壊死性腸炎(NEC:necrotizing enterocolitis)
- 出生体重2500g以下の未熟児、妊娠週数37週未満の早期産児に多い。
- 出生体重1500g以下の10%に認め、心奇形を持つ満期産児の10%に認める。
- 出生後3-4日の発症が多い。90%が生後14日以内。
- 危険因子は、未熟児、低出生体重児、周産期の仮死、消化管閉塞、動脈管開存症(PDA)、インドメタシン(indomethacin)の投与。
- 血便、下血、下痢、腹部膨満、胆汁性嘔吐、無呼吸、敗血症などの症状がある。
- 急速に進行し腸管穿孔(4-7割)を起こし、腹膜炎に至る。診断や治療の遅れは致死的。
- 原因は多彩で、早期破水、子癇前症、糖尿病、多胎、早期授乳開始など。
- 腸管壁の血流が低下→腸管虚血→粘膜バリアの破綻→細菌と空気の壁への侵入が起こる。
- 発生部位は遠位回腸と上行結腸が多い。
- 腸管穿孔は生後36時間以内に起こることが最も多い。回盲部が多い。
- 単純X線像で、限局性の腸管拡張、腸管壁内ガス像(gas in the intestinal sign)および、門脈内ガス像、気腹を見る。(新生児では腸管壁内ガスは壊死性腸炎を意味する)
- 消化管穿孔が生じても、単純X 線でfree airが認められるのは2/3のみ。1/3に腹水あり。臥位の腹部単純X線で、football sign(周囲に空気が入ることにより肝鎌状靭帯が描出される)、Rigler sign(腸管の内外の空気により辺縁が描出される)を認める。
新生児の消化管穿孔の基礎疾患
- 壊死性腸炎
- 消化管閉鎖(Hirschsprung病、胎便性イレウス)
- 限局性腸管穿孔(虫垂、Meckel憩室)
- 特発性胃穿孔
- 中腸軸捻転
- 潰瘍
- 経鼻胃管留置後の穿孔
消化管出血の原因
- 新生児:壊死性腸炎、感染、腸炎
- 幼児:ストレス潰瘍、Meckel憩室、腸重積
- 児童:若年性ポリープ、炎症性腸疾患(IBD)
嘔吐をきたす疾患
- 新生児、乳児:先天性消化管閉鎖/狭窄、壊死性腸炎
- 幼児:腸重積、胃石
- 児童:内ヘルニア、虫垂炎
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