腸腰筋膿瘍とは何でしょうか?
そもそも腸腰筋とはどこの部位の筋肉なのか曖昧な人もいると思います。
今回は、腸腰筋膿瘍の特徴と、画像診断についてまとめました。
腸腰筋膿瘍(psoas abscess)とは?
- 主に脊椎炎(細菌性>結核性)や仙腸関節炎の炎症波及にともない、後腹膜に存在する腸腰筋に膿瘍形成する。
- その他、腎および腎周囲の炎症の波及や、骨盤内炎症、虫垂炎や結腸憩室炎、大腸がん破裂、Crohn病など消化管の炎症に合併することもある。
- 他、血行性、リンパ行性に侵入することもある。
- 糖尿病などの免疫抑制のある患者にみられることが多い。他、尿路結石、腎不全など。
- やや右に多い。やや男性に多い。
- 症状は、非特異的で、非限局性の腹痛、紹介症状、発熱、悪寒、倦怠感など。
- 起因菌はブドウ球菌、連鎖球菌が大半。稀に結核菌。
- 結核性の場合、椎体前下方から感染が始まり、椎体炎、椎間板炎へと進展し、その後脊椎周囲へ進展して膿瘍を形成する。
- 腸腰筋の中を縦方向に進展する特徴的な広がりを示し、大腿骨小転子まで至ることがある。
- 周囲の腎傍腔や腎周囲に膿瘍を形成することもある。
- 治療は第一には抗生剤投与であるが、サイズ大きい場合や、抗生剤に対する反応が悪い時にはドレナージを施行する。
腸腰筋の解剖は?
そもそも腸腰筋=大腰筋+腸骨筋からなる。
下方では共通の腱を形成して、小転子に付着する。
CT画像で腸腰筋をチェックする!
腸腰筋膿瘍のCT、MRI画像所見
- 他の部位の膿瘍と同様に、CTにて内部低吸収を示し、MRIでは、T1WIにて低信号、T2WIで高信号を示し、造影で辺縁に造影効果を認めるのが特徴。
- ただし、膿瘍内の蛋白濃度が高い症例では、T1WIで高信号を示すことがある。
- また化膿性の膿瘍内にはガスを認めることがある。
症例 40歳代男性 腰痛
右腸腰筋に内部にairを有する液体貯留あり。
辺縁に造影効果を認めており、腸腰筋膿瘍を疑う所見。
椎間板炎からの波及が疑われます。