正中弓状靭帯圧迫症候群(median arcuate ligament syndrome)

  • 正中弓状靭帯は、大動脈裂孔の前方辺縁を構成する靭帯であり、この靭帯が腹腔動脈起始部を圧迫して狭窄を起こすことがある。
  • 他に腹腔動脈の狭窄の原因としては、動脈硬化症、大動脈解離が挙げられる。
  • その頻度は剖検例で12-50%と高頻度。ただし、圧迫による狭窄が存在しても上腸間膜動脈からの血流により症状が生じないことが少なくない。
  • 最大呼気時に靭帯による圧迫が強くなりやすい。
  • 肝移植、膵頭十二指腸切除術前には本疾患を認識しておく必要がある。
  • 腹腔動脈起始部狭窄
    →肝臓や脾臓への血流が膵頭部のアーケードを介した上腸間膜動脈(SMA)から供給される
    →膵頭部のアーケードの拡張および圧の上昇
    →同部の動脈瘤の原因となる。

正中弓状靭帯圧迫症候群の画像所見

  • 矢状断像にて腹腔動脈の起始部が頭側から圧迫されている。
  • 造影により狭窄の先に拡張所見(post-stenotic dilatation)を認める。
  • 側副路としての膵頭部アーケードに拡張所見を認める。
症例 60歳代男性

正中弓状靱帯症候群のCT画像

造影CT矢状断像において、腹腔動脈起始部が上から圧迫され狭窄され、その後に拡張を認めています。

正中弓状靱帯症候群の血管造影画像

血管造影にて上腸間膜動脈(SMA)造影で、膵頭部アーケードの拡張および肝動脈の描出を認めており、少なくとも肝動脈は上腸間膜動脈(SMA)からも血流が供給されていることがわかります。

正中弓状靭帯圧迫症候群を疑う所見です。

症例 66 歳の女性。IPDA(下膵十二指腸動脈) の動脈瘤。

median arcuate ligament syndrome2005年放射線科診断専門医試験問題57より引用。

血管造影にて、膵頭部のアーケードの拡張あり、胃十二指腸動脈(GDA)から総肝動脈や脾動脈の描出があり、腹腔動脈の血流を上腸間膜動脈(SMA)が供給していることがわかります。

IPDA(下膵十二指腸動脈) の動脈瘤を認めています。

CTによる矢状断では、腹腔動脈は上から圧迫されています。

正中弓状靭帯圧迫症候群を疑う所見です。

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