交通事故や転落などの外傷で腹部の臓器を損傷することがあります。
今回は、腹部の臓器の中でも副腎損傷についてまとめました。
副腎損傷とは?
副腎損傷の多くは片側性でとくに右側に多いとされます。
これは肝臓と椎体の間に副腎が挟まれるためと考えられています。
副腎が損傷している場合は、他の臓器(腎や肝など)にも損傷を認めていることが多いとされます。
逆に、副腎のみに出血が見られる場合は、腫瘍からの出血の可能性も考慮する必要があります。
両側副腎に損傷が起きると、外傷後副腎機能不全をきたすことがあります。
副腎損傷のCT画像所見
副腎損傷を起こした場合、腹部CTで
- 血腫による副腎腫大
- 周囲脂肪織濃度上昇
- ダイナミックCTにより造影剤の漏出像(extravasation)
などを認めます。
受傷後1-2週間で血腫の変性とともにCTでは低吸収化します。
症例 60歳代男性 脚立で作業中に4-5段から転倒
単純CTで右副腎の腫大および単純CTで高吸収を認めています。
ダイナミックCTでは右副腎内にextravasationを疑う所見を認めています。
右副腎損傷と診断されました。
このほか肝損傷(Ⅲb型)および腹腔内出血を伴っていました(非提示)。
参考文献:
臨床画像 Vol.28,No.10増刊号,2012 P100