脳血管内リンパ腫症
- 中小の動脈・静脈血管内腔でリンパ球由来の腫瘍細胞が増殖し腫瘤を形成する稀な疾患。
- 多くはB細胞性でDLBLの血管内増殖を主体とする。
- ただし、T細胞性、NK細胞性、組織球性のこともあり。
- 発症からの生存期間は7-13ヶ月と短い。
- 脳に見られた場合は、微小な多発脳梗塞を引き起こし、急速に進行する認知症症状で発症する。
- 画像では主に繰り返す脳白質の脳梗塞の所見と、進行する脳萎縮を認める。
- 脳梗塞のリスクファクターのない患者に多発脳梗塞を認めた場合、稀であるが本症を考慮。
- 腹部や大腿部の皮膚に好発する。色素沈着や出血を伴った皮疹を呈する。
- 皮膚病変が先行して、脳や副腎が障害されることが多い。
- 多くの症例で乳酸脱水素酵素(LDH)、microglobulinが上昇する。
- 確定診断は病変の生検が必要。ランダム皮膚生検でも診断可能。
画像所見
- 血管閉塞による梗塞所見。動脈の支配域に一致しない多発脳梗塞。
- 一般的にはDWIにて高信号。数ヶ月持続する場合がある。
- 脳幹(橋底部)に高信号を認める点が特徴とされている。
- 通常の梗塞同様に、亜急性期に造影効果増強を示したり、髄膜の造影効果を認めることがある。
- 鑑別:DWI低信号:Binswanger型血管性認知症、DWI高信号:進行性多巣性白質脳症、gliomatosiscerebri、多発性硬化症など脱髄疾患
症例
動脈の支配域に一致しない多発脳梗塞を認めています。
症例
AJNR 2012:33:292-6より引用。
脳幹(橋底部)に高信号を認めています。
特殊な悪性リンパ腫
①血管内リンパ腫症:血管内にリンパ腫できる。
- lymphomatosiscerebri:血管周囲腔にリンパ腫できる。
- 治療関連白質脳症
②壊死を伴うもの
③髄膜播種:クモ膜下腔にリンパ腫できる。
④神経リンパ腫症:神経にリンパ腫できる。