乏突起膠腫(oligodendroglioma)
・乏突起細胞(oligodendroglia)由来の腫瘍で、神経膠腫の3%を占める。
・痙攣で初発することが多く、痙攣、頭痛、性格変化が3主徴とされる。
・WHO gradeⅡであり、5年生存率は80%程度である。
・40〜50歳代で好発し、性差はない。
・成人の大脳半球に生じるびまん浸潤型のグリオーマで皮質から皮質下白質に生じ、軟髄膜に浸潤していることが多い。
・乏突起膠腫とびまん性星細胞腫の成分が混在することも稀ならず見られ、乏突起星細胞腫(oligo- astrocytoma)と分類されている。
・明らかな退形成変化を示すものは退形成性乏突起膠腫(anaplastic oligodendroglioma)と呼ばれ、WHO gradeⅢに属する。
画像所見
・乏突起膠腫は、石灰化を伴う脳腫瘍として有名である(70%〜90%)が、石灰化自体は特異的な所見ではないので、鑑別診断上、石灰化を過剰評価しないことも必要である。
・90%以上がテント上に発生し、特に前頭葉に多い。
・星細胞系腫瘍と比較して局在が皮質寄りにあるため、脳回が膨張し脳表を伝うように進展する像が見られる。
・CTでは、皮質に及ぶ低吸収と高吸収の混在した像を呈する。
・MRIではT2強調像で、典型的には不均一な高信号域を呈する。嚢胞変性は20%で見られ、出血や浮腫の頻度は高くない。
・退形成性乏突起膠腫では出血や壊死、浮腫が生じうる。
・増強効果は乏突起膠腫全体の50%で見られる。
・画像上、びまん性星細胞腫との厳密な鑑別は困難。