先に結論:肝臓の動脈の分岐(一覧)

腹部大動脈 → 腹腔動脈 → 総肝動脈(CHA) → 胃十二指腸動脈(GDA)を出したあと 固有肝動脈(PHA) → 右肝動脈・左肝動脈(ときに中肝動脈)と分かれます。

略語 血管 ひとこと
CHA 総肝動脈 腹腔動脈から右へ出る
GDA 胃十二指腸動脈 十二指腸・膵頭部へ。膵頭十二指腸切除後の出血源として重要
PHA 固有肝動脈 GDAより先。肝門で左右に分かれる
RHA・LHA 右肝動脈・左肝動脈 右葉・左葉へ。左肝動脈の曲がり角(U-point)で外側区(S2・S3)と内側区(S4)を見分ける

肝動脈は変異が多く、右肝動脈が上腸間膜動脈から(置換右肝動脈)、左肝動脈が左胃動脈から出る(置換左肝動脈)ことがあり、TAEや手術の前に確認します。600例のDSAの検討では、標準的な肝動脈の走行は61.3%にとどまり、左肝動脈の変異が19.8%、右肝動脈の変異が14.8%、総肝動脈が上腸間膜動脈や大動脈から出る例が4.0%にみられました。

肝血管造影、肝動脈塞栓(TAE)、アンギオのときの肝の動脈の見方、同定方法は?

肝のsegmentを考慮した血管造影読影の要点

まず固有肝動脈からの末梢分岐が2分岐か3分岐かを同定。

ついで、左肝動脈の根元に着目し、これを目で追いながら、上行する左肝動脈が急に折れ曲がる点、すなわち、umbilical point(U-point)を同定する。この部位が肝の左葉外側区と内側区を区別する点(肝鎌状靭帯・肝円索が通過)。

左肝動脈が急に左に折れ曲がるU-pointを同定する。

hepaticartery2

このU-pointを通過して、左側へ伸びる2本の太い血管が同定される。この2本の血管は肝左葉外側区を支配する。

その上方がS2(うえ後ろと覚える)、下方が S3である。

hepaticartery3

U-pointと逆方向の右向きに、急に折れ曲がる点を見つける。

この点がmedial point (M-point)と称され、肝左内側区、すなわちS4(方形葉)を支配する血管である。ただしS4の動脈は、門脈臍部の位置で左肝動脈から出るもの(37.2%)のほか、それより手前の左肝動脈から(35.8%)、あるいは右肝動脈から出るもの(27.0%)もあり、M-pointの折れ曲がりが見られるのは全体の約68%と報告されています。

hepaticartery4

次いで、肝右葉のドーム下に向かって長い円弧を描く右肝動脈の末梢を見つける。それがS8の血管である。

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その後、右肝動脈の中間点付近から下方に伸びる枝が後区域枝(S6.7)である。

この後区域枝の分岐部の同定は並走する門脈造影像が参考になり、右門脈枝から分岐する後区域門脈枝の中枢側は濃度の濃い円形陰影(posterior point:P-point)として撮影されるからである。

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S7の血管はこのP-pointから上方に伸びる分枝か、S6の分枝の途中から上方に伸びる分枝(posterior superior point:PS‐point)として同定される。

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これらの後区域枝を分岐した後の右肝動脈末梢で下方に伸びる分枝S5を同定する。

S1の血管はしばしば同定困難。左右の肝動脈起始部から数本の細かい血管として認められることがある。

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注意点

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U- pointを通過しないで左方に伸びる血管があれば、それは肝左葉外側区を支配するものではなく、左下横隔動脈,副左胃動脈,右胃動脈などであることを考慮しなければならない。

特に、副左胃動脈が左肝動脈より分岐する場合,、胃壁の濃染像を腫瘍濃染像と間違えないことが大切。

参考)臨床放射線科のコツと落とし穴 IVR P63-65

参考文献

  1. Covey AM, Brody LA, Maluccio MA, et al. Variant hepatic arterial anatomy revisited: digital subtraction angiography performed in 600 patients. Radiology. 2002;224(2):542-547. PubMed
  2. Yoshimura H, Uchida H, Ohishi H, et al. Evaluation of “M-point” in hepatic artery to identify left medial segment of liver. Angiographic study. Eur J Radiol. 1986;6(3):195-198. PubMed
  3. Favelier S, Germain T, Genson PY, et al. Anatomy of liver arteries for interventional radiology. Diagn Interv Imaging. 2015;96(6):537-46. PubMed
  4. Catalano OA, Singh AH, Uppot RN, et al. Vascular and biliary variants in the liver: implications for liver surgery. Radiographics. 2008;28(2):359-78. PubMed

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