網嚢(omental bursa)

  • 胃の後方に位置する空間で、腹膜腔と連続している。
  • 入口は、網嚢孔(epiploic foramen,Winslow’s foramen)と呼ばれ、肝十二指腸靭帯(小網)の背側に位置する。
  • 腹腔内なので、消化管穿孔の際にfree airが存在したり、腹水や、血腫が限局的に存在することがあるので、注意が必要。
  • 同部位にヘルニア(内ヘルニア)を生じることがあり、Winslow孔ヘルニアと呼ばれる。
  • シェーマで表すと横断像のCTでは、胃の背側に網嚢は存在する。

網嚢(omental bursa)を冠状断像で見るといいねの形

冠状断像で腹膜腔を見ると次のようになる。

このうち網嚢にフォーカスを当ててみると、次のようになる。

入り口がWinslow孔で、上方に網嚢内側上陥凹、外側に網嚢外側部が存在するのがよくわかる。また、冠状断像で見ると、網嚢の形は「いいね」のマークに似ている。

Winslow孔が手首、網嚢内側上陥凹が親指、網嚢外側部が握りこぶしに相当する。

症例 70歳代女性 特発性網嚢内血腫

OMENTAL BURSA3

OMENTAL BURSA4

横断像においても、矢状断像においても、胃の背側の網嚢内に高吸収血腫があることがわかる。

経過観察にて血腫は消失。原因はわからず、特発性網嚢内血腫と診断されました。

症例 70歳代男性 多発HCCあり、肝不全あり。網嚢内血腫あり。

OMENTAL BURSA5

胃の背側に高吸収血腫を認めており、網嚢内血腫であることがわかります。

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