脊髄硬膜動静脈瘻(dAVF)
・脊髄血管奇形の中で最多で7割を占める。
・中年以上の男性に生じる。
・多くは頸胸椎移行部以下、特に下位胸椎から腰椎レベルに好発する。
・シャントは椎間孔あるいは神経根に沿って認められ、流入血管を根動脈の硬膜枝、流出血管を根髄質静脈、脊髄静脈、脊髄冠状静脈叢とする。
・上のようにAVFは硬膜動静脈瘻(dura AVF)、硬膜外動静脈瘻(extradural AVF)、表面動静脈瘻(perimedullary AVF)に分けられる。
・症状は、下肢の筋力低下が最多。
・運動により増悪し、安静により軽快する傾向あり。
・その他、感覚障害、背部痛・腰痛、膀胱直腸障害。
・治療は、マイクロ手術や血管内治療による塞栓術。
画像診断
・T2WIで髄内に異常高信号。(静脈うっ滞による浮腫を反映)
・脊髄周囲には背側優位に多数の異常なflow void。拡張・蛇行した異常血管を示唆。
・造影T1WIではこの異常血管が脊髄背側表面の点状の造影効果としてとらえられる。
症例 50 歳代の男性。進行性の両下肢のしびれ,脱力。
2014年放射線科診断専門医試験問題14より引用。
症例 70 歳代の男性
歩行障害と膀胱直腸障害を主訴に来院
2012年放射線科診断専門医15より引用。
症例 70 歳代の女性。
2 年前に神経鞘腫(L5)を摘出した。半年前から対麻痺が出現,1 カ月前から急激に悪 化し,歩行できなくなった。
2007年放射線科診断専門医13より引用
鑑別診断
・T2WIでの脊髄の異常高信号からは、脊髄炎、脱髄、腫瘍など。
・拡張・蛇行した異常血管のflow voidや造影効果も併せて考えれば血管奇形を疑う事が可能。(ただし全例に異常血管が画像でわかるわけではない。)
参考)
・すぐ役立つ救急のCT、MRI 東京歯科大学市川総合病院 清水哲也先生
・画像診断2012年6月 おさえておきたい脊椎・脊髄画像診断の基本 東京都立神経病院 柳下章先生