NAFLDとは
- nonalcoholic fatty liver diseaseのことで非アルコール性脂肪性肝疾患。
- 明らかな飲酒歴がないにも関わらず、肝組織所見はアルコール性肝障害に類似した主に大滴性の肝脂肪沈着を特徴とする肝障害の総称。
- NAFLDの多くは肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧などいわゆる生活習慣病を背景に発症する。
- NASHの成立には2段階の因子が関与していると言われる。(two hit theory)
- 第1段階の肥満・糖尿病・脂質異常症、高血圧などの生活習慣病(1st hit)により単純性脂肪肝(SS) が発症し、そこに内臓脂肪細胞から分泌されるTNFαなどのadipocytokine、脂質過酸化、鉄蓄積などの因子が加わり(2nd hit)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が発症するといわれる。
- したがって、NAFLDの治療の基本は1st hit、2nd hitの各因子を取り除くことであるが、SS、NASHともにその病態形成や進展には酸化ストレスとインスリン抵抗性が深く関与している。
NASHとの関係は?
- NAFLDは予後良好な単純性脂肪肝(SS) と、炎症や線維化を伴い肝硬変・肝癌に進展する予後不良な非アルコール性脂肪肝炎(NASH)がある。
- NAFLD=単純性脂肪肝+NASH の関係。
病理組織学的分類は?
Matteoniは病理組織学的に以下の4型に分類
- 1型:単純性脂肪肝
- 2型:脂肪性肝炎
- 3型:脂肪性肝壊死(風船様変性を伴う)
- 4型:マロリー小体(Mallory body)ないし線維化を伴う肝細胞壊死
このうち、肝硬変への進行や、肝疾患関連壊死の頻度が有意に高く、NAFLDの3型、4型がNASHに分類される。
ではNASHとは?
- 非アルコール依存症患者(アルコール量:20g/日以下)に生じる症候群。
- しばしば40-60歳の女性に見られる。
- 多くは、肥満、糖尿病、高脂血症を呈する。
- 病因はほとんどわかっていないが、インスリン抵抗性に関連すると考えられている。
- アルコール性肝炎と組織学的に鑑別できない肝障害を生じる。
- 脂肪の蓄積(脂肪変性(TGの蓄積による))、炎症、線維症が認められる。
- 進行すると肝細胞への脂肪沈着がなくなる(burned-out NASH)→肝硬変、肝細胞癌へ進行する。そのため、進行したNASHのスクリーニングに画像診断は不可欠。
- 確定診断には生検に頼らざるを得ない。
参考文献)肝胆膵の画像診断 P281