人間ドックや健康診断などで受けたエコー、CT、MRIといった検査で、症状がないにも関わらず、偶然、副腎腫瘍(ふくじんしゅよう)が発見されることがあります。

偶然見つかるものだから、副腎偶発腫瘍(adrenal incidentaloma)と呼ばれることもあります。

特に近年、画像検査の数が増えているため、それに伴い見つかる数も増えています。

「副腎に腫瘍が見つかった!」

となると、ちょっとびっくりしてしまいがちですが、過半数は非機能性と言って何も悪さをしないもので、治療の必要がなく経過観察でよいものです。

今回は、

  • 副腎腫瘍にはどのような種類があるのか
  • その鑑別診断はどのようにして行うのか?
  • フォロー(経過観察)の期間はどうするのか?

などについてまとめました。

CTで副腎に腫瘍があるって言われた…

たまたま見つかる副腎の腫瘍の多くは、ホルモンを出さない良性の腺腫です。ホルモンの検査と、大きさの変化を確かめることが大切ですよ。

先に結論:副腎腫瘍(副腎腺腫など)を指摘されたら

  • 副腎は左右の腎臓の上にのっている小さな臓器で、健診のCTやエコーで偶然見つかる副腎の腫瘍(副腎偶発腫瘍)は珍しくありません。年齢とともに増えます
  • 過半数はホルモンを出さない良性の副腎腺腫(非機能性)で、治療の必要はなく経過観察でよいものです。一方、ホルモンを出す機能性腺腫(アルドステロン・コルチゾールなど)、褐色細胞腫、がんの転移などもあるため、血液・尿のホルモン検査と画像での確認が大切です
  • CTでは、単純CTのCT値が10HU以下(脂肪を含む)で内部が均一なら良性の腺腫と考えられます(2023年の欧州内分泌学会ガイドラインでは、大きさによらず追加の画像検査は不要とされています)。大きい・大きくなる・形が不整なものは詳しい検査が必要です
  • 画像で腺腫らしくても、ホルモン検査は必要です。CT値や形でわかるのは「良性の腺腫らしいか」で、「ホルモンを出しているか」は血液・尿の検査でわかります(下の節)
  • 「副腎腫大」は副腎全体が太くなった状態、「副腎結節・腫瘤」は一部がこぶ状にふくらんだ状態を指します。2cm程度で10HU以下の均一な結節は、典型的な腺腫として扱われます

※高血圧・低カリウム・動悸・頭痛・発汗などの症状がある場合や、健診で「副腎腫瘍」と言われた場合は、内分泌内科などで相談してください。

そもそも副腎ってどこにある?

副腎は肝臓や腎臓と異なり、ややマイナーなお腹の臓器と言えます。

実際の腹部のCTでの副腎の場所(正常解剖)は以下のようになります。

両側に存在して、腎臓の上にちょこんと乗っかっているように存在するのが副腎です。右側(向かって左側)では肝臓に追いやられるように存在しているのがわかります。形は「く」の字の形を示します。

この副腎の正常の位置を動画で示しました。
実際の腹部CT(正常例)で見ると、副腎は腎臓の上のほうにある、薄くて小さな臓器です。CTでは細い線のような形に写ります。

腹部CT(造影・画像診断cafe正常例):肝臓・胆のう・左の副腎・左の腎臓・脾臓

副腎腫瘍の頻度は?

副腎腫瘍は思ったよりも頻度が高く、特に加齢により頻度が増加します。

韓国内分泌学会のガイドラインでは、副腎偶発腫瘍の頻度は平均2%(報告により1.0〜8.7%)で、画像技術の進歩により中年で4%、高齢者では最大10%に増えるとまとめられています(Lee 2017)。

イタリアで肺がん検診の胸部CTを受けた55〜82歳の520人を調べた研究では、4.4%に副腎腫瘤が見つかり、そのほとんど(23例中21例)が腺腫でした(Bovio 2006)。

