き研究でも9%と高く、Type Ⅲの感染リスクの高さが示されています。
- また、接種歴に応じて破傷風トキソイド/抗破傷風免疫グロブリンの投与を行う。
- 抗菌薬は受傷後できるだけ早く始める。Ⅲ型脛骨開放骨折137例の検討では、受傷から抗菌薬まで66分超(オッズ比3.78)と、創の被覆まで5日超(オッズ比7.39)が、それぞれ独立して深部感染を予測した(Lack 2015)。
ガスティロ分類でよくある疑問(Q&A)
Q. ガステロ分類・ガストロ分類・ガスチロ分類は違うものですか?
A. すべてGustilo(ガスティロ)分類のことで、Gustilo-Anderson分類とも呼ばれます。
Q. 救急外来でⅠ型に見えたら、そのまま扱ってよいですか?
A. 初期対応の目安にはなりますが、手術でⅢ型と分かることがあります。
参考文献:
- 佐野 善智. 開放骨折. 臨床整形外科 56(5):636-644, 2021
- 骨折ハンター P264-266
- Gustilo RB, Anderson JT. Prevention of infection in the treatment of one thousand and twenty-five open fractures of long bones: retrospective and prospective analyses. J Bone Joint Surg Am. 1976;58(4):453-8. PubMed
- Gustilo RB, Mendoza RM, Williams DN. Problems in the management of type III (severe) open fractures: a new classification of type III open fractures. J Trauma. 1984;24(8):742-6. PubMed
- Hoff WS, Bonadies JA, Cachecho R, et al. East Practice Management Guidelines Work Group: update to practice management guidelines for prophylactic antibiotic use in open fractures. J Trauma. 2011;70(3):751-4. PubMed
- Chang Y, Bhandari M, Zhu KL, et al. Antibiotic Prophylaxis in the Management of Open Fractures: A Systematic Survey of Current Practice and Recommendations. JBJS Rev. 2019;7(2):e1. PubMed
- Vanvelk N, Chen B, Van Lieshout EMM, et al. Duration of Perioperative Antibiotic Prophylaxis in Open Fractures: A Systematic Review and Critical Appraisal. Antibiotics (Basel). 2022;11(3):293. PubMed
- Brumback RJ, Jones AL. Interobserver agreement in the classification of open fractures of the tibia. The results of a survey of two hundred and forty-five orthopaedic surgeons. J Bone Joint Surg Am. 1994;76(8):1162-6. PubMed
- Lack WD, Karunakar MA, Angerame MR, et al. Type III open tibia fractures: immediate antibiotic prophylaxis minimizes infection. J Orthop Trauma. 2015;29(1):1-6. PubMed
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