放射線肺臓炎(radiation pneumonitis)
- 放射線照射後に生じる肺の障害。
- 30Gy以下では稀。40Gy以上では必発する。
- 照射後2~6か月後くらいで照射野に一致した部位にすりガラス影→続いて浸潤影が出現する。(1〜3ヶ月で出現し、3〜4ヶ月で著明となる。)
- ただし、照射野外に陰影が出現することが10-20%ある。
- 放射線線維症(radiation fibrosis)は照射後3-4ヶ月から始まり、9-12ヶ月で安定する。
- 頻度や重症度は、照射された肺の容量、総線量、照射回数、間隔、併用する化学療法、基礎疾患とての間質性肺炎の有無に関連する。
- 時間がかなり経過したあとで出てくることがある。一旦消えた後、再び出てくることがある。
特徴的な部位の放射線肺障害1)
- 前胸壁胸膜下→乳癌の原発巣照射後
- 病変側肺尖部→乳癌の腋窩照射後
- 両側肺尖部→頚部悪性腫瘍照射後
- 縦隔周囲→悪性リンパ腫、食道癌照射後
特異な放射性肺臓炎
- 乳癌の照射後に照射野外あるいは対側肺に斑状の非区域性多発性陰影を示すことがある(放射線治療後の器質化肺炎(OP))。照射後1年以内、主に4-5ヶ月で出現する。ステロイドが著効。
- 化学療法の併用例などでは、放射線肺臓炎の出現時期が早まったり、照射野外にまで陰影が広がることがある。
- 3次元原体照射では、線量分布に一致して円形ないし不整形の陰影を呈することがある。
症例 40歳代女性 左乳癌温存療法術後→放射線治療後
半年後…
症例 60歳代 女性 右乳癌術後、最終放射線治療より8ヶ月経過 OP疑い
参考文献:1)肺HRCT エッセンシャルズ P249