頸部結核性リンパ節炎の画像診断
- 結核性リンパ節炎では、頸部が最も多い。他、鼠径、腋窩、腹部、縦隔や乳房内のリンパ節など。
- 初感染の肺門・縦陥リンパ節からリンパ行性もしくは血行性に生じるものと、扁桃や咽頭粘膜から直接進入した菌がリンパ行性に播種するものがある。
- 無痛性で好発年齢は10~ 30歳代、うち肺結核の既往があるものは1/2~1/3。
- 片側性で後頚三角、下内深頚リンパ節に多い。
画像所見
- 急性期:均一に増強。
- 亜急性期(乾酪壊死):内部はCTでは低吸収、MRIでは T1WIで低信号、T2WIで著明な高信号となり、増強効果は消失。辺縁部はT1・T2WIともに比較的低信号で増強効果は強い。
- ほかの炎症性リンパ節腫大と異なりリンパ節周囲への炎症波及はあっても軽度である。
- 複数が融合して多嚢胞性になるもの、壊壊して軟部組織に膿瘍・瘻孔形成を生じるものもある。
- 慢性期または治療後:液化・線維化が生じ、比較的均一な低吸収域や石灰化結節となる。
鑑別診断
参考)頸部リンパ節腫脹、腫大、造影効果を有するものの鑑別診断
- 急性化膿性リンパ節炎:周囲に炎症波及しやすい(蜂窩織炎)、中心壊死を生じる。
- 甲状腺乳頭癌転移:内部に低吸収域がある頚部リンパ節では必ず鑑別に挙げられる。微細な石灰化を伴うものでは可能性が高い。境界は明瞭で周囲脂肪織の濃度上昇は少ない。
- 頭頸部扁平上皮癌転移:内部壊死、融合あり。鑑別は難しい。
参考&引用改変)臨床画像2013年10月増刊号