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Hirschsprung病(Hirschsprung disease)
・胎生7-12週に起こる口側から肛門側に向かう神経芽細胞に遊走障害が生じた結果、腸管壁内の神経叢(アルエルバッハ神経叢)の先天的欠如する。そのため、蠕動が欠如し、腸管の狭窄、健常部の拡張をきたす疾患。
・S状結腸から直腸が障害される事が多い。
・出生4500人に1人の割合で男児に多い。
・症状としては胎便排泄遅延、腹部膨満、嘔吐、水様性下痢を認める。
・X染色体連鎖性遺伝性水頭症、Down症候群に合併することがある。
・診断は注腸造影や、直腸生検にて直腸神経叢の欠如、アセチルコリン活性亢進による。生検は、歯状線から2-3cm上で、全層生検を行う。
・直腸肛門内圧検査で内括約筋反射を認めない。
・治療は人工肛門。その後、根治術には、Soave手術、Duhamel手術、Swenson手術(病変部切除)の3種類ある。
Hirschsprung病の画像所見
・腹部単純X線でニボー像を認め、直腸ガスの欠如を認める。
・注腸造影で病変部の腸管に狭窄を認め、口側の腸管が拡張をきたす(caliber changeとして認められる)。また、直腸に鋸歯状の不整辺縁像を認める。
症例 2 カ月の乳児。便秘で来院。注腸造影側面像を示す。
S状結腸に狭窄を認めており、下行結腸には拡張像あり。Hirschsprung病が疑われる。
症例 腹部膨満,胎便排泄遅延の認められた新生児。
2006年放射線科診断専門医試験問題38より引用。
注腸透視にてS状結腸に狭窄あり、直腸にも鋸歯状の不整辺縁像を認め、エピソードからもHirschsprung病が疑われる。
多数の拡張した腸管ループを伴う下部消化管閉塞の鑑別
- 鎖肛
- Hirschsprung病
- 胎便栓
- 回腸閉鎖・狭窄
- 胎便性イレウス
- 結腸閉鎖・狭窄
腹腔内遊離ガスの鑑別診断
- 壊死性腸炎(NEC)
- Hirschsprung病、胎便性イレウスなどの閉塞性疾患
- 新生児の経鼻胃管留置後の穿孔
- 潰瘍・Meckel憩室・虫垂の穿孔
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