先に結論:中枢性神経細胞腫のCT・MRI

  • 中枢性神経細胞腫(central neurocytoma、セントラルニューロサイトーマ。中枢神経細胞腫とも)は、20〜40歳代の側脳室の前方(モンロー孔付近)で透明中隔に付着してできる神経細胞系の腫瘍(WHO grade 2)で、水頭症による頭痛で見つかることが多いです
  • CT・MRIでは小さな嚢胞がたくさん集まった泡のような(バブリー)腫瘤で、石灰化(約半数)やflow voidを伴い、造影は軽度〜中等度です
  • 治療は手術で、一般に予後は良好です。上衣下腫・上衣腫・上衣下巨細胞性星細胞腫などと区別します

中枢性神経細胞腫(central neurocytoma)

  • 全脳腫瘍の0.25~0.5%。
  • 神経細胞の特徴をもつ小さな腫瘍細胞から構成される脳室内腫瘍。
  • 免疫染色ではNSEやsynaptophysinが陽性。CNS WHO grade 2(WHO分類2021ではアラビア数字で表記)。
  • 若年成人の側脳室前半部モンロー孔付近に発生。発生母地はMonro孔より前方の側脳室外壁あるいは透明中隔壁とされる。
  • 透明中隔または側脳室壁に付着。
  • 若年成人に多く見られ,性差はない。全体の70%は20~40歳で発症する。
  • 頭蓋内圧亢進症状(頭痛など) が主。
  • 治療は手術で、一般に予後は良好。全摘出が治療の目標で、全摘できれば腫瘍制御・生存とも非常に良好である。全摘できない場合は放射線治療(定位放射線治療を含む)の追加が検討され、MIB-1標識率は予後と相関するとされる。

画像所見

  • CTで石灰化(50%)。等~高吸収値を示す。
  • 多数の小さな嚢胞がよく見られ、軽~中等度の増強効果があり。
  • 水頭症の合併も見られる
  • MRでは不均一な信号強度、増強効果は様々。境界明瞭で“泡沫状”と形容される不均一な内部構造を示すことあり。
  • 石灰化や出血を反映したT2強調像での低信号も混在することあり。
  • MRスペクトロスコピーでは、高いコリンとともにグリシンやアラニンのピークがみられ、拡散強調像で拡散低下を示すことがあり、脳室内腫瘍の中で本腫瘍を考える手がかりになる(Tlili-Graiess 2014)。

脳室内腫瘍の鑑別

  • 上衣下腫:中高年に多く、第4脳室や側脳室にでき、造影効果は乏しいことが多い。
  • 上衣下巨細胞性星細胞腫:結節性硬化症の患者のモンロー孔付近にでき、強く造影される。
  • 脈絡叢乳頭腫:小児では側脳室三角部に多い、強く造影される分葉状の腫瘤。
  • 髄膜腫:中高年の側脳室三角部に多い、均一に造影される腫瘤。

症例 20歳代女性 頭痛・かすみ目・うっ血乳頭

中枢性神経細胞腫 MRI T2強調像 横断
引用:Radiopaedia(Central neurocytoma)

右側脳室のモンロー孔付近に、透明中隔に付着する境界明瞭な脳室内腫瘤があります。内部は小さな嚢胞が集まった泡沫状(バブリー、Swiss cheese様)の不均一な高信号で、透明中隔は左へ偏位しています。右側脳室は拡張しており、手術でWHO grade 2の中枢性神経細胞腫と確認されました。

あわせて読みたい:胚芽異形成性神経上皮腫瘍の画像診断(DNT)

脳室外神経細胞腫(extraventricular neurocytoma)との違い

神経細胞腫は脳室の中にできる中枢性のものが典型ですが、脳室の外(大脳半球など)にできる神経細胞腫もあり、脳室外神経細胞腫と呼ばれます。2007年のWHO分類で、中枢性神経細胞腫とは別のものとして区別されました(Xiong 2015)。

