結腸憩室炎(colonic diverticulitis)
- 大腸憩室に糞便などによる閉塞→二次的な感染により生じる。
- 中年以降に最も多い。
- 憩室の部位は日本人だと右結腸に70%、左結腸、全結腸にそれぞれ15%みられる。ただし最近は左側が増加。
- 臨床症状は虫垂炎、腸炎とほとんど変わらない。
- 憩室が存在すること、右下腹部痛の場合は、虫垂が正常(or切除後)であることを確認し、必ず虫垂炎を除外した上で診断する。
- 憩室は腸間膜の反対側(大網ひも、自由ひも側)に好発する(空腸憩室は腸間膜付着側に、結腸憩室は結腸ひもに接して好発する。)。
- 憩室は漿膜下への突出であり、合併症としては腹腔内へ穿孔してfree airを生じることもあれば、漿膜下へ穿通することで腸管に付着する腸間膜内に限局したair像を呈することもある。
- 後者の場合、炎症波及や膿瘍は腹膜の存在によりその領域に限局する。
憩室炎の画像所見
- 憩室の壁が厚く、造影効果が高い。
- 炎症の責任病変となる憩室周囲に炎症所見(dirty fat sign,腹膜筋膜の肥厚、液貯留)がある。
- 5~15cmに及ぶ、壁の3層構造が保たれた全周性の腸管壁肥厚(感度98%)
- ただし全周性でないことも多い。※腸炎なら全周性。15cm以上に及ぶ腸管の浮腫性変化は腸炎と考えた方が良い。
- 低吸収である粘膜下層が著明に肥厚する。(内から高吸収の粘膜層、低吸収の粘膜下層、高吸収の漿膜と並ぶ。)
- 炎症所見を欠く憩室の存在。
- 虫垂は正常。特に右下腹部のときは虫垂炎を否定する。
動画で学ぶ憩室炎①(上行結腸憩室炎(回盲部憩室炎))
▶キー画像
動画で学ぶ憩室炎②(S状結腸憩室炎)
憩室炎の治療
(1)腸間膜付着側の穿孔
限局的。腸間膜内への膿瘍形成することあり。治療は保存的。必要な場合は膿瘍に対して、CTガイド下ドレナージ。
(2)腸間膜付着部以外の穿孔
広範囲に広がりやすい。遊離している部分が多い横行結腸、S状結腸憩室炎。虫垂炎など。治療は、非常に限局している例外的な場合を除いて手術。
参考)腸管壁の3層構造とは?
憩室と大腸のガスと迷う時があるのですが、どう見分けていますか?
壁外に明らかに突出しているように見えるものは憩室と判断できるのですが、、
コメントありがとうございます。
壁外に明らかに突出しているものでないと憩室とはわかりにくいことが多いです。
結腸内のガスとしてはサイズが小さいものは憩室と考えますが。