先天性食道閉鎖症とは?
- 先天的に食道が閉鎖し、内腔が中断したもの。
- 食道と気管との異常な交通(気管食道瘻)を認めることがある。
- 胎児期に母体の羊水過多の原因となる。
- 遺伝性はない。
- 低出生体重児に多い。
- 心奇形を合併することがある。
- Gross 分類が知られており、中でもC型(下部食道が気管と交通)が約85%で最多、ついでA型 (気管食道瘻がない)が約10%。
- 出生時体重・ 重症合併奇形・肺合併症などを総合的に考慮し、一期的根治術あるいは分割(多段階)手術を行う。
- Gross分類のイラストは→日本小児外科学会のサイト
先天性食道閉鎖症の画像所見は?
- レントゲンにて経鼻胃管のcoil up signあり。
- C、D、E型では肛側消化管が気管と連なり腸管ガス像を認める。
- 食道造影とレントゲンで診断をする。
- 食道造影では、食道瘻が存在する可能性があるためバリウムでの施行は禁忌。水溶性の造影剤(ガストログラフィン)を用いる。
症例 新生児。食道閉鎖と診断されている。
2016年放射線科診断専門医42より引用。
経鼻胃管が胃に到達せず、食道部位で反回している。食道盲端があると考えられる。胃や腸管にはガスを認めており、下部食道が気管と交通していることが示唆され、最多であるC型と考えられる。
症例 食道閉鎖を疑う新生児の臥位胸腹部単純 X 線写真
2018年放射線科診断専門医41より引用。
食道閉鎖で経鼻胃管が反転して戻ってきている(coil-up像)、消化管ガスは描出なし。C、D、E型では肛側消化管が気管と連なり腸管ガス像を認めるため、A型もしくはB型が疑われる。