見るところ 中枢性神経細胞腫 脳室外神経細胞腫
場所 側脳室前方(モンロー孔付近)、透明中隔に付着 脳室の外(大脳半球など)
画像 泡沫状、石灰化、軽度〜中等度の造影など典型的な所見がそろう 典型的な所見がそろいにくく、診断しにくい(Xiong 2015)
増殖の勢い 一般に良好 MIB-1指数が高く、異型の割合や再発率が高い傾向(35例と14例の比較、Xiong 2015)

小児の検討でも、脳室外のもののほうが若年でけいれんが多く、MIB-1が2%を超えると予後が悪い傾向がありました(Zacharoulis 2016)。さらに最近は、「脳室外神経細胞腫」と呼ばれてきた腫瘍は、中枢性神経細胞腫の脳室外版ではなく、FGFR1の異常を中心とする別の遺伝子の特徴をもつ腫瘍で、脳室の中にもあり得るとする報告があります(Métais 2026)。名称や分類は今後も変わる可能性があります。

間違えやすいポイント

  • 脳室内にあれば何でも中枢性神経細胞腫、ではありません:側脳室前方で透明中隔に付着し、泡沫状の内部をもつ腫瘍が典型です。上衣下腫、上衣腫、上衣下巨細胞性星細胞腫などが鑑別にあがります(上の表を参照)。
  • 脳室外にできた腫瘍にも神経細胞腫がある:大脳半球の腫瘍で、グリオーマとはっきり言えないときは、脳室外神経細胞腫も鑑別に入れます。

中枢性神経細胞腫でよくある疑問(Q&A)

Q. 「泡沫状」とはどんな見え方ですか?
A. 小さな嚢胞が集まって、石けんの泡やスイスチーズのように見える不均一な内部構造のことです。脳室内腫瘍の中で中枢性神経細胞腫を考えるきっかけになりますが、この所見だけで確定はできません。

Q. 頭痛や吐き気が続くときは?
A. 水頭症などで頭痛、吐き気、かすみ目が起きることがあります。気になる症状が続くときは、医療機関(脳神経外科)を受診してください。

参考文献

  1. Koeller KK, Sandberg GD. From the archives of the AFIP. Cerebral intraventricular neoplasms: radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 2002;22(6):1473-505. PubMed
  2. Louis DN, Perry A, Wesseling P, et al. The 2021 WHO Classification of Tumors of the Central Nervous System: a summary. Neuro Oncol. 2021;23(8):1231-51. PubMed
  3. Smith AB, Smirniotopoulos JG, Horkanyne-Szakaly I. From the radiologic pathology archives: intraventricular neoplasms: radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 2013;33(1):21-43. PubMed
  4. Lee SJ, Bui TT, Chen CH, et al. Central Neurocytoma: A Review of Clinical Management and Histopathologic Features. Brain Tumor Res Treat. 2016;4(2):49-57. PubMed
  5. Tlili-Graiess K, Mama N, Arifa N, et al. Diffusion weighted MR imaging and proton MR spectroscopy findings of central neurocytoma with pathological correlation. J Neuroradiol. 2014;41(4):243-50. PubMed
  6. Xiong Z, Zhang J, Li Z, et al. A comparative study of intraventricular central neurocytomas and extraventricular neurocytomas. J Neurooncol. 2015;121(3):521-529. PubMed
  7. Zacharoulis S, Morales La Madrid A, Bandopadhayay P, et al. Central Versus Extraventricular Neurocytoma in Children: A Clinicopathologic Comparison and Review of the Literature. J Pediatr Hematol Oncol. 2016;38(6):479-485. PubMed
  8. Métais A, Edjlali M, Sassi F, et al. Glioneuronal Tumour With Neurocytic Differentiation (GNTN): a Molecularly Defined Tumour Type Formerly Referred to as Extraventricular Neurocytoma. Neuropathol Appl Neurobiol. 2026;52(3):e70080. PubMed

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