原始神経外胚葉性腫瘍PNET:primitive neuroectodermal tumor
- 神経外胚葉系細胞に由来する腫瘍。主に中枢神経、骨、軟部組織等に好発する。
- 病理組織学的に小型円形細胞の増殖を示すことと、近年の分子遺伝子学的研究によるとEwing’s sarcomaと共通の遺伝子転座を有することから同一疾患群(Ewing’s family tumor) として扱われている。
- PNETとES(Ewing’s sarcoma)は以前まったく別の腫瘍と考えられていたが、最近では「神経外胚葉性分化を示す円形細胞肉腫」とされ、神経への分化を示すものをPNET、示さないものをESとしている。
- 病理が同様でもテント上はsupratentorial PNET、テント下はmedulloblastomaとなる。
supratentorial PNET
- WHO gradeⅣ。
- Medulloblastomaと類似した胎児性腫瘍の一種。腫瘍細胞は未分化神経上皮細胞に由来。
- 頻度:小児脳腫瘍の2-6%。4週-20歳に好発。
- 好発部位:乳幼児の大脳半球、松果体、鞍上部
- 腫瘍抑制遺伝子異常が発症に関与(Gorlin症候群、Turcot症候群、遺伝性網膜芽細胞腫、Rubinstein-Tayabi症候群などに合併)。
- テント上では5年生存率80-85%(髄芽腫(PNET-MB)30-35%)
Supratentorial PNETの画像所見
- 単純CTでは等〜高吸収、6割程度で石灰化を伴う。
参考)単純CTで高吸収を示す腫瘍:髄芽腫、胚腫、悪性リンパ腫 - 出血、壊死を伴うことあり。
- DWIで高信号、T1WI低-等信号、T2WI等-軽度高信号。
- 不均一な造影増強効果。
- 腫瘍の大きさの割に浮腫が乏しいのが特徴。
- 播種は高頻度。
髄芽腫(PNET-MB=medulloblastoma)
- 小児脳腫瘍の25%を占める。30%は成人にも生じる。
- 胎児性腫瘍の中で最多。
- 5-9歳に見られる事が多い。
- 亜型に分類される。
- 分子遺伝的分類により、発生部位や画像所見、予後が異なる。
- 第4脳室腫瘍として髄芽腫>上衣腫。
- 閉塞性水頭症や播種を来すことがある。
- 治療は手術+術後照射が必須(髄膜播種の頻度が高いため)
髄芽腫の画像所見
- 小児では90%が小脳虫部より発生。第4脳室内への進展を見ることが多い(4th V tumor arising from “roof”)。
- 単純CTで腫瘍は高吸収(上衣腫は低吸収)。強く造影される。
- 小脳半球に発生した場合、実質外に見えることがあるので注意。
- MRIではT1強調像で灰白質より低信号、T2強調像で灰白質と比べて等~高信号を示す。内部に出血や壊死、嚢胞を示すこともある。
参考)
臨床画像2010年1月small round cell tumorの病理学的特徴 新井富生先生ら
Paediatric PNET: pre-surgical MRI features:Chawla A et al.Clin Radiol 2007;6243-52