膵臓の脂肪置換・変性・浸潤とは?
- 膵の形状、大きさ、実質の濃度パターンは年齢による変化を含めて個人差が大きい。
- 高齢者では、霜降り状を呈し、分葉状構造が目立つ。
- 病理組織学的には、小葉内に数個の脂肪細胞が散在する程度のものから、小葉全体がほぼ脂肪組織に置き換わり、内部にわずかな小実質塊あるいはLangerhans島が残存しているような高度なものもあり。
- 膵の脂肪沈着は、加齢あるいは肥満とともに高頻度に出現する。
- また、糖尿病、慢性膵炎、肝疾患、栄養障害、ウイルス感染、ステロイド、膵管閉塞などに合併することが多いとされる。
- 通常はびまん性に脂肪沈着が見られるが、背側膵と腹側膵の一方だけ脂肪沈着が見られることがある。(※腹側膵:膵鉤部と膵頭下部、背側膵:膵頭上部から頚部、体部、尾部と発生部が異なる。)
- 膵脂肪置換・変性は下の4つのパターン
- 基本的に必ず、総胆管周囲は保たれる。(脂肪浸潤、置換は来さない)
膵臓の脂肪置換・浸潤の4つのパターンとは?
膵臓の脂肪置換・浸潤は以下の4つのパターンに分けられると報告されています。
(Radiology 1995;194:453より引用改変)
では実際のCT画像を見てみましょう。
症例 60歳代男性
膵体尾部は膵実質がしっかり見えますが、膵頭部・膵鉤部は脂肪に置き換わっています。
Type2aに相当する膵臓の脂肪置換です。
症例 80歳代男性
膵体尾部は膵実質がしっかり見えますが、膵頭部は脂肪に置き換わっています。
膵鉤部も割と実質が残っています。
Type1aに相当する膵臓の脂肪置換です。
症例 50歳代男性
膵臓は、膵鉤部と膵尾部の一部を残し、ほぼ全域にわたり脂肪に置き換わっています。
Type2b(もしくは膵鉤部は残っていると考えて1b)に相当する膵臓の脂肪置換です。