先に結論:退形成性乏突起膠腫

  • 退形成性乏突起膠腫は、乏突起膠腫のうち悪性度が高いもの(従来grade III)で、WHO分類2021では乏突起膠腫, IDH変異型・1p/19q共欠失, grade 3にあたり、前頭葉に多くみられます
  • MRIではT2高信号の腫瘤で、造影効果は約半数にみられ、嚢胞・出血・石灰化を伴うことがあります。1p/19q共欠失がある腫瘍は化学療法・放射線治療が効きやすいのが特徴です
  • grade 2も造影されることがあり、造影効果だけでgradeは決められません

※WHO分類2021(第5版)では遺伝子異常を重視した分類に変わった。成人型びまん性神経膠腫は「星細胞腫, IDH変異型(CNS WHO grade 2〜4)」「乏突起膠腫, IDH変異型・1p/19q共欠失(grade 2〜3)」「膠芽腫, IDH野生型(grade 4)」の3つに整理され、従来の「びまん性星細胞腫」「退形成性星細胞腫」は主にIDH変異型星細胞腫のgrade 2・3に相当する。小児のびまん性神経膠腫は「小児型」として別に分類される。グレードはアラビア数字で表記する。本文は従来の分類に基づく解説である。

退形成性乏突起膠腫(anaplastic oligodendroglioma)

  • WHO分類GradeⅢ
  • 好発年齢は40〜50歳代(乏突起膠腫全体のピーク)。
  • 男性に多い。
  • 部位は前頭葉が最も多く、側頭葉、後頭葉の他に、小脳、脳幹、脊髄などの報告もある。
  • 脳室内発生は稀。
  • WHO分類2021では、IDH変異と1p/19q共欠失の両方を確認することが乏突起膠腫の診断に必須である(未検査例はNOS)。1p/19q共欠失のある退形成性乏突起膠腫では、放射線治療にPCV化学療法を加えると生存期間中央値が14.7年と、放射線治療単独(7.3年)の約2倍になった(RTOG 9402の長期結果)。共欠失のない腫瘍では上乗せ効果はみられなかった。

画像所見

  • CTでは境界不明瞭な円形腫瘤。単純CTでは低吸収。石灰化を伴うことが多い。
  • MRIではT1強調像で灰白質より低信号、T2強調像で灰白質より高信号、造影効果は半数程度。嚢胞や出血を認めることがある。

grade 2(乏突起膠腫)との違い

  • 乏突起膠腫はgrade 2でも軽度〜中等度の造影効果や灌流の上昇がよくみられ、grade 3との区別は画像だけでは難しいです。ただし、造影されていなかった未治療の腫瘍に新たな造影や速い増大が出たら悪性転化を疑います(Smits 2016)。

EORTC 26951とRTOG 9402の最終報告では、1p/19q共欠失例で放射線治療にPCV化学療法を加えた群の生存期間中央値は14.2年・13.2年(放射線単独9.3年・7.3年)でした(Lassman 2022)。

症例 10歳代男性 慢性頭痛と初発のけいれん

退形成性乏突起膠腫 CT 単純 横断
引用:Radiopaedia(Oligodendroglioma NOS (grade 3))

右前頭側頭部に、中心部が低吸収の腫瘤があり、内部に点状の高吸収(石灰化)が多数みられます。右側脳室は圧排され、正中構造が左へ偏位しています。病理で退形成性乏突起膠腫(WHO grade 3、遺伝子検査は未施行のためNOS)と診断されました。

関連記事:乏突起膠腫(oligodendroglioma)のCT・MRI画像所見|石灰化と1p/19q共欠失

退形成性乏突起膠腫でよくある疑問(Q&A)

Q. 乏突起膠腫との違いは?
A. 同じ腫瘍の仲間で、病理で細胞密度・核分裂・微小血管増殖・壊死などの悪性所見が強いものがgrade 3(従来のanaplastic oligodendroglioma)です。けいれんや続く頭痛など気になる症状があれば、医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Koeller KK, Rushing EJ. From the archives of the AFIP: Oligodendroglioma and its variants: radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 2005;25(6):1669-88. PubMed
  2. Louis DN, Perry A, Wesseling P, et al. The 2021 WHO Classification of Tumors of the Central Nervous System: a summary. Neuro Oncol. 2021;23(8):1231-51. PubMed
  3. Smits M. Imaging of oligodendroglioma. Br J Radiol. 2016;89(1060):20150857. PubMed
  4. Cairncross G, Wang M, Shaw E, et al. Phase III trial of chemoradiotherapy for anaplastic oligodendroglioma: long-term results of RTOG 9402. J Clin Oncol. 2013;31(3):337-43. PubMed
  5. Lassman AB, Hoang-Xuan K, Polley MC, et al. Joint Final Report of EORTC 26951 and RTOG 9402: Phase III Trials With Procarbazine, Lomustine, and Vincristine Chemotherapy for Anaplastic Oligodendroglial Tumors. J Clin Oncol. 2022;40(23):2539-2545. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →