びまん性軸索損傷(DAI:diffuse axonal injury)
- 粗大な頭蓋内占拠病変を認めないにもかかわらず、受傷直後より昏睡に陥り意識障害が遷延する。意識清明期がある場合はこの疾患名をつけない。
- CTでは軽症に見えるのに、意識障害が強い場合は、この疾患を疑ってMRIを撮影する。
- 臨床の場では、びまん性脳損傷と呼ばれることが多い。
- 受傷により頭部の回転加速により引き起こされる広範な脳白質の剪断(せんだん)損傷が原因となる。(shearing injury ※shear=はさみなどを使って挟み切ること)。
- 病理学的には白質の神経線維の走行に沿う損傷。びまん性に軸索退縮球(axonal retraction ball)とよばれる軸索の損傷を認める。
- 好発部位は、脳梁(特に体部と膨大部)、大脳皮質下白質、基底核、中脳、橋上部。海馬、脳弓、視床に起こることもある。※脳梁は軸索損傷が集合して、視覚的に確認できやすい場所であるため、MRIで捉えられやすい。
- 受傷原因としては交通外傷が最も多い。
- 軸索の断裂は、受傷後、数時間から数日かけて完成する。
- 大脳深部の視床や基底核などの血腫は、穿通枝が破綻することで起こった結果であり、脳室内出血とともにびまん性軸索損傷に合併することが多い。
- 合併する血腫、脳ヘルニアがなければ保存的治療のみ。
びまん性軸索損傷の画像診断
- 受傷当日ははっきりしないことがあり、3日〜1週間で異常所見は明瞭化する。
- MRIでさえ過小評価→MRIで異常所見がないことがびまん性軸索損傷を否定しうる根拠にはならない。
- つまり、MRIで見える病変はあくまで病変の一部を描出しているにすぎない。
- T2WI,FLAIRにて長円形ないし円形の高信号。長軸が軸索路に沿う。脳梁に病変が多い。
- 出血を伴う場合はT1WIで高信号、T2WIにて低信号、特に微小血腫ではT2*WIにて低信号が有用。
- DWIにて高信号を呈すれば、急性期診断に有用で、この変化は血管性浮腫と細胞性浮腫の両者の関与が示唆されている。
- 磁化率強調像(SWI)で高い検出率の報告あり。
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