先に結論:大腿骨頸部骨折と転子部骨折の違い

頸部骨折 転子部骨折
場所 股関節の関節包の中(骨頭のすぐ下の細い部分) 関節包の外(大転子・小転子のあたり)
特徴 血流が途絶えやすく、骨がつきにくい・骨頭壊死を起こしやすい 血流は良く骨はつきやすいが、出血が多く太ももが腫れやすい。より高齢者に多い
主な治療 ずれが小さければ骨接合、ずれが大きければ人工骨頭置換術など 骨接合術(髄内釘など)

どちらも高齢者の転倒で起こり、まずレントゲンで診断します。レントゲンでわからない骨折(不顕性骨折)もあるため、痛みが強いのに骨折線が見えないときはCTやMRIで確認し、治療方針の決定には股関節CTがよく使われます。不顕性の大腿骨近位部骨折に対するCTの感度は94%、特異度は100%とするメタ解析があります。ただしCTが陰性でも痛みが続き骨折が疑われる場合はMRIで確認します。

大腿骨転子部骨折とは

  • 大腿骨頸部骨折と比較すると、関節外骨折であるため関節周囲へと出血が広がり、大腿近位部の腫脹や皮下血腫を伴うことがある。
  • 高齢になるほど転子部骨折の割合が増え(Baudoin 1993)、転子部骨折の患者は頸部骨折の患者より高齢の傾向がある(Wu 2009)。
  • 骨片の数や位置を立体的に把握するため、治療方針やインプラントの決定に股関節CTがよく使われる。
  • 治療は、骨接合術(内固定)が行われる。

大腿骨転子部骨折と頸部骨折の違い

大腿骨近位部骨折は大きく

  • 関節包内骨折:大腿骨頸部骨折
  • 関節包外骨折:大腿骨転子部骨折

と関節包の内なのか外なのかで分類されます。

治療法の選択においても、これを区別することが重要となります。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折のレントゲンの見方

  • 股関節の正面像と側面像を撮り、反対側と見比べます。
  • 見るポイントは、皮質の途切れ・段差、骨梁の乱れ、骨が食い込んでできる白い帯(硬化線)、閉鎖孔の上縁から大腿骨頸部の内側へなめらかに続く弧(Shenton線)の乱れです。
  • 転子部骨折では、大転子と小転子の間を斜めに走る骨折線や、小転子の骨片を探します。

大腿骨頸部骨折のGarden分類

Stage レントゲン所見
I 骨折線が骨を貫いていない(外反位に食い込む)
II 骨折線が骨を貫くが、ずれ(転位)はない
III 骨片が部分的にずれている
IV 骨片が大きくずれ、骨頭と頸部の骨梁の向きがそろう

4段階の分類は医師の間で一致しにくく(κ0.31)、I・IIの非転位型とIII・IVの転位型の2つに分けると一致が上がります(κ0.52)(Van Embden 2012)。

症例 70歳代 女性

股関節のCT画像です。
転子部に骨折線を認めています。
大腿骨転子部骨折と診断されました。

参考文献:臨整外 56巻5号 2021年5月 P530-532

  1. Bhandari M, Swiontkowski M. Management of Acute Hip Fracture. N Engl J Med. 2017;377(21):2053-2062. PubMed
  2. Kellock TT, Khurana B, Mandell JC. Diagnostic Performance of CT for Occult Proximal Femoral Fractures: A Systematic Review and Meta-Analysis. AJR Am J Roentgenol. 2019;213(6):1324-1330. PubMed
  3. Van Embden D, Rhemrev SJ, Genelin F, et al. The reliability of a simplified Garden classification for intracapsular hip fractures. Orthop Traumatol Surg Res. 2012;98(4):405-8. PubMed
  4. Baudoin C, Fardellone P, Sebert JL. Effect of sex and age on the ratio of cervical to trochanteric hip fracture. A meta-analysis of 16 reports on 36,451 cases. Acta Orthop Scand. 1993;64(6):647-53. PubMed
  5. Wu CC, Wang CJ, Shyu YI. More aggravated osteoporosis in lateral trochanter compared to femoral neck with age: contributing age difference between inter-trochanteric and femoral neck fractures in elderly patients. Injury. 2009;40(10):1093-7. PubMed

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