頸部の正常リンパ節

  • 通常、上内深頸リンパ節(レベルⅡ)が最も大きく、成人ではその長径が10-15mmあることも少なくない。
  • 小児は成人に比べて、各部位で5-10mmほどずつ大きく、上内深頸リンパ節(レベルⅡ)では長径が20-25mmほどあっても正常である事が多い。
  • そのため小児はリンパ節の大きさだけでリンパ節診断することは困難であると言われている。

正常リンパ節の内部性状

  • CTでは実質部分はほぼ均一な軟部組織濃度。門部は周囲の脂肪組織と連続する凹み。ただし、はっきりしないことも多い。
  • またpartial volume effectによって門部が水濃度として見られることもあり、そうなるとリンパ節転移の壊死との鑑別は困難。
  • MRIでは実質部分はT1WIで筋肉よりわずかに高信号、脂肪抑制T2WIにて高信号を呈し、造影によってほぼ均一に造影される。門部はT1WIで高信号、脂肪抑制T2WIで低信号。

リンパ節の病的所見

  • 炎症性のリンパ節腫大では、形態的には正常リンパ節と同様に扁平で、門部が明瞭かつ、門部の血流増加を認めることが多い。
  • 頭頸部癌の転移では、形態は球形で、門部は転移巣により圧排、破壊され不明瞭である。
  • 特に扁平上皮癌では壊死や角化を伴う事が多く、画像上でもこれらを反映した内部性状の変化が見られる。

頸部リンパ節転移の診断

診断基準
最大径 上内深頸リンパ節(レベルⅡ)、顎下リンパ節(レベルⅠB)で15mm、その他のリンパ節は10mm以上。咽頭後リンパ節は8mm以上。
短径 上内深頸リンパ節(レベルⅡ)で11mm以上、その他のリンパ節は10mm以上
長径/短径比 2以下
内部性状 中心壊死や局所欠損を反映する非増強効果領域
形状 球形
融合、非対称性 原発巣のリンパ流出経路に一致した3個以上のリンパ節が集簇・融合。反対側の同レベルリンパ節に比べて最大径が2倍以上。
  • 正診率は80-95%とされる。
  • 拡散強調像(DWI)が有用とする報告もあるが、artifactの問題がある。
  • 光学顕微鏡検査で転移陰性とされても分子分析では21%が転移陽性であると報告あり(Brennan JA et al:N Engl J Med 1995)
  • したがって、形態学的診断では限界があり、FDG-PETやエコーも併せて判断し、疑わしきは転移の可能性ありとして治療する方が良い。

参考

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