家族性大腸腺腫症(FAP:familial adenomatous polyposis syndrome)
・癌抑制遺伝子であるAPC遺伝子(第5q染色体)の機能失活により引き起こされる遺伝性疾患。
・大腸全体に100個以上の腺腫性ポリープが発生する。通常、直腸・S状結腸領域から発生し結腸全体に広がる。
・17000人に1人。男女比は1:1。
・遺伝形式は7割が常染色体優性遺伝。3割が孤発性。
・異常遺伝子は8-10割で発現する。
・症状は下血・血便、下痢、腹痛、貧血。
・合併症は、大腸癌、胃や十二指腸の腺腫、乳頭部周囲の癌、顎骨腫、網膜色素斑、類腱腫(デスモイド)、甲状腺癌、子宮癌など。
・デスモイドは再発しやすい。
・亜型としてattenuated(弱性)FAP(100以下のポリープ)、Turcot症候群(脳腫瘍合併)がある。
・腸管外病変をGardner症候群という。類表皮嚢腫、脂肪腫、線維腫、デスモイド腫瘍、腸間膜線維症、腹膜付着、後腹膜線維症、骨腫症(下顎骨に多い)、歯牙腫、甲状腺癌など。
・大腸癌は20歳ころから発生し、40歳で50%、60歳ではほぼ全例で見られる。
・治療は、20歳頃に全結腸切除+直腸粘膜抜去+回腸肛門吻合。
・予後はデスモイド、結腸癌、乳頭部癌が発生すると不良。
画像所見
・CTでは、デスモイドと腸間膜線維腫症を認める。デスモイドは筋組織で境界されたり、筋膜を超えたり、深部に浸潤したりする。大きさは5-20cm。ともに造影により筋肉より高吸収となる。MRIではT1WIで低信号、T2WIで低〜高信号の多彩な信号を呈する。
・造影効果あり均一〜不均一に造影される。
・注腸造影では、結腸全体に、特に直腸〜S状結腸にかけて、大小多数のX線透過性造影欠損像としてポリープを認める。
・上部消化管造影および小腸造影では、胃〜十二指腸〜空腸〜回腸に多数の小さな造影欠損として認める。
母と亡くなった祖父が大腸癌です。いろいろと気がかりなことがあります。
藤井様
コメントありがとうございます。どのようなことが気がかりでしょうか?