見つかる副腎腫瘍の大きさはさまざまです。なお、一般に1cm未満のものは副腎偶発腫瘍として扱わず、1cm以上のものが追加検査の対象とされています(Lee 2017)。

副腎の正常の大きさは?「副腎腫大」と「副腎結節」の違い

正常の副腎は、CTで「人」や「く」の字のような細い線として写ります。55人の正常副腎をCTで測った研究では、平均の厚みは次のとおりでした(Vincent 1994)。

計測した部分 右副腎 左副腎
体部の最大幅 0.61cm 0.79cm
内側脚の幅 0.28cm 0.33cm
外側脚の幅 0.28cm 0.30cm

左の副腎のほうがやや厚めに写ります。画像の報告書で使われる言葉は、おおむね次のように使い分けられます。

  • 副腎腫大:副腎の形(脚の形)を保ったまま、全体が太くなった状態。両側ならホルモンの病気(副腎過形成など)を、片側なら小さな腫瘍や転移などを考えます
  • 副腎結節:副腎の一部がこぶ状にふくらんだもの。小さめのものをこう呼ぶことが多いです
  • 副腎腫瘤・副腎腫瘍:結節より大きめのかたまりを指すことが多く、腺腫・褐色細胞腫・転移・嚢胞などをまとめた言い方です

「左副腎腫大」と書かれていても、それだけで病気の種類は決まりません。ホルモン検査とCT値などで中身を調べていきます。

副腎腫瘍の種類は?

さてここからが本題です。

副腎腫瘍には以下のような種類があります。

  • 非機能性の副腎腺腫(最多で過半数)
  • 機能性の副腎腺腫

    褐色細胞腫

  • 副腎転移

 

副腎腺腫

最も多い副腎腫瘍はこの副腎腺腫(読み方は「ふくじんせんしゅ」)で、上に述べたように、悪さをしない(ホルモンを出さない)非機能性の副腎腺腫が中でも最多です。

  • 機能性:ホルモン出す
  • 非機能性:ホルモンを出さない

ということですので、この2つの鑑別は採血を検査して副腎ホルモンである

  • アルドステロン
  • コルチゾール
  • カテコールアミン

と言った副腎のホルモンを計測することで行うことができます。

症例 60歳代女性

造影CTで、左副腎に2cm大の境界明瞭な腫瘤あり。MRI検査と合わせて腺腫と診断されました。

褐色細胞腫

褐色細胞腫(読み方は「かっしょくさいぼうしゅ」)は副腎髄質のクロム親和性細胞が腫瘍になったものです。

こちらもホルモンを出す機能性と出さない非機能性に分けられますが、副腎腺腫と異なり、小さい病変であっても、さらには症状がなくても、手術適応となります。

WHO分類(2017年以降)では良性・悪性に分けず、すべて転移しうる腫瘍とされ、転移を来す頻度は報告によりまちまちです。

症状は、カテコラミンなどのホルモンが生成されることにより生じる5Hと呼ばれる5つのHが有名です。すなわち、

  • 高血圧:Hypertension
  • 頭痛:Headache
  • 発汗過多:Hyperhidrosis
  • 高血糖:Hyperglycemia
  • 代謝亢進:Hypermetabolism

です。

副腎転移

副腎転移というのは元々別のところに癌があり(大腸癌や胃癌、乳癌など)、その癌の加療の有無に関わらず副腎に転移した腫瘍です。

ですので、何より大事なのは既往歴の確認です。

癌の転移ですので、悪性腫瘍に分類されます。

症例 50歳代男性 肺がん多発肺内転移、リンパ節転移あり

両側に副腎の腫大を認めており、前回のCT(非提示)よりもサイズが増大しているため、両側副腎転移と診断しました。

副腎腫瘍の鑑別は?

