先に結論:先天性食道閉鎖症

  • 先天性食道閉鎖症は食道が途中で途切れている先天異常で、約85%は下部食道が気管とつながるC型です。胎児期の羊水過多や、生後の泡状のよだれ・哺乳時のむせで見つかります
  • X線で胃管が上部食道で折り返す(coil up sign)ことで診断でき、胃や腸にガスがあれば下部の気管食道瘻(C型など)があると分かります
  • VACTERL連合(心臓・椎体・肛門・腎臓・四肢の異常)の合併を確認します

先天性食道閉鎖症とは?

  • 先天的に食道が閉鎖し、内腔が中断したもの。
  • 食道と気管との異常な交通(気管食道瘻)を認めることがある。
  • 胎児期に母体の羊水過多の原因となる。
  • 多くは孤発例だが、VACTERL連合のほか18・21トリソミーやCHARGE症候群などを合併することがある。
  • 予後には出生体重と重い心奇形の有無が関係する(Spitz 2007)。
  • 心奇形を合併することがある。合併奇形は約50%にみられ、その多くはVACTERL連合(椎体・肛門直腸・心・気管食道・腎・四肢)の構成要素である。
  • Gross 分類が知られており、中でもC型(下部食道が気管と交通)が約85%で最多、ついでA型 (気管食道瘻がない)が約7%(Spitz 2007。下の表)。
  • 出生時体重・ 重症合併奇形・肺合併症などを総合的に考慮し、一期的根治術あるいは分割(多段階)手術を行う。
  • Gross分類のイラストは→日本小児外科学会のサイト

Gross分類(A〜E型)の一覧

型 形 頻度 胃・腸のガス
A型 食道閉鎖のみ(瘻なし) 7% なし
B型 上部食道が気管とつながる 2% なし
C型 下部食道が気管とつながる 86% あり
D型 上部・下部とも気管とつながる 1%未満 あり
E型 閉鎖のない気管食道瘻(H型) 4% あり

頻度はSpitz 2007によります。新生児の約2500人に1人にみられます(Spitz 2007)。

先天性食道閉鎖症の画像所見は?

  • レントゲンにて経鼻胃管のcoil up signあり。
  • C、D、E型では肛側消化管が気管と連なり腸管ガス像を認める。
  • 食道造影とレントゲンで診断をする。
  • 食道造影では、食道瘻が存在する可能性があるためバリウムでの施行は禁忌。誤嚥すると肺水腫を起こす高浸透圧のガストログラフィンも避け、必要なら少量の非イオン性低浸透圧造影剤か空気を用いる(多くはX線のcoil up signで診断できる)。

coil up signとは

経鼻胃管(口から入れる場合も同じ)が上部食道の行き止まりで先へ進めず、折り返してとぐろを巻いたように見えるX線所見です。食道閉鎖では管が口から約10cmより先に進まず、胸腹部のX線で上部食道の盲端にある管を確認して診断します。胃にガスがあれば下部の気管食道瘻がある(C型など)と分かり、腹部にガスがなければA型・B型を考えます(Spitz 2007)。

症例 新生児男児

先天性食道閉鎖症 X線
引用:Radiopaedia(Oesophageal atresia with distal tracheo-oesophageal fistula)

哺乳困難で撮影された胸腹部X線です。経鼻胃管が上縦隔(上部食道の盲端)で折り返しており(coil up sign)、胃と小腸にはガスがみられます。下部食道が気管とつながるC型(上部食道閉鎖+下部気管食道瘻)が考えられる所見です。

参考文献

  1. Spitz L. Oesophageal atresia. Orphanet J Rare Dis. 2007;2:24. PubMed
  2. van Lennep M, Singendonk MMJ, Dall’Oglio L, et al. Oesophageal atresia. Nat Rev Dis Primers. 2019;5(1):26. PubMed
  3. Dingemann C, Eaton S, Aksnes G, et al. ERNICA Consensus Conference on the Management of Patients with Esophageal Atresia and Tracheoesophageal Fistula: Diagnostics, Preoperative, Operative, and Postoperative Management. Eur J Pediatr Surg. 2020;30(4):326-336. PubMed
  4. Krishnan U, Mousa H, Dall’Oglio L, et al. ESPGHAN-NASPGHAN Guidelines for the Evaluation and Treatment of Gastrointestinal and Nutritional Complications in Children With Esophageal Atresia-Tracheoesophageal Fistula. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2016;63(5):550-570. PubMed

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