先に結論:高安動脈炎(大動脈炎症候群)の画像

  • 高安動脈炎は、大動脈とその大きな枝・肺動脈に炎症が起こる病気で、若い女性に多く(日本など東アジアに多い)、発熱・だるさ・腕の脈が弱い/左右の血圧差・めまい・高血圧などが出ます(指定難病)
  • 炎症の時期にはCT・MRIで大動脈の壁が全周性に厚く、造影で二重のリング状に染まる、FDG-PETで壁に集積し、慢性期には狭窄・閉塞・拡張・動脈瘤が残ります。肺動脈の病変を伴うことも特徴です
  • 予後を左右するのは大動脈弁閉鎖不全・腎動脈狭窄による高血圧・冠動脈病変・動脈瘤で、治療はステロイド・免疫抑制薬・生物学的製剤です

※若い方で原因のわからない発熱が続く、腕の脈が弱い・左右の血圧差があるときは、医療機関で相談してください。

高安動脈炎/高安病とは?

  • 大動脈とその主要分枝、肺動脈などの弾性血管を侵す原因不明の血管炎。大動脈炎症候群とも呼ばれる。※肺動脈は末梢まで弾性線維がある。
  • 中膜と外膜に単核球(リンパ球・形質細胞)および巨細胞の浸潤のみられる全層におよぶ血管炎。
  • アジアに多い。
  • 若年〜中年女性に好発する。日本の全国調査(新規登録1,372例)では発症年齢の中央値は35歳(男性43.5歳、女性34歳)で、約85%に大動脈弓またはその主要分枝の病変を認めた。同調査では83.8%が女性(女性:男性≒5:1)で、近年は男性や高齢発症の割合が増えている。
  • 大動脈弓の主要な血管分枝が侵されると、両上肢の脈が非対称になる。それゆえ、脈なし病(pulseless disease)と呼ばれることあり。
  • 高血圧、上下肢の脈拍・血圧に差異、左右の上肢の脈拍・血圧に差異を生じることあり。
  • 腎動脈狭窄は腎血管性高血圧の原因となる。2022年のACR/EULAR分類基準では、診断時60歳以下であることと画像での大型血管炎の所見を必須条件とし、女性(+1)、上肢の脈拍減弱(+2)、左右上肢の収縮期血圧差20mmHg以上(+1)、罹患動脈領域の数(+1〜+3)、腹部大動脈と腎・腸間膜動脈の病変(+3)などを合計して5点以上で高安動脈炎と分類する。検証データでの感度は93.8%、特異度は99.2%であった。
  • 治療はステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤(トシリズマブなど)。狭窄した動脈に血管拡張術が行われることあり。

高安動脈炎の画像所見

急性期:血管壁の弾性線維を中心に、肉芽腫性変化
  • 大動脈や肺動脈の壁肥厚。
  • 単純CTで肥厚した壁が全周性に高吸収に認められることあり。
  • 造影CTの後期相では肥厚した壁に均一な造影効果が見られ、二重のリング状の染まり(double ring-like sign)を認めることあり。(外膜〜中膜の外側にかけての炎症部が造影される。内膜は造影されない。)

症例 50歳代女性 急性の右胸膜痛と息切れ。 高 D ダイマー。

引用:Radiopaedia

右主肺動脈の重度の内腔狭窄(最も細い部分で径4mm)あり。遠位上行大動脈および大動脈弓の軽度の壁肥厚。 腕頭動脈、右鎖骨下動脈、両側総頸動脈の壁の肥厚が顕著。

大動脈炎症候群(高安病)を疑う所見。

慢性期:線維化
  • 血管の反応性内膜肥厚による狭窄・閉塞性病変。石灰化。閉塞性病変は総頚動脈、鎖骨下動脈、腎動脈において頻度が高い。
  • 拡張性病変(上行大動脈や弓部)や動脈瘤(下行大動脈や腹部大動脈)を生じることあり。
  • 他疾患との鑑別には、肺動脈の病変を伴うことが鑑別の一助になる。肺動脈は末梢まで弾性線維があり、肺動脈陰影の減少や、透過性が亢進する。

予後を規定する因子

  • 腎動脈や異型大動脈縮窄による高血圧
  • 大動脈弁閉鎖不全によるうっ血性心不全
  • 冠状動脈病変による虚血性心疾患
  • 動脈瘤破裂

参考文献

  1. Watanabe Y, Miyata T, Tanemoto K. Current Clinical Features of New Patients With Takayasu Arteritis Observed From Cross-Country Research in Japan: Age and Sex Specificity. Circulation. 2015;132(18):1701-9. PubMed
  2. Matsunaga N, Hayashi K, Sakamoto I, et al. Takayasu arteritis: MR manifestations and diagnosis of acute and chronic phase. J Magn Reson Imaging. 1998;8(2):406-14. PubMed
  3. Grayson PC, Ponte C, Suppiah R, et al. 2022 American College of Rheumatology/EULAR classification criteria for Takayasu arteritis. Ann Rheum Dis. 2022;81(12):1654-1660. PubMed
  4. Park JH, Chung JW, Im JG, et al. Takayasu arteritis: evaluation of mural changes in the aorta and pulmonary artery with CT angiography. Radiology. 1995;196(1):89-93. PubMed
  5. Isobe M, Amano K, Arimura Y, et al. JCS 2017 Guideline on Management of Vasculitis Syndrome – Digest Version. Circ J. 2020;84(2):299-359. PubMed

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