次に問題になるのが、これらをどのように鑑別(区別)していくかということです。

1つは各種ホルモン値を測定して、副腎腫瘍が機能性かそうでないのかをチェックすることです。

ただし、ホルモン値が正常であった場合であっても、良性とは言えないため、画像による鑑別も重要です。特に問題となるのが、

  • 副腎腺腫
  • 副腎転移

の鑑別です。(褐色細胞腫は、5つの症状や画像所見が他と異なることが多いため、診断しやすいという特徴があるからです。)

この両者の鑑別で、最も重要なことは脂肪の有無です。

なぜならば、

  • 副腎腺腫:内部に脂肪を含むことが多い。
  • 副腎転移他:内部に脂肪を含むことが少ない。

からです。

では、どのように画像検査で腫瘍の内部に脂肪が含まれていることを確認するのでしょうか?

CTによる脂肪の確認方法

CTで腫瘍の内部に脂肪を含むことを確認するには、

  • 単純CTで副腎腫瘍のCT値を測定し、その平均が10HU以下ならば脂肪の含有がある。

と考えるのが、アメリカのガイドライン(AACE/AAES guideline)や欧州内分泌学会のガイドラインにも記載がある判別方法です。2023年の欧州内分泌学会ガイドラインでは、単純CTで10HU以下かつ内部が均一なものは、大きさによらず良性とされています(Fassnacht 2023)。

CT値とは?

CT値は水を基準(0:ゼロ)とした相対的な数値で、純粋な脂肪は-50~-100HUのCT値をとります。HUとはCT値の単位です。hounsfield unitの略で、読み方はハンスフィールドユニットです。

腫瘍の中に脂肪を含有することは、腫瘍の一部のROIを取り、CT値を測定します。そこで最小のCT値を見て0よりも小さければ、脂肪を含んでいると推定されます。

副腎腫瘍のガイドラインでは、最小ではなく、平均が10HU以下ならば、脂肪を含んでいると判断するということです。495病変をまとめた解析では、閾値を低くするほど良性の特異度は上がり感度は下がり、2HUでは感度47%・特異度100%、20HUでは感度88%・特異度84%でした。10HUはその中間で、良性を見逃しすぎず悪性を良性と誤る危険も小さくするための目安です。

症例 50歳代男性 スクリーニング

左副腎に最大3cm大の低吸収腫瘤を認めています。
CT値を測定すると平均で-7.83HU(<10HU)であり、副腎腺腫を疑う所見です。

では、どのようにCT値を測定するのか動画で見てみましょう。
動画では右副腎腫瘍のCT値とともに皮下脂肪のCT値を測定してみました。

  • 右副腎腫瘍のCT値:17HU程度。>10HUなのでMRIによる精査が必要。
  • 皮下脂肪のCT値:-100HU程度であることが確認できます。

造影CTのウォッシュアウト(洗い出し)

単純CTで10HUを超える場合(脂肪の少ない腺腫もあります)は、造影剤を使って、造影剤が抜けていく速さ(ウォッシュアウト)を見る方法もあります。腺腫は造影剤が早く抜け、転移やがんは抜けにくい傾向があります。韓国内分泌学会のガイドラインでは、遅延相で絶対的ウォッシュアウト率60%未満・相対的ウォッシュアウト率40%未満を、悪性を疑う所見の一つに挙げています(Lee 2017)。

CTで見分ける副腎腫瘤の一覧

病気 CTでの特徴 ポイント
副腎腺腫 境界明瞭・均一。単純CTで10HU以下が多い 最も多い。ホルモンを出すかを採血で確認
骨髄脂肪腫 はっきりした脂肪(−30HU以下)を含む CTだけで診断できることが多い良性腫瘍(Lee 2017)
副腎嚢胞 壁が薄く丸い、内部均一で20HU未満 偶発腫瘍の約1〜2%。多くは良性(Calissendorff 2023)
褐色細胞腫 CT値が高め、よく造影され内部が不均一なことも メタネフリン測定で確認。生検の前に除外が必要(Lee 2017)
副腎転移 CT値が高め、両側のことも。大きくなる がんの既往が最大の手がかり
副腎皮質がん 大きい(4cm以上)・不整形・不均一 まれ。大きさと形が手がかり

