先に結論:肺のブラ・ブレブ・肺気腫の違い

ブラ ブレブ 肺気腫(気腫性変化)
正体 肺胞が壊れてできた空気の袋(肺の中。従来は1cm超とされたが、2024年の用語集では大きさの規定がなくなった) 胸膜の中にできた1cm未満の小さな空気の袋 肺胞の壁が壊れて空気の部屋が広がった状態
壁 薄い壁(1mm以下)がある 壁がない

CTではブラとブレブを区別できないため、まとめて「ブラ」と呼びます。ブラは喫煙者や若い人の肺の先端(肺尖部)によく見られ、破れると自然気胸の原因になります。ブラがあるだけで症状がなければ、多くは治療の必要はありませんが、気胸をくり返す場合などは手術で切除します。急な胸の痛み・息苦しさがあれば受診してください。

ブラ(bulla)とは?

  • 肺胞構造の破壊によって気腫状に拡張した気腔のこと。
  • 広範な小葉中心性または傍隔壁性肺気腫に合併することが多い。
  • 特に胸膜下の大きなブラは傍隔壁型肺気腫に合併することが多い。
  • つまり、気腫の一部が壁を形成してブラになると考えられる。
  • 自然気胸の原因となる。ただし欧州呼吸器学会(ERS)の声明では、原発性自然気胸の空気漏れの原因としてブラの破裂がどこまで関与するかははっきりしないとされ、再発例の治療には胸膜癒着術を含めることが推奨されています。また、喫煙が最大の危険因子とされています。
  • 薄いが明瞭な壁構造を有する点が気腫と異なる。

 

画像上の特徴
  • ブラ・ブレブ:壁構造を有する
  • 気腫:壁構造を有しない

CT所見のポイント

  • 大きな気腫性空間と、隣接する肺の圧排を見ます。
  • 壁がどこにあるかを追い、肺の外に空気がある気胸と区別します。
巨大ブラの両側肺CTシェーマ。大きな気腫性空間と周囲肺の圧排
大きな気腫性空間と周囲肺の圧排。代表的な所見を単純化した模式図です。参考:Takahashi M 2008。比較図全体を見る

 

ブラとブレブの違いは?

  • ブラは径1cmを超える(通常数cm)気腔で、1mm以下の薄い壁により境される。特に胸膜直下で認める。
  • ブレブは基本臓側胸膜内に存在する小さな気腔で、径が1cmに満たないもの。
  • CTではブラとブレブは区別できず、まとめてブラとする。2024年に改訂されたFleischner Societyの用語集では、ブラは「薄い虚脱した肺実質で裏打ちされた境界明瞭な含気嚢胞性構造」と定義され、大きさの規定はなくなりました。ブレブは胸膜内に限局する通常1cm未満の含気構造で、小さなものは画像より病理で認識しやすく、喫煙者の気胸との関連が指摘されています。

ということで、ブラ、ブレブ、気腫をシェーマで表すと次のようになります。

ただし、気腫が進行するとブラを形成することからもわかるように、ブラと気腫も明瞭に画像上に分類されるわけではありません。

肺のブラ・ブレブでよくある疑問(Q&A)

Q. 健診のCTで「ブラがある」と言われました。珍しいですか?
A. 珍しくありません。肺の病気のない成人130人の死後CTの検討では、約3人に1人(33.8%)に小さなブラ・ブレブがあり、多くは10mm未満でした(de Bakker HM, et al. 2020)。

Q. ブラがあると気胸になりやすいですか?
A. なりやすくなります。自然気胸で片側の手術を受けた30歳以下の567人では、反対側にブラ・ブレブがある人の反対側の気胸は18.0%、ない人は3.6%でした。ただし年あたりでは4.0%で、破れていないブラは経過観察がすすめられています(Jeong JY, et al. 2022)。

Q. 巨大ブラとは?
A. 片側の胸の1/3以上を占めるブラで、若い喫煙男性の上葉に多く、巨大気腫性ブラ(vanishing lung syndrome)と呼ばれます。気胸と見誤りやすい点に注意します(Sharma N, et al. 2009)。

参考:
やさしイイ胸部画像診断教室 P 107
困ったときの胸部の画像診断 P138-141

画像診断 Vol.30 No.11 臨時増刊号2010 P132-137

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参考文献

  1. Bankier AA, MacMahon H, Colby T, et al. Fleischner Society: Glossary of Terms for Thoracic Imaging. Radiology. 2024;310(2):e232558. PubMed
  2. Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
  3. Tschopp JM, Bintcliffe O, Astoul P, et al. ERS task force statement: diagnosis and treatment of primary spontaneous pneumothorax. Eur Respir J. 2015;46(2):321-35. PubMed
  4. Roberts ME, Rahman NM, Maskell NA, et al. British Thoracic Society Guideline for pleural disease. Thorax. 2023;78(11):1143-1156. PubMed
  5. de Bakker HM, Tijsterman M, de Bakker-Teunissen OJG, et al. Prevalence of pulmonary bullae and blebs in postmortem CT imaging with potential implications for diving medicine. Chest. 2020;157(4):916-923. PubMed
  6. Jeong JY, Shin AY, Ha JH, et al. Natural history of contralateral bullae/blebs after ipsilateral video-assisted thoracoscopic surgery for primary spontaneous pneumothorax: a retrospective cohort study. Chest. 2022;162(5):1213-1222. PubMed
  7. Sharma N, Justaniah AM, Kanne JP, et al. Vanishing lung syndrome (giant bullous emphysema): CT findings in 7 patients and a literature review. J Thorac Imaging. 2009;24(3):227-230. PubMed

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