前腸性嚢胞(ciliated hepatic foregut cyst)
- 発生期に前腸を覆う絨毛上皮の遺残によるもの。気管支原性嚢胞と同様の疾患。
- 肝左葉内側区を中心とする肝表に好発する。肝表から膨隆することあり。
- 肝内に発生する唯一の線毛性嚢胞。
- 内部には粘稠度の高いムチンを有する。
- 症状は認めず、各種画像検査で偶然見つかることが多い。
- 嚢胞内部はさまざまな信号パターンを呈し、まれに出血を伴い、T1WIにて高信号のものもある。
- 通常5cm以下。
- 単純CTで内部のムチンを反映して通常の嚢胞より高吸収を呈する。
- MRIでは、内容物を反映してT1WIにて低〜等〜高信号、T2WIでは高信号として描出されることが多い。
症例 60歳代男性
肝S4辺縁より突出する、やや濃度の高い嚢胞性病変あり。前腸性嚢胞が疑われる。
参考)肝胆膵の画像診断―CT・MRIを中心に P178-179