足底、つまり足の裏にある筋膜に炎症が起こる疾患を、足底筋膜炎といいます。
足裏に症状を伴うと、歩行にも支障が出るというのは、自ずとお分りいただけるかと思いますが・・・何が原因で起こるのでしょう?
今回は、足底筋膜炎(そくていきんまくえん「Plantar fasciitis」)について
- 原因
- 症状
- 診断
- 治療法
を、実際のMRI画像や図を用いてわかりやすく解説しました!
足底筋膜炎とは?
収縮力のある肉の繊維を筋といい、骨とともに人の動きを担っていますが、足底筋膜は踵骨後下部から起こり、扇状に広がり中足骨頭〜近位趾骨に付着しています。
その足底筋が、何らかの原因で炎症を起こす疾患が足底筋膜炎です。
男性よりも2倍の頻度で女性に多い特徴があります。
整形外科が専門になります。
足底筋膜炎の原因は?
- スポーツ(歩行・ランニング)
- 立ち仕事
- 肥満による体重増加
- 加齢により、足底腱膜の柔軟性が低下したため
- かかとの下にある、脂肪組織の線維化
- 靴の問題
など、足底に長時間・繰り返し負荷がかかることで
「過度な伸張刺激により、疲労性の小さな組織損傷が起こる」
「荷重により、足底筋膜の踵骨付着部分が踏みつぶされることで組織損傷が起こる」
などして炎症を起こしてしまうのです。
また、その他
- 機械的損傷
- 変性
- リウマチ
- 強直性脊椎炎などの炎症性疾患
なども足底筋膜炎を引き起こします。
足底筋膜炎の症状は?
症状としては、痛みが出現します。
その痛みは、
- 歩行
- ジャンプ
- ランニング
など、運動により痛みが強くなりますが、かかとに出る痛みの原因としてもこの足底筋膜炎があり
「かかとの問題だと思っていたら、足底に問題が・・・」
ということもありますが、実は、かかとに痛みが出る疾患の原因としては最も頻度の多い疾患です。
足底筋膜炎の診断は?
かかとの痛みだと、他の疾患も疑われるため、画像診断が有用です。
MRI検査では、
- 足底健膜の肥厚(正常では3~4mm・筋膜炎では7~8mmにまで厚くなる)
- 筋膜内の高信号
- 皮下組織や腱膜近傍の踵骨骨髄の浮腫性変化
が見られます。
そして、筋膜の信号変化は、T2強調像またはSTIR像で明瞭な高信号として認められるでしょう。
筋膜付着部の踵骨に、しばしば骨練を認めるものの、無症状でも認められる所見でもあります。
症例 50歳代男性 左足底部の痛み MRI
足関節のMRIのSTIR矢状断像です。
足底筋膜の肥厚及びSTIRでの異常な高信号を認めています。
足底筋膜炎を疑うMRIの画像所見です。
鑑別疾患
同じかかとに痛みが出る疾患として、
- アキレス腱断裂
- アキレス腱炎
- かかとの皮下組織の脂肪織炎
- 踵骨の病変(疲労骨折・骨髄炎・腫瘍など)
- 神経絞扼症候群
などがありますので、画像診断により、これらを除外することが重要です。
足底筋膜炎の治療法は?
荷重を軽減させることが重要で、一般的には保存療法が選択されます。
保存療法
- 局所安静(テーピング・サポーター)
- アイシング
- 薬物療法(非ステロイド系抗炎症剤など)
- 温熱療法
などにより、炎症がおさまり、症状が消えるのを待ちます。
また、同じことを繰り返していたら再発する例も多く、今後の予防も重要です。
足底筋膜炎の予防
- ストレッチを行い柔軟性をつける
- ダイエット(肥満による荷重を軽減)
- インソールを使用する
などがあります。
足底筋膜炎対策グッズとして、専用のインソールも販売されています。
足底筋膜炎対策インソール
このインソールはかかと部分を保護するよう、衝撃を吸収するもので、男女兼用で使えます。
参考文献:骨軟部疾患の画像診断 第2版P138・139
参考サイト:January Special 足底腱膜炎 最新治療法から現場での対応まで
最後に
足底筋膜炎についてまとめます。
- 足底筋が、何らかの原因で炎症を起こす疾患が足底筋膜炎
- 女性に多い
- 足底に長時間・繰り返し負荷のかかることが原因
- かかとに痛みが出る疾患の原因としては、最も頻度の多い疾患
- 画像診断により、他のかかとに痛みの出る疾患を除外
- 保存療法で改善する
誰にでも起こりうる疾患です。
症状を我慢し、同じ動作を繰り返していると悪化するばかりなので、しっかり病院を受診し、治療することをオススメします。