先に結論:骨折と紛らわしい後頭乳突縫合
- 後頭乳突縫合は後頭骨と側頭骨乳突部の間の縫合で、頭部CTの横断像1枚だと骨折線のように見えることがあります
- 左右対称にあること・辺縁が少しギザギザで骨硬化の縁があることが縫合の特徴で、骨折線は鋭く片側だけのことが多いです
- 迷ったら反対側と比べ、3D再構成画像で確認すると分かりやすくなります
頭部CTで骨折線と紛らわしい縫合線に、後頭乳突縫合(occipitomastoid suture)があります。
左右対称であり、見慣れれば骨折線でないことは、すぐに分かるのですが、見慣れていない場合骨折線としてしまうかもしれません。
そのCT画像をチェックしてみましょう。
症例40歳代男性 頭部打撲

後頭骨右側に骨折線を認めています。
その外側にも骨折線のような線を認めていますが、こちらは左右対称に認めています。
こちらは縫合線で、後頭骨と側頭骨乳突部の間の縫合線で後頭乳突縫合と呼ばれるものです。
これは骨折線ではありませんので注意しましょう。
3D再構成画像で今回の骨折と、後頭乳突縫合を確認してみましょう。

右の後頭部を後から観察した画像となります。
すると、少しギザギザとした形状の後頭乳突縫合の内側にシャープな骨折線を認めていることがわかります。
後頭乳突縫合は横断像の1スライスだけ見るとあたかも骨折線のようにシャープな場合がありますので、これを骨折としないように注意が必要です。側頭骨周囲には後頭乳突縫合のほかにも骨折と紛らわしい縫合・裂(fissure)が複数あり、正常解剖を知っておくことが誤読を避ける基本とされています(Kwong 2012)。小児の虐待疑い例を検討した報告でも、当初骨折が疑われた11例のうち6例が最終的に副縫合と判断されており、3D再構成CTが鑑別に役立つとされています(Falconi 2023)。
後頭部の縫合線と骨折線
| 名前 | 位置と見え方 |
|---|---|
| 後頭乳突縫合 | 後頭骨と側頭骨乳突部の間。左右対称 |
| 頭頂乳突縫合 | 頭頂骨と側頭骨乳突部の間。左右対称 |
| 骨折線 | 縫合と無関係な場所を走り、片側だけで鋭いことが多い |
関連記事:頭蓋骨の縫合線を頭部CT画像で正しく見分けるポイントとは?骨折との鑑別と正常解剖の理解
参考:画像診断 Vol.41 No.11 増刊号 2021 P47
参考文献
- Idriz S, Patel JH, Ameli Renani S, et al. CT of Normal Developmental and Variant Anatomy of the Pediatric Skull: Distinguishing Trauma from Normality. Radiographics. 2015;35(5):1585-601. PubMed
- Kwong Y, Yu D, Shah J. Fracture mimics on temporal bone CT: a guide for the radiologist. AJR Am J Roentgenol. 2012;199(2):428-34. PubMed
- Falconi S, Laszlo N, Jacob R. Imaging Findings in Pediatric Accessory Cranial Sutures using 3D CT Reconstruction: Fracture or Rudimentary Suture. Cureus. 2023;15(8):e42820. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
