先に結論:痛風の画像診断

  • 痛風は、血液中の尿酸が結晶となって関節にたまり、足の親指の付け根(母趾MTP関節)などに急な激しい痛み・腫れを起こす病気です
  • レントゲンは発作初期には異常がないことが多く、長く続くと骨のふちの打ち抜いたようなびらん(張り出したふち=overhanging edge)や痛風結節が見られます。関節の隙間は比較的保たれます
  • 超音波の二重輪郭徴候(double contour sign)や、デュアルエナジーCTで尿酸結晶を色分けして表示する方法が診断に役立ちます
  • 偽痛風(CPPD)はピロリン酸カルシウム結晶による関節炎で、超音波では軟骨の内部に沈着が見えます

※関節の急な激しい痛み・腫れがあるときは、医療機関を受診してください。

痛風性関節炎、痛風結節

  • 痛風により骨関節病変は急性痛風性関節炎と慢性結節性痛風がある。
  • 足に多いが、手にも見られ、単関節のときも左右非対称性に多関節を侵すこともある。
  • 痛風による関節症は、軟骨や軟骨下骨、滑膜、関節包、関節周囲軟部組織に尿酸が沈着する。
  • 結果、非特異的な急性炎症が、下肢、特に母趾MP関節に生じる。
  • 初期は、軟骨の表層のみに、進行すると深層に至り、軟骨下や深部の骨組織に沈着するようになる。
  • この過程で骨に嚢胞性変化を来たしたり、骨性の輪郭を有するびらんを形成する。
  • 痛風結節は、慢性期に生じ、関節軟骨、骨、関節包、腱、靭帯、滑液包などに生じる。CTやMRIでさまざまな程度の石灰化を伴うことがある(Chen 2000)。
  • 肘頭の滑液包炎を伴うことがあり、両側にみられた報告もある(Özdemir 2017)。

痛風性関節炎、痛風結節の画像診断

  • 関節裂隙は比較的保たれるが、晩期には狭小化を認める。
  • 関節内病変の骨びらんは関節辺縁に始まり、中心部に進展する。痛風結節による骨びらんは一般的に硬化縁を伴い、overhanging margin(痛風結節が骨をえぐるように進展し骨が円弧状に伸びる)と呼ばれる。
  • 痛風結節は、MRIのT1WIで低〜中等度信号、T2WIで不均一な信号(低信号の部分を含む)を示し、造影では不均一に増強される(Ko 2010、Chen 2000)。2015年ACR/EULAR痛風分類基準では、超音波の二重輪郭徴候またはデュアルエナジーCTでの尿酸塩沈着、X線での痛風に関連した骨びらんが画像項目として採用されています。メタ解析ではデュアルエナジーCTの感度・特異度はそれぞれ約89%・91%と報告されています(Shang 2022)。
症例 60歳代男性

overhanging margin

右2指のPIP関節周囲に骨びらんあり。びらんは硬化縁を伴っており、いわゆるoverhanging marginを示唆する所見。関節周囲の痛風結節はT1WIおよびT2WIにて低信号を呈している。

部位別にみる痛風の画像(膝・肘・手・足・耳)

部位 画像で見られること
足(母趾MTP関節など) X線で関節辺縁のびらんとoverhanging edge、軟部組織の腫れ
膝 MRIで痛風結節は膝蓋下脂肪体の内側・前方の関節腔(87%)、大腿骨外側顆の外縁(78%)、顆間窩(69%)に多い(Ko 2010)
肘 肘頭の滑液包炎(滑液包の腫れ)として見えることがある(Özdemir 2017)
手・手首 手首では手根管の底などに結節ができ、手根管症候群の原因になることがある(Chen 2000)

痛風と偽痛風(CPPD)の画像の違い

痛風 偽痛風(ピロリン酸カルシウム沈着症:CPPD)
たまる結晶 尿酸ナトリウム ピロリン酸カルシウム
X線 関節辺縁のびらん、overhanging edge、痛風結節 軟骨の石灰化(軟骨石灰化症)
超音波 軟骨の表面に高エコーの線(二重輪郭徴候)。関節を動かすと骨と一緒に動く 軟骨の内部の高エコー帯。動かすと骨と逆の方向に動く(偽の二重輪郭)

超音波の二重輪郭徴候は、関節を動かしながら観察すると痛風に対する特異度が89.3%から97.6%に上がりました(Cipolletta 2023)。

腫瘍と間違えやすい痛風結節

  • 膝蓋骨や膝の伸展機構にできた痛風結節は、骨軟部腫瘍に似ることがあります。手がかりは、X線・CTで張り出した辺縁(overhanging edge)をもつ関節周囲の骨びらんと軟部組織の増生、超音波のsnowstorm sign、MRIでの腱への帯状の浸潤や、骨髄浮腫がない(または軽い)骨びらんなどです。デュアルエナジーCTは痛風を非侵襲的に見分ける感度・特異度の高い方法とされます(Vuurberg 2025)。
  • 関節から離れた場所にもでき、例えば鼻背では、痛みのない硬い腫瘤が3か月以上かけて徐々に大きくなり、CTで両側の鼻骨破壊を伴っていた32歳男性の痛風結節が報告されています(Xia 2024)。
  • 痛風の既往がある人の「痛くない腫瘤」「骨を壊す腫瘤」では、痛風結節も鑑別に入れておきます。

痛風の画像診断でよくある疑問(Q&A)

Q. 痛風はMRIで分かりますか?
A. 痛風結節や骨びらん、腱への広がりは分かりますが、腫瘍や感染と似ることもあるため、X線・超音波・デュアルエナジーCTとあわせて判断します。

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参考文献

  1. Neogi T, Jansen TL, Dalbeth N, et al. 2015 Gout classification criteria: an American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism collaborative initiative. Ann Rheum Dis. 2015;74(10):1789-98. PubMed
  2. Shang J, Zhou LP, Wang H, et al. Diagnostic Performance of Dual-energy CT Versus Ultrasonography in Gout: A Meta-analysis. Acad Radiol. 2022;29(1):56-68. PubMed
  3. Chou H, Chin TY, Peh WC. Dual-energy CT in gout – A review of current concepts and applications. J Med Radiat Sci. 2017;64(1):41-51. PubMed
  4. Dalbeth N, Gosling AL, Gaffo A, et al. Gout. Lancet. 2021;397(10287):1843-1855. PubMed
  5. Vuurberg G, Rooy JWJ, Vanhoenacker FM. Tophaceous Gout Mimicking a Neoplasm of the Patella. Semin Musculoskelet Radiol. 2025;29(1):134-138. PubMed
  6. Xia HF, Yu MY, Ma SR, et al. Gouty Tophus Erodes Nasal Bone But Presents as Painless Hump. J Craniofac Surg. 2024;35(7):e697-e699. PubMed
  7. Ko KH, Hsu YC, Lee HS, et al. Tophaceous gout of the knee: revisiting MRI patterns in 30 patients. J Clin Rheumatol. 2010;16(5):209-14. PubMed
  8. Chen CK, Chung CB, Yeh L, et al. Carpal tunnel syndrome caused by tophaceous gout: CT and MR imaging features in 20 patients. AJR Am J Roentgenol. 2000;175(3):655-9. PubMed
  9. Cipolletta E, Abhishek A, Di Matteo A, et al. Dynamic assessment of the double contour sign by ultrasonography helps to distinguish between gout and calcium pyrophosphate deposition disease. RMD Open. 2023;9(1):e002940. PubMed
  10. Özdemir G, Deveci A, Andıç K, et al. Bilateral Olecranon Tophaceous Gout Bursitis. Case Rep Med. 2017;2017:3514796. PubMed

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