目次
炎症性腹部大動脈瘤(inflammatory abdominal aortic aneurysm;IAAA)
・腹部大動脈瘤のうち、2-18%。
・男性、喫煙者との関連の報告あり。
・感染性大動脈瘤とは異なるので注意。時に鑑別困難。
・腎動脈下の腹部大動脈に認められることが多い。
・大動脈の紡錘状瘤状拡張、動脈壁の著明な肥厚と隣接臓器との癒着、大動脈瘤周囲および後腹膜の線維化を特徴とする。
・症状は、腹痛、背部痛、体重減少、微熱。発熱の程度は、感染性動脈瘤に比べると微熱であることが多い。
・原因は不明だがIgG4とも関連があるとも言われる。他、感染やリンパ流うっ滞、アテローム性動脈硬化による大動脈流の亜型という説もある。
・半数で血清IgG4の上昇を認める。
・治療には、ステロイドや免疫抑制剤が有効。瘤の治療適応は紡錘状腹部大動脈と同様。人工血管置換術が適応される。ただし、1/3の症例に水腎症や腸管との癒着所見を認めており、手術は難渋する事がある。
炎症性大動脈瘤の画像診断
・瘤の前壁および側壁に厚い軟部組織が取り巻いているのが認められ、瘤の壁は数センチに及び、特徴的(mantle sign)。
・ほとんどが紡錘状の動脈瘤。参考)感染性大動脈瘤は瘤の形状は嚢状であり、周囲の脂肪織濃度上昇を伴う事が多い。が、鑑別困難な場合もあり。
・単純CTでは低吸収を示すが、造影CTで大動脈瘤外膜が均一に造影され、長く造影効果が持続する。
・1/3の症例に水腎症や腸管との癒着所見あり。
感染性大動脈瘤 | 炎症性大動脈瘤 | |
好発部位 | 腎動脈下腹部大動脈 | 腎動脈下腹部大動脈 |
瘤の形態 | 嚢状 | 紡錘状 |
発熱 | ++ | +〜ー |
炎症反応 | ++ | +〜ー |
血清IgG4 | → | ↑〜→ |
mantle sign | ー | + |
症例 80 歳代の男性。臍部の痛みと発熱。
2013年放射線科診断専門医試験問題37より引用。
症例 66 歳の男性。起床時から出現し徐々に増悪する背部痛
(2008年放射線科診断専門医試験問題41より引用)
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