韓国内分泌学会のガイドラインでは、4cm以上、単純CTで10HU以上、ウォッシュアウト不良、辺縁不整・内部不均一・周囲への浸潤を、悪性を疑う所見として挙げています(Lee 2017)。

MRIによる脂肪の確認方法

CTで脂肪の含有が推定できれば腺腫と判断することが多いのですが、CTで脂肪含有が判定できないとき(CT値の平均が10HU以上)に、MRIにより脂肪の含有が確認されることがあります。

これにはケミカルシフトMRI(chemical shift MRI)を利用します。

これはもう説明するよりも実際の画像を見た方が早いので症例を見てみましょう。

症例 60歳代 女性

上の症例と同じ症例です。造影CTで、左副腎に2cm大の境界明瞭な腫瘤を認めています。

上の画像で左の画像(T1強調像、in phase)と右の画像(T1強調像、opposed phase)を見比べると、右の方が黒いのがわかります。

症例 70歳代 男性

上の症例と同じように、画像で左の画像(T1強調像、in phase)と右の画像(T1強調像、opposed phase)を見比べると、右の方が黒いのがわかります。

これを「in phaseからopposed phaseにかけて信号が低下した」と表現して、このように信号が低下してより黒くなることは脂肪の含有を意味するのです。

脂肪が含まれていない場合や微量の場合は、右と左で内部の黒に差がないということになります。

シンチグラフィ

さらに、悪性腫瘍の既往があってより診断を確実にしたい(転移の可能性を減らしたい)場合にシンチグラフィが撮影されることがあります。アドステロールシンチグラフィと呼ばれるもので、

副腎腺腫の場合は、副腎への集積が増える(集積亢進)ので、それを確認することで転移の可能性をより下げることができます。

副腎腺腫を診断する上での注意点は?

副腎腺腫の中には、副腎皮質ホルモンを産生する機能性腺腫があることはすでに述べました。

注意点としては、中でもアルドステロン産生するもの(原発性アルドステロン症)は腺腫があるのに、画像で見えないほど小さいということがある点です。

これが何を意味するかというと、

  • アルドステロンの値が高値である。
  • 右の副腎に腫瘍がある。

からといって、右の原発性アルドステロン症とは診断できないということです。

左に見えない腺腫が存在するからかもしれないからです。この場合、右側の機能性副腎腺腫と診断して、右の副腎を摘出しても、犯人 (アルドステロン産生腺腫)は左にあり、手術をしても症状やアルドステロン値が変わらないことがあるということです。

どちらの副腎がアルドステロン産生しているのかを調べるには、副腎静脈サンプリングという、カテーテル検査が必要となります。

副腎腺腫のフォローは?

副腎腺腫と画像で判断した後、その副腎腺腫がホルモンを産生する機能的なものか、そうでないかを判断するために上で述べたように、

  • アルドステロン
  • コルチゾール
  • カテコールアミン

と言った副腎ホルモンの測定を行い、

  • 1mgデキサメサゾン負荷試験。負荷後の血清コルチゾールが1.8µg/dL(50nmol/L)を超える場合、2023年の欧州内分泌学会ガイドラインでは「軽度自律性コルチゾール分泌(MACS)」と呼び、高血圧や2型糖尿病などの合併症を確認することが推奨されています。また褐色細胞腫の除外には、血漿または尿中のメタネフリン測定が推奨されています。

を行います。

腺腫かどうかの画像判断と、ホルモン検査の関係

副腎の腫瘍で聞かれることの多い疑問は「画像で腺腫といわれたのに、なぜホルモンの検査が必要なのか」です。画像とホルモン検査は、別のことを調べています。

調べたいこと わかる検査 わからないこと
良性の腺腫らしいか(脂肪を含むか、悪性を疑う形でないか) 単純CTのCT値、ウォッシュアウト、MRIの化学シフト画像 ホルモンを出しているか
ホルモンを出しているか(機能性か) 血液・尿のホルモン検査 腫瘍が良性か悪性か
  • ホルモンを出す腫瘍の頻度:副腎偶発腫瘍のうち、褐色細胞腫は平均6.2%(報告により2.1〜20.0%)、無症状を含むCushing症候群は平均8.1%(3.0〜11.3%)、アルドステロンを出す腫瘍は平均3.9%(1.5〜10.0%)、悪性の腫瘍(副腎皮質癌と転移)は平均2.6%(0.7〜15.0%)とまとめられています(Lee 2017)。
  • どのホルモンを調べるか:すべての人でコルチゾールの過剰を調べるデキサメタゾン抑制試験とカテコールアミン代謝物(メタネフリン)の測定が勧められ、高血圧や低カリウム血症があればアルドステロンも調べます。ただし骨髄脂肪腫は、CTで脂肪(−30HU以下)がわかればホルモン検査が必須ではありません(Lee 2017)。
  • 画像が「腺腫らしい」のにコルチゾールを出すことがある:明らかなCushing症候群の症状がなくても、抑制試験の後のコルチゾールが基準を超える場合は「軽度の自律性コルチゾール分泌(MACS)」とされ、高血圧や糖尿病などの合併症を調べます(Fassnacht 2023)。
  • 褐色細胞腫は生検の前に除外:副腎の腫瘍に生検をする前には、褐色細胞腫を除外しておく必要があります(Lee 2017)。
  • 大きさとホルモン:3cmを超える大きい腫瘍は、無症状のホルモン過剰分泌を起こす可能性が高く、そのリスクは3〜4年後にピークになるとされます。経過中にホルモンを出すようになるときは、軽度のコルチゾール過剰がもっとも多く、明らかなCushing症候群は1%未満、無症状のホルモン異常は最大11%と報告されています(Lee 2017)。

画像の所見から次の一手へ

画像の所見 考えること 次にすること
単純CTで10HU以下で均一 脂肪を含む良性の腺腫 追加の画像検査は不要(大きさによらず)。ただしホルモン検査は行う(Fassnacht 2023)
10HUを超える(脂肪が少ない) 脂肪の少ない腺腫のことも、転移や他の腫瘍のこともある MRIの化学シフト画像や造影CTのウォッシュアウトで調べる
4cm以上、不整形、不均一、辺縁不整、周囲への浸潤、ウォッシュアウト不良 悪性を疑う 専門家の会議で検討。ホルモン検査(褐色細胞腫の除外)を先に行う(Lee 2017、Fassnacht 2023)
両側に結節 転移、過形成、両側の腺腫など 片側と同じホルモン検査に加え、先天性副腎過形成や副腎不全も調べる(Bourdeau 2018)

ホルモンの異常があるかは、症状だけではわかりません。副腎の腫瘍を指摘されたときは、症状がなくても内分泌内科などで相談してください。

副腎腺腫の治療は?フォロー(経過観察)は?

ホルモン産生がある場合は、基本的にサイズに関係なく、副腎腫瘤を摘出する手術が行われることがあります。

ホルモン産生がない場合は、

  • 画像検査は初回の3〜6か月後に行い、その後1〜2年間続ける。
  • ホルモンの検査は年1回、4〜5年続ける。

という流れが、2017年の韓国内分泌学会ガイドラインで示されています(Lee 2017)。観察中に1cm以上大きくなったり見た目が変わったりした場合は、手術を考えます(以前からの方針。現在の欧州内分泌学会ガイドライン(2016・2023年)では、4cm未満で単純CT 10HU以下の典型的な腺腫は追加の画像フォロー不要とされています)。もちろんサイズが大きくなった場合は、手術が考慮されます。

ホルモン産生がない場合であっても、サイズが4cm以上と大きなものは、副腎に発生した癌(副腎癌)の可能性があるため、手術が検討されます(2023年の欧州内分泌学会ガイドラインでは、4cmを超え、内部が不均一またはCT値20HU超のものが通常は手術の対象とされています)。

また、サイズが大きいものは副腎転移の可能性もあるため、既往歴の確認を行い、悪性腫瘍の既往歴がある場合は、PET-CTや生検による精査が推奨されています。

副腎腫瘍でよくある疑問(Q&A)

Q. 副腎腫瘍が2cmと言われました。大丈夫ですか?

2cm程度の副腎腫瘍の多くは、ホルモンを出さない良性の腺腫です。単純CTで10HU以下・内部が均一なら良性と考えられ、大きさだけで心配する必要はありません。ただし、ホルモンを出しているかどうかは画像だけではわからないため、ホルモンの検査は大きさによらず受けておきましょう。

Q. 副腎嚢胞(のうほう)とは何ですか?

副腎にできる、水などがたまった袋状の病変です。副腎偶発腫瘍の約1〜2%を占め、多くは良性で無症状です。CTでは壁が薄く丸く、内部が均一で20HU未満に写ります。非常に大きいものは周りを圧迫するため手術することがあります(Calissendorff 2023)。

Q. 「左副腎腫大」と言われました。何の病気ですか?

「副腎腫大」は副腎が正常より太く写っているという画像上の表現で、病名ではありません。両側ならホルモンの病気(副腎過形成など)、片側なら小さな腺腫や転移などが考えられます。高血圧や低カリウムの有無も含めて、内分泌内科で相談してください。

Q. 画像で「良性の腺腫」と言われたら、ホルモンの検査は不要ですか。

不要ではありません。CT値が低く腺腫らしくても、コルチゾールなどを出していることがあります。副腎偶発腫瘍では、無症状を含めてCushing症候群が平均8.1%、褐色細胞腫が平均6.2%、アルドステロンを出す腫瘍が平均3.9%とまとめられています(Lee 2017)。

Q. ホルモンを出していないとわかれば、安心してよいですか。

ホルモンを出していなくても、悪性でないとは限りません。ホルモン検査と画像の両方で調べます。画像で脂肪を含む均一な腺腫なら、追加の画像検査は不要とされています(Fassnacht 2023)。

最後に

副腎腫瘤の多くは、無症状で、人間ドックや健康診断での画像検査で偶然発見される副腎腺腫ですが、中にはホルモンを産生する機能性のものもあり、注意が必要です。

また、悪性腫瘍の既往があれば転移の可能性もありますし、非常にまれではありますが、副腎癌の可能性もあります。

腺腫の診断には、画像検査で脂肪の有無を同定することが非常に重要であり、

ホルモン産生していない腺腫の場合、

  • 1-4cmの場合は、以前は合計5年間のフォローとされていました(現在は単純CTで10HU以下の典型的な腺腫は追加の画像フォロー不要)
  • 4cm以上の場合は、基本的に手術

が推奨されています。

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参考文献

  1. Fassnacht M, Tsagarakis S, Terzolo M, et al. European Society of Endocrinology clinical practice guidelines on the management of adrenal incidentalomas, in collaboration with the European Network for the Study of Adrenal Tumors. Eur J Endocrinol. 2023;189(1):G1-G42. PubMed
  2. Fassnacht M, Arlt W, Bancos I, et al. Management of adrenal incidentalomas: European Society of Endocrinology Clinical Practice Guideline in collaboration with the European Network for the Study of Adrenal Tumors. Eur J Endocrinol. 2016;175(2):G1-G34. PubMed
  3. Zeiger MA, Thompson GB, Duh QY, et al. American Association of Clinical Endocrinologists and American Association of Endocrine Surgeons Medical Guidelines for the Management of Adrenal Incidentalomas: executive summary of recommendations. Endocr Pract. 2009;15(5):450-453. PubMed
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  10. Bourdeau I, El Ghorayeb N, Gagnon N, et al.. MANAGEMENT OF ENDOCRINE DISEASE: Differential diagnosis, investigation and therapy of bilateral adrenal incidentalomas. Eur J Endocrinol. 2018;179(2):R57-R67. PubMed

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