Crohn病(クローン病)とは?
- 潰瘍性大腸炎、腸結核とともに慢性炎症性腸疾患に分類される。
- 消化管の慢性肉芽腫性炎症性疾患。
- 回腸末端に好発し、非連続性多発病変(skip lesion)を示す。
- 寛解、再燃を繰り返す。
- 炎症は全層に及ぶ。
- 80%が小腸病変を伴う。大腸病変のみは20%である。
- 形態学的評価と病理学的な非乾酪性類上皮肉芽腫の検出が確定診断となる。
- 摂取物質、感染、遺伝、免疫異常などの要因が報告されているが、真の病因は不明。
- 15-25歳に発症のピークあり。
- 癌の発症率は一般人口に比べて小腸で12-114倍、大腸で1−20倍とされる。
- 大腸癌の危険因子は大腸病変の存在、長期罹患、瘻孔、狭窄など
Crohn病(クローン病)の症状
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
- 体重減少
- 痔瘻
- 肛門周囲膿瘍
- 腸管外合併症(口腔内アフタ、虹彩炎、ぶどう膜炎、関節炎、結節性紅斑)
などを症状とする。
Crohn病(クローン病)の画像所見
画像診断は内視鏡、小腸透視、注腸透視によって主に行われる。
近年ではより非侵襲的なCTやMRIも行われる。
特に腹部合併症である膿瘍、狭窄、瘻孔、穿孔の診断、評価に有用とされる。(RadioGraphics 24:689-702,2004)
Crohn病(クローン病)のCT画像所見
病初期・急性期所見
- 初期には3層構造を示す腸管壁肥厚を認める。
- ほか、急性期に認められる所見として、
- 腸管壁の造影効果増強。
- 腸管の狭窄
- 腸管周囲の脂肪織濃度上昇
- 腸間膜動脈付着部の腸管変形、血流増加(comb signと呼ばれる)
- 腸間膜リンパ節腫大 など
という特徴あり。
慢性期所見
- 進行につれ線維化が全層に及んで層構造は失われる。
- 慢性期は壁の濃染は全層均一なことが多い。
- 慢性期には、粘膜下の脂肪沈着、腸管狭窄、嚢状変化が見られる。
腹部合併症
- 炎症過程は線維性狭窄→閉塞、もしくは穿通→瘻孔に向かうことが多い。
- 瘻孔には近傍の腸管・膀胱・膣などの臓器に穿通すると内瘻、腹壁・皮膚に通じると外瘻がある。
- 膿瘍形成は腹腔内、腹壁、横隔膜下、腸腰筋などの部位に認められる。
症例 50歳代男性 クローン病でフォロー
回腸末端に壁肥厚及び造影効果増強あり。
S状結腸に壁肥厚及び造影効果増強あり。周囲リンパ節あり。
クローン病による慢性期の変化を疑う所見です。
参考)わかる!役立つ!消化管の画像診断P132-133