閉鎖孔ヘルニア(obturator hernia)

  • 外ヘルニアの一つ。
  • 痩せた多産の高齢女性に多い。
  • 閉鎖管内と恥骨筋の背側に異常な構造物が存在する。
  • 小腸(回腸)(>結腸、大網、卵巣、卵管、子宮)が嵌頓しやすく、腸管壁の一部だけが嵌頓するRichterヘルニア(腸壁ヘルニア)が多い。
  • 閉鎖管を通過する閉鎖神経が圧迫されるため、患側の大腿内側から、膝、下腿に放散する痛みや知覚異常などがみられることがある(Howship-Romberg sign)。約半数に見られる。
  • 閉鎖孔ヘルニアの内容物は恥骨筋で覆われ深部に存在するのでヘルニアの発見が遅れることがある。
  • CTでは、外閉鎖筋と恥骨筋の間の間隙が1cm以上に拡大して、軟部組織や脂肪濃度構造が同定できれば、閉鎖孔閉鎖孔ヘルニアと診断される。
  • ヘルニアの内容は小腸が多く、嵌頓しやすいため、治療は手術となる。

外閉鎖筋と恥骨筋の解剖・関係

20歳代男性の症例で見てみると、外閉鎖筋と恥骨筋の解剖はこのようになります。

obturator-hernia-001

閉鎖孔ヘルニアのシェーマ

obturator herniaここまでわかる急性腹症のCTを参考に作図

では実際の症例を見て行きましょう。

症例 80歳代女性

obturator hernia1

外閉鎖筋と恥骨筋の間に腸管のはまり込みあり。

閉鎖孔ヘルニアを疑う所見です。

動画で学ぶ閉鎖孔ヘルニア

 

症例 80歳代女性

obturator hernia CT findings2

左閉鎖孔に腸管の嵌頓あり。

閉鎖孔ヘルニアを疑う所見です。

症例 90歳代女性

obturator hernia CT findings1

胃及び小腸の拡張あり。

小腸イレウスを疑う所見あり。

右閉鎖孔に腸管の嵌頓あり。

閉鎖孔ヘルニアを疑う所見です。

動画でチェック

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