静脈硬化性大腸炎(Phlebosclerotic colitis)

  • 2000年Yaoらにより提唱された疾患。それ以前は、静脈硬化症(Phlebosclerosis)などと呼ばれていた。
  • 疾患の主座は腸間膜の静脈硬化症に基づいた還流障害と考えられている。
  • 近年では炎症の主体は膠原線維の沈着であることから、特発性腸間膜静脈硬化症が提唱されている。
  • 症状は、腹痛(特に右下腹部痛)、下痢、嘔吐、便秘、腹部膨満、血便など。無症状もあり。
  • 症状がある場合は、数ヶ月から数年にわたり症状がある。一方で動脈系の血流障害によって生じる虚血性腸炎は急性発症。
  • 基礎疾患としては、腸管内刺激物質の存在、血栓性静脈炎、腸管内圧の亢進、動脈硬化症、肝障害、門脈圧亢進、高血圧、高脂血症、糖尿病、自己免疫性疾患など。基礎疾患がない症例も4割程度ある。
  • 発生原因は不明。
  • 男女比はほぼなし。
  • 右側結腸から発症して、病期がすすむにつれ肛門側に範囲が広がる。
静脈硬化性腸炎は右側結腸、虚血性大腸炎は左側結腸に好発する。
  • 静脈血流が鬱滞→水溶性刺激物、環境因子、有害物質が大腸に特異的に吸収→静脈に長時間暴露→石灰化 の可能性が指摘されている。

静脈硬化性腸炎の画像所見

  • 腹部単純X線にて右側結腸の走行に一致して分布する多数の点状・線状・編み目状の石灰化像として認めらえる。
  • 腹部CTでは右側結腸の腸間膜付着側に腸壁の肥厚、周囲の脂肪織濃度上昇、多発する腸間膜側の線状〜線香花火様の石灰化として認められる。
  • 注腸透視検査や内視鏡検査では虚血性大腸炎と類似。注腸透視では、結腸管腔の狭小化、ハウストラの消失、辺縁の不整、硬化像。拇指圧痕像を認める。
  • 治療は外科的手術により病変部を完全に切除あるいは、保存的治療。症状の強さによって治療法が選択される。
症例 70歳代女性

CTで上行結腸および横行結腸の壁内および周囲静脈に線状の石灰化を複数認め、 静脈硬化性腸炎を疑う所見です。

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