先に結論:収縮性心膜炎

  • 収縮性心膜炎は心膜が厚く硬くなって(しばしば石灰化して)心臓の拡張が妨げられる病気で、むくみ・腹水・胸水・肝腫大・頸静脈怒張など右心不全の症状が中心です
  • 画像では心膜の肥厚(4mm以上)・石灰化、心室の変形・下大静脈と肝静脈の拡張が見られます。心膜が厚くなくても起こることがあります
  • 拘束型心筋症との区別が大切で、心臓MRI・心エコー・心臓カテーテルで評価し、治療は心膜切除術です

収縮性心膜炎(constrictive pericarditis )

  • 心外膜の肥厚や癒着、石灰化によりその伸展性が失われ、心腔の拡張障害をきたした疾患。
  • 慢性的に心膜腔に液体貯留があると、心膜は癒着、肥厚し、半年以上でしばしば心膜の石灰化をきたす。
  • 原因としては、特発性、結核(以前は最多)、ウイルス、リウマチ、外傷、尿毒症性心膜症、心臓手術後、悪性腫瘍の心膜転移、放射線治療後など。
  • 硬い心膜が拡張を制限するために、全身の静脈圧が上昇する。
  • 心腔の拡張制限→右心不全=浮腫、腹水など→左心不全=呼吸困難などを来す。
  • 症状は、奇脈、吸気に頸静脈怒張が増強するKussmaul徴候、表在静脈怒張、腹水・胸水、浮腫、肝腫大、うっ血性肝硬変、蛋白漏出性胃腸症など。
  • 身体所見では、聴診で拡張早期過剰心音を聴取する。
  • 治療は軽度の心不全症状には塩分制限、利尿薬など保存的治療。合併症がある場合は手術不適症例以外は、心膜切除術を施行する。

収縮性心膜炎の画像診断

  • 単純X線上の心膜の線状・板状の石灰化は、収縮性心膜炎を示唆する重要な所見。ただし、全例で認めるわけではない。
  • 石灰化は心膜のどの部位にも生じるが、右房・右室の周囲あるいは、房室間溝部に多い。
  • 心膜の厚さは正常では2mm以下で、4mm以上の肥厚は臨床所見と合わせて収縮性心膜炎を示唆する。ただし手術で確認された収縮性心膜炎の約18%は心膜の厚さが正常である。
頸静脈怒張の鑑別診断
  • 右心不全
  • 収縮性心膜炎
  • 心タンポナーデ

症例 30歳代男性 息切れ・低血圧(末期腎不全)

石灰化性収縮性心膜炎 造影CT 横断像
引用:Radiopaedia(Calcific constrictive pericarditis)

造影CTの横断像です。心臓を取り囲む心膜に沿って、線状〜板状の広範な石灰化を認め、特に心臓の前面から左側で目立ちます。心膜の石灰化を伴う収縮性心膜炎の症例です。

参考文献

  1. Talreja DR, Edwards WD, Danielson GK, et al. Constrictive pericarditis in 26 patients with histologically normal pericardial thickness. Circulation. 2003;108(15):1852-7. PubMed
  2. Wang ZJ, Reddy GP, Gotway MB, et al. CT and MR imaging of pericardial disease. Radiographics. 2003;23 Spec No:S167-80. PubMed
  3. Klein AL, Abbara S, Agler DA, et al. American Society of Echocardiography clinical recommendations for multimodality cardiovascular imaging of patients with pericardial disease. J Am Soc Echocardiogr. 2013;26(9):965-1012.e15. PubMed

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