孤立性腹腔動脈解離1)とは?
- 大動脈解離に合併するものが多く、大動脈解離を伴わないものは孤立性腹腔動脈解離と呼ばれる。
- 発症平均年齢は50歳台で、男性に多い。
- リスクとして高血圧、喫煙がある。
- 発症時の症状は、腹痛であり、比較的強い自発痛が特徴。
- 原因は、特発性、外傷、血管造影による医原性、正中弓状靱帯症候群、Ehlers-Danlos症候群、Marfan症候群、血管炎、動脈硬化SAM(segmental arterial mediolysis)など。
- 診断は造影CTで行われる。単純CTでは早期血栓化した解離腔は高濃度に描出される。
- 解離腔が腹腔動脈のみに限局するのは20%程度で、脾動脈および総肝動脈に進展することが多い。
- 保存的治療で軽快することもあり、一般的には血圧、疼痛コントロールが推奨される。
- 経過観察中に、解離腔の増大や、臓器虚血などに進行した場合はIVR治療など行われることがある。
症例 50歳代男性 心窩部痛〜右上腹部痛
脾臓に楔状の低吸収域を認めており、脾梗塞を疑う所見です。
腹腔動脈に解離腔(血栓閉鎖型)を認めており、周囲脂肪織濃度上昇を認めています。
解離腔は脾動脈にも及んでいることがわかります。
腹腔動脈〜脾動脈の解離による脾梗塞と診断され、保存的に加療されました。
参考文献:
1)臨床画像Vol.33,No.3,2017 P338-339