高安動脈炎/高安病とは?

  • 大動脈とその主要分枝、肺動脈などの弾性血管を侵す原因不明の血管炎。大動脈炎症候群とも呼ばれる。※肺動脈は末梢まで弾性線維がある。
  • 中膜と外膜に円形および巨細胞浸潤のみられる全層におよぶ血管炎。
  • アジアに多い。
  • 若年〜中年女性に好発する。男女比は8:1で女性に多い。
  • 大動脈弓の主要な血管分枝が侵されると、両上肢の脈が非対称になる。それゆえ、脈なし病(pulseless disease)と呼ばれることあり。
  • 高血圧、上下肢の脈拍・血圧に差異、左右の上肢の脈拍・血圧に差異を生じることあり。
  • 腎動脈狭窄は腎血管性高血圧の原因となる。
  • 治療はステロイドや免疫抑制剤。狭窄した動脈に血管拡張術が行われることあり。

高安動脈炎の画像所見

急性期:血管壁の弾性線維を中心に、肉芽腫性変化
  • 大動脈や肺動脈の壁肥厚。
  • 単純CTで肥厚した壁が全周性に高吸収に認められることあり。
  • 造影CTの後期相では肥厚した壁に均一な造影効果が見られ、二重のリング状の染まり(double ring-like sign)を認めることあり。(外膜〜中膜の外側にかけての炎症部が造影される。内膜は造影されない。)

症例 50歳代女性 急性の右胸膜炎の痛みと息切れ。 高 D ダイマー。

引用:radiopedia

右主肺右主肺動脈の重度の管腔狭窄 (最大 4 mm 口径)動脈の重度の管腔狭窄あり。遠位上行大動脈および大動脈弓の軽度の壁肥厚。 腕頭動脈、右鎖骨下動脈、両側総頸動脈の壁壁の肥厚が顕著。

大動脈炎症候群(高安病)を疑う所見。

慢性期:線維化
  • 血管の反応性内膜肥厚による狭窄・閉塞性病変。石灰化。閉塞性病変は総頚動脈、鎖骨下動脈、腎動脈において頻度が高い。
  • 拡張性病変(上行大動脈や弓部)や動脈瘤(下行大動脈や腹部大動脈)を生じることあり。
  • 他疾患との鑑別には、肺動脈の病変を伴うことが鑑別の一助になる。肺動脈は末梢まで弾性線維があり、肺動脈陰影の減少や、透過性が亢進する。

予後を規定する因子

  • 腎動脈や異型大動脈縮窄による高血圧
  • 大動脈弁閉鎖不全によるうっ血性心不全
  • 冠状動脈病変による虚血性心疾患
  • 動脈瘤破